概要
角川スニーカーブックスで『やさしい竜の殺し方』、『ゆがんだ竜の愛し方』、『あぶない竜の選び方』の全3冊で発表された作品。イラストは小林智美による。
2001年4月から、全5巻に直したものが角川スニーカー文庫で橘水樹&櫻林子によるイラストで、再出版された。
2006年8月には、The Beans VOL.1に掲載された「楽しい竜の出会い方」と書き下ろし作品の番外編を加えた全6巻が、加藤絵理子によるイラストで角川ビーンズ文庫より出版された。
2009年9月には記念本として『やさしい竜の殺し方 memorial』が発行された。
ストーリー
はるか昔、有力な魔法使いによって陰の幻獣界と陽の人間界に分けられた世界。
世界を分ける時、幻獣の王である竜王は、恋人であった人間の統一王国の女王・聖王に「女王の身になにかあったら自分が、女王の子孫の身になにかあったら自分の子孫が界を超えて助けにくる」という誓約を残した。時は巡り千年後、3度目の乱世の時代が訪れていた。
傭兵のアーカンジェルは、幻獣退治の仕事の仲間として、印象的な黒い眼を持つ少年・ウランボルグと出会った。「アーカンジェルを守る」と言う彼は、陰陽二世界のバランスを戻すために現われた幻獣王だった。
登場人物
※CVはドラマCD
CV:千葉進歩
加名川王の庶子の一人。元々は聖騎士であったが、事情があって教団を脱退し、傭兵として名を挙げている。閃光のアーカンジェルとも呼ばれる剣の達人。怜悧な美貌を持ち、人を寄せ付けない性格だが、人を引き付ける魅力を持つ。愛称はアーク。
CV:緑川光
初登場時は、15、6歳の外見だったが、100歳くらいで成体となるドラゴンのため年齢は72歳。愛称はウル。
時遡能力を持ち、自身に向かって使うことで憑依魔法と称される力を使うことができる。彼しか使えない「祖霊憑依変化(アンシストラル・ポゼッション)」という魔法により、彼の中に流れる血の記憶をたどることで祖先を呼び出し自身の体を貸すことができる、憑依魔法とも称される。4大精霊全てに適性があり、一つも上級にならない中級の魔法しか使えないことも併せて、異端のドラゴンであった。
行方不明となった前王の代わりとして憑依魔法により竜王に選ばれ、二世界の犠になるための王として陽界に赴く。
CV:諏訪部順一
世界を陰と陽に分けた時の竜王。世界を分かつ前の陽界では旅をしていたため、アーカンジェル達にとって心強い旅のパートナーである。誓約者だったナディアによく似たクローディアを、からかっては楽しんでいる。
二度目に陽界に来た竜王。誓約者のカーライルが、幸福な人生を送ることを望んでいた。
誓約者のダンタリオンが世界を憎んでいることを悲しんでいる。
CV:梁田清之
迅来のドウマと呼ばれる、優秀な傭兵。情に篤いアーカンジェルの旧い友人。
CV:増田ゆき
宮木国の第四王妃の娘。王族らしい考え方と聡明さを併せ持つが、普通の少女。愛称はディア。聖王の血を強くひいている。
CV:立木文彦
宮木王家の近衛兵として働いていたが、妻子を失ったことをきっかけに僧侶となった。クローディアの父代わりとして、彼女の幸せのために奮闘する。
CV:子安武人
三度目の統一国家の王であり、魔導王と呼ばれる。古代人とエルフの混血で、先祖がえりのため魔力は強い。寿命が長く300年以上経っても若い姿を保っている。王位を家臣に譲った後は、アウロラの願いだった失せし秘宝を探すため古代遺跡を巡っていた。その際に、遺跡で不死の呪いを受け、死ぬことができない体となる。
アウロラの命で永らえた世界が、再び戦乱を起こすさまを嘆き、憎むようになった。幻獣界から幻獣を召喚し混乱を起こすことで、世界の滅亡をたくらむ。
白銀という竜でもめずらしい色を持つ。愛称はラース。
ウランボルグとともに、“前王”不在の後、王にふさわしい力があるとドラゴンに認められていた。ウランボルグが死なずに戻って来てからは、彼が王のままでいることに異を唱え、王位を争うことになる。一方的にウランボルグを気に入って彼を食いたいと言っており(共食いという意味だとウランボルグは考えているが、ラーサルグフルの言動からアーカンジェルは性的な意味ではと疑っている)、白銀竜である彼がウランボルグの力を取り込むことにより、古代竜が復活することを期待する一部の者から支持を受けていた。