概要
榛名まお氏による漫画。『まんがタイムきららMAX』に連載。
2016年8月号から2019年3月号まで連載され、単行本は全2巻。
何らかの理由で、学生生活になじめず「保健室登校」になってしまった4人の少女達が集結し、友達を作り普通の生徒に復帰する事を目指す、日常系?コメディ漫画。
僅か2巻の作品ながら、随所に伏線が散りばめられており、きらら作品としては衝撃的かつ異例な結末を迎えている。
ストーリー
超軟弱、ツンギレ、厨二病……とある女子高の保健室の一角に、何の因果か学校不適合者たちが集結。友達を作って普通の生徒に復帰することを目指して今日もあれこれミーティング!友達何人出来るかな?奇想天外なクラス復帰コメディ4コマ!
登場人物
- 桐原霞
病弱な主人公。病気のせいで入院生活が長く今まで殆ど学校に登校した事が無かったが、なんとか病気を治して健康になったため高1の5月に一カ月遅れで初登校し、「普通に友達を作り、普通に学園生活を送る」という夢のために奮闘する。それでも超虚弱体質は相変わらずで、毎度肝心なところで貧血等で倒れて保健室送りになってしまい学生らしいイベントを体験出来ずに逃すことが多い。長らく入院生活だったために世間の常識にかなり疎くて天然ボケを発揮する。普段の虚弱体質を利用してドッキリを仕掛けた事もある。入院が多かった事で日ごろから頭の中で自作のストーリーを創作するという趣味があり、物語の創作において高い才能を持っている。そしてこの趣味に加え「放課後文化研究会」の部員達との関わりによって、後々に上述の夢に加え「児童文学賞」で受賞するという夢を抱くようになる。
- 川居すずめ
孤高を好み友達は要らないと考えている一匹狼タイプで、物語の序盤では(本人達なりの)善意で話しかけてきた生徒に対しても、喧嘩腰になる事もあるため、他人を寄せ付けない雰囲気を作ってしまいクラスで浮いてしまっている。しかし、霞の強引に押される事で思わずデレるてしまう一面も。保健係としてたまたま保健室に立ち寄った所を強引に勧誘されて部活の一員になった。
当初は友達作りにも部の活動にも最も消極的だったが、霞たちと一緒に様々な体験をする中で変わっていき、最終的に「第二の主人公」と言えるポジションになる。
- 熊代ニカ
ロシア人とのハーフ。日本の漫画やアニメが大好きだが、クラスメイトがオタク趣味と称しバカにする事に耐えられず保健室に入り浸るようになる。普段はロシア語混じりのカタコトキャラを作っているが本当は日本語ペラペラ。
- 倉持詠子
ホラー好き。ももの姪。シャイかつ人見知りで、心を許した相手以外の前では殆ど喋れないため教室に行けずに保健室登校になっていた。物陰に隠れたり謎生物のぬいぐるみを使った腹話術(?)を使えば饒舌に喋る。ホラーの中で特にスプラッターが大好きで、高校生ながらゴア特殊効果の腕は既に本職顔負け。
- 千間院もも
養護教諭。童顔な上に高校の制服を着ているため教師に見えない。保健室を部室代わりに4人が立ち上げた「放課後文化研究会」の顧問を務める。
※以降は単行本2巻(最終巻)のネタバレを取り扱っています。閲覧注意。
「霞君は進行性の難病で現在有効な治療手段はありません」
「そして彼女に残された時間は、残りわずかです」
10月31日の霞の16歳の誕生日。それを祝うパーティーが佳境に差し掛かった頃、突然霞が倒れる。
イベント等で日常的に霞が倒れる姿を見てきたすずめ達は、今回もいつもと同じだろうとそこまで深刻に考えず倒れた霞に軽い口調で声をかけるも全く反応が無い。
翌日11月1日、霞は病院で目を覚まし、いつもの様に明るい口調で謝り、すぐに反応見せなかったのも倒れた時に頭をぶつけたせいだと言う。その言葉を聞いた事で、最初はいつもと違う霞の様子に心配していたすずめ達も安堵する。
しかし、11月9日にすずめ達が見舞いに来た際には、霞の容体が急変し集中治療を受けている事を知る。
もはや、霞の虚弱体質を踏まえても状況が普通でないのは明らか。
すずめは霞の担当医を探し出し事の真相を訪ねる。
・・・そして、担当医の口からは衝撃の真実が語られる。
物語の序盤で「健康になったから学校に通うようになった」というのは嘘であり、
実際は進行性で治療手段の無い難病で余命も僅かだった。
彼女の願いは「普通の女の子として学校通って友達を作りたい」。
隠していた理由も、病状を正直に話せば病人として気を使われ、普通の学校生活は送れなくなるからだろう。
これだけ重い病気に関わらず、今まで度々失神しつつも、今まで何とか周囲に症状がバレず学校生活を続けられたのも、支持療法で症状を抑えていたからだという。
その後は一旦症状は落ち着くも、家族以外の面会は謝絶の状況が続く。
11月17日
気管切開チューブ等の医療機器につながれた霞は担当医に「思い残すことが無いとは言えないが、「放課後文化研究会」の部員を始めとし、大勢の友人が出来て、楽しい思い出もできた、夢が叶った私は世界一幸せな女の子です」と話す。
そして、もう一つの夢である「児童文学賞」受賞。その夢が叶うか否かは翌日明らかになる。
その時を楽しみにしている事を担当医に語った霞は眠りにつく。
翌日、彼女の想いは届き、霞の応募作品が大賞受賞したという報が世間に流される、
しかし……
実は霞は担当医と話した後に容態が再び悪化。榛名まお氏によると翌日の18日の朝には息を引き取ったのだ。
つまり彼女は夢が叶った事実を生前に知る事は出来なかった。
だが、そんな少女に僅かばかりの奇跡が起こる。
霞は幽霊となり再びこの世に目覚めたのだ。
それから約1か月後。
この日は「児童文学賞」の受賞者を表彰する授賞式が行われる日だった。
霞はその会場に学園の制服を身に纏い来ていた。
なお、霞はこの日までに先に亡くなっていた祖母と再会していたらしく、
その祖母を引き連れていた。
自分が主役である授賞式を前に生前と変わらないテンションではしゃぐ霞。
そして待ちに待った授賞式が開かれる。
生前なら式の途中で体調が悪化し失神し最後まで見届ける事はできなかったかもしれない。
しかし、幽霊となった今となってはその心配はない。
だが、幽霊故に自分の存在は周囲には認知されない。
その為、当然舞台に上がる事はできないし、賞状を受け取る事もできない。
故に代わりに舞台に上がったのは部の仲間達。
霞の代わりに賞をしっかり受け取り、
部を代表し、すずめは霞に向けての想いを述べていく。
感謝の言葉、いずれ遠い未来に再会する約束─
その言葉を受け取った霞は
「はい、すずめちゃん、みんな…本当ありがとう…」
涙を流し感謝の言葉で返す。
そして──
「霞ちゃん、そろそろだよ……」
傍にいた祖母の言葉に霞は未練を断ち切ったような顔で
「はい!!もう十分です!行きましょう…!!」
元気よく答えて会場を去っていく。その時、
「今…霞が笑ってた」
最後に部員達へ向けた霞の笑顔は詠子へと届いたのであった。
そして、7年後。
3人の部員と一人の教師はそれぞれの道へと歩み続けていたのであった…