概要
2017年8月、オンライン小説投稿サイト『小説家になろう』にて連載を開始。作者は七沢またり氏。現在は不定期で投稿されている。
魔法が存在する近世ヨーロッパのような世界観を舞台とした異世界で、とある貴族令嬢として転生した少女が、自身に秘める”呪い”を行使しながら我が道を突き進む異世界ファンタジー戦記。
2022年11月にKADOKAWAMFブックスから書籍化。既刊2巻。イラストはEURA氏が担当。前作の『火輪を抱いた少女』から実に6年半ぶりの新刊でもある。
それと同時にComicWalkerにてコミカライズ版も連載される。既刊3巻。堤りん氏が作画を担当。ちなみに、作者の作品の中で初めてのコミカライズ化。
書籍版及びコミカライズ版のタイトルは『みつばものがたり 呪いの少女と死の輪舞(ロンド)』。
あらすじ
「この世界は、私のために回っている──」
”死ぬほど”退屈な暗い世界で微睡んでいたら、
謎の万能感とともに永い眠りから目覚めた少女・ミツバ。
死ぬ運命にあった少女に10年間注ぎ込まれた魔術は、この世に存在しないはずの”呪い”の力をもたらした。
”死”を纏うミツバを恐れた継母は、ミツバから貴族性を取り上げ士官学校へと入学させる。
しかしこれは、ミツバが”呪い”を使い我が道を突き進む序章に過ぎなかった──。
小さな少女に宿る強大な”呪い”が巻き起こす、異色の異世界蹂躙譚、開演!!!
登場人物
- ミツバ・クローブ
主人公。年齢は10歳→12歳(現時点)。
ローゼリア王国を代表する七つの大貴族「七杖家」の一角・ブルーローズ家の令嬢で、本名は「ミツバ・ブルーローズ・クローブ」。
父親であるブルーローズ家当主・ギルモアと第一夫人のツバキとの間に生まれたが、生まれた直後にツバキは死に、自身は植物状態で死に瀕していた。ギルモアは何が何でも救おうとニコ所長と協力して莫大な私財を投じて延命処置を10年施した結果一命を取り留める。だが、延命処置で魔光石と触媒を利用しての魔力注入を行った結果、”呪い”という恐るべき力を宿したことで周囲から「呪い人形」と呼ばれて恐れられ嫌悪されている。
目覚めた後すぐにギルモアによって継承の儀が行われたが、その一ヶ月後に開かれたパーティーでギルモアが継母のミリアーネの陰謀で毒殺され、ミツバは濡れ衣を着せられ名誉姓の「ブルーローズ」を剥奪されて塔に監禁される。だが、監禁中に使用人達が”呪い”で次々と変死していき、手に負えなくなったミリアーネがニコ所長を遣わし、ニコ所長の勧めでローゼリア王立陸軍士官学校へ入学する。
そして、砲兵科を希望して配属し、そこで同期で同じ女子であるクローネとサンドラと出会い、自分の赴くままに遊んだり戦ったり政治したりして歩みを進めていく。
実は、転生者であり、前世は現代人の女性と思われる。だが、前世の自分に関する記憶はほとんど無いが、知識に関してはある程度覚えている。だが、実際は主となる人格以外にもいくつもの思想や性格が異なる「ミツバ」が入り交ざっており(少なくても二人以上が存在)、その正体については自分でも分かっていない。前世の知識を披露する場面は多くないが、後に王国魔術研究所から依頼された「革新的で人道的な処刑装置」という無理難題な公募品の課題で「ギロチン」を考案している。
”呪い”の能力の詳しいことは不明だが、自分を害そうとする輩や、自分が大切と思っている父やニコ所長を侮辱する輩に対して”呪い”が発動し、身体が紫色に変色して毒殺の様に死んだり、身体が液状になって溶けるなど、死に様は色々とあるがどれも見るに堪えない悍ましい末路を辿る。魔力も”呪い”の所為か、魔力を込めると紫色の靄が発生する。
また、”呪い”以外にも、少女にもかかわらず異様に力が強く体力も無尽蔵と言えるほどあり、重い大砲も一人で軽々と押して進めるほど。さらに、銃で撃たれようが榴弾で吹き飛ぼうが、何故か殺すことが出来ない不死身のような肉体を持っている。
緑化教徒というカルト教団体のことを激しく嫌悪しており、「爽やかで鼻につく」という自分独自の直感に似た嗅覚で見分けることが出来る。
- ニコレイナス・メガロマ
王国魔術研究所の所長を務める女性。愛称「ニコ」。
高い身分の出であるが、掴みどころのない人を食ったような性格の持ち主。王国きっての変人である一方で、数々の兵器開発で王国を著しく強国へと成長させた天才。
見た目は30代前半の容貌だが、実はかつて実施した不老秘術の最初で唯一成功した実験体であり、実際は60歳以上の高齢。
ギルモアの頼みでミツバの延命処置に協力し、延命処置で魔光石と触媒を利用しての魔力注入を行った(他にも何かしたようなことが示唆されているが、詳細は不明)。
今のミツバを自分が造り上げたためかなり気に入っており、後に彼女の後見人となり、陸軍士官学校への入学を勧め、彼女の活躍を楽しみにしている。
- クローネ・パレアナ・セントヘレナ
陸軍士官学校の砲兵科の女性。金髪ぼさぼさ頭の長身で、男勝りな性格。
没落貴族の出で、戦いで手柄を挙げて出世する野望を抱いている。よく飲酒やデートなど享楽に興じているが、適当そうな態度に反して戦術や歴史の考察などの勉学に余念は無く、身体能力も士官学校でも断トツを誇る。没落貴族でありながらも、貴賤男女問わずにモテており、人脈が広く人望も高い。
入学したミツバに対し、誰もが彼女を恐れて距離を置く中、平然と気安く接し、ミツバの最初の友人となる。一方で、同じ砲兵科で同期のサンドラとはかなり相性が悪く、よく口論を繰り広げている。
- サンドラ
陸軍士官学校の砲兵科の女性。おかっぱ風の茶髪に眼鏡を掛けており、不愛想で神経質そうな性格。
貴族に憎悪に近い嫌悪感を抱いており、議会を牛耳る貴族を打倒し、市民議会で政治を行うことを目指している活動家。
貴族を剥奪されたミツバのことをある程度気に掛けており、貴族打倒の同志にしようと目論んでいる。一方で、同じ砲兵科で同期のクローネとはかなり相性が悪く、よく口論を繰り広げている。
関連タグ
死神を食べた少女、火輪を抱いた少女(『小説家になろう』内にある同じ作者の作品)