概要
プレコミックブンブンにて連載されていたギャグ・コメディ漫画作品。
2005年6月号・7月号に読み切り連載された後、同誌内のG-1(ギャグワン)グランプリで準優勝。同年9月号に読み切り掲載の後、2006年2月号からレギュラー連載が始まる。数回の休載を挟みながら2007年4月号まで掲載。同年5月号以降は休載とされ、そのまま雑誌自体が休刊になったため、事実上の打ち切りとなった。
カップ麺を題材にした漫画の繋がりか、2007年3月号には巻頭カラーで日清食品、まるか食品、東洋水産などの名だたるカップ麺メーカーとタイアップし「サヌキがえらぶイケてるめんずだいとくしゅう」として、3ページといえど特集を組んだこともある。
話数カウントは「〇〇杯目」。
あらすじ
面倒くさがり屋で不幸体質の少年・アキラは、ある日カップうどんを食べようとフタを開けると、中からうどん人・サヌキが出てくる。アキラを楽しませようと日々奮闘するサヌキのおかげ(?)でアキラは友達も増え、毎日がすこしずつ充実していく。
登場人物
主人公
この記事ではW主人公として扱う。
- アキラ
小学5年生の平凡な少年。両親が共働き。日々不幸な目にあってばかり、楽しいことなど何もない日常を送っていたが、サヌキとの出会いでドタバタな毎日を送るようになり、友達も増えた。
非常に運が悪く、例えばバイクに跳ねられそうになったところをヒカルに押されたらそのまま電信柱に激突したり、隕石がつっこんでくるほど。
非常に面倒くさがり屋でインドア派(出歩くと大抵ロクな目にあわないため)であり、「歩かなくて済むから」という理由で乳母車をねだった事もある。漫画の類が大好きらしく、他人に漫画を勧める時はいい笑顔になる。
- サヌキ
うどん王国出身のうどん人。髪の色は水色で、犬耳の獣人。うどんが好物(作中で特に食べているのはカップ麺)で、うどんの事になると我を忘れるうどんバカ。しかしこの体質は大半のうどん人に共通している。作品中盤からはうどんを自在に伸縮させ、ロープとして扱う能力を使用している。
よく見ると頭に王冠を乗せているがこれは飾りではなく、彼がうどん王国の王様である。本人が毎日うどんばかり食べてぐうたらしているせいで忘れがちだが、実は「立派な王様になるためにアキラや皆を楽しませに来た」という使命を背負っている。
キムチ(後述)に好意を寄せられており婚約者扱いされているが、サヌキ本人は拒否している。
兄にツキミ(後述)がいるが、作中でサヌキが「兄ちゃん(ツキミ)は"兄弟の中で"一番怖い」と発言しているので他にも兄弟がいる可能性が濃厚だが、登場はしていない。ちなみに両親もいるが、サヌキが幼い頃に行方不明になったので顔は知らないらしい。
由来は讃岐うどん。
人間
- ヒカル
アキラのクラスメートで金髪の少女。アキラに好意を寄せている。
美少女といっても差し支えのない可愛い女の子で、明るく素直な性格ゆえ友人も多い。夢は女優になることだが、周囲からは「お前のやっていることは女優じゃなく女芸人への道だ」と呆れられている。
しかしいろいろと感情が暴走しがちで、とにかく怪力。彼女に抱き着かれただけで骨がいってしまうレベルであり、怒ると歯止めが利かない。腕っぷしゆえか物怖じしない。ラーメンが好物。
- サツキ
お金持ちの家の一人娘。柔和でおっとりした美少女だが、両親が外国に行っているためなかなか帰って来ず寂しい思いをしている。剣道を習っており、竹刀で建物を両断する達人。金持ちの家で育ったからか、ピクニックに100万円を持ってくるなど世間ズレしたところがある。
「家族じゃない人が家の中にいたら死刑」という家族ルールがある環境で育ったため、室内に迷い込んだテンザエモンを家族だと勘違い。以降テンザエモンを「オジ様」と呼び一緒に暮らしている。
長らく勘違いしたまま過ごしているのかと思いきや、13杯目にて「お父様たちなんかよりもずっと長い時間いっしょにいるんです…家族だと思って何が悪いんです」と発言したことから、家族ではないと理解したうえで、両親に会えない心の隙間を埋めてくれる存在としてテンザエモンと一緒にいたかったのだと思われる。
- タベチ
アキラの友達の少年。無口で無表情。非常に背が小さく、下を向かないと存在が認識できないレベル。モモリのパートナー。口癖は「~だべ」。お笑いが好き。
アキラと友達になりたくて声をかけていたが身長が低すぎて気付かれず、幽霊騒動に発展してしまった。ちなみにアキラと友達になりたい理由は「オイラの理想の芸人の中の芸人」とのこと。
麺人
彼ら種族をまとめて表す言葉が作中存在しないため、ここでは仮称で「麺人」とする。
人間界とは違った場所にある、各麺類の名を冠した国に住む住民たち。共通の特徴として所属国の名の麺が大好物であり、小学生の手に乗るほどの小人。そして全ての住民がいわゆるケモミミで尻尾も生えている。獣化の程度は個人差がある。
- キムチ
ラーメン帝国からやって来たラーメン人。赤髪ポニーテールで中華風の服装。猫耳。サヌキのことが大好きで片思いしている。
ラーメン帝国の帝王であるワンタンの妹なので、何気に身分はサヌキと釣り合っている。ラーメンが好物で、文字通りキムチを入れる。『キムチゃん爆弾』と名付けた爆弾を持ち歩いている。
由来はキムチラーメン。
- テンザエモン
ソバ城から来たソバ人。タヌキ。
旅の途中でサツキの家に迷い込んだが、サツキ家には「家族じゃない人が家の中にいたら死刑」というルールがあり、テンザエモンを家の中で見かけたサツキが笑顔で日本刀を掲げていたため、あわや殺されると恐怖したテンザエモンが「家族だ」と言ってしまったことにより、勘違いされる形で共に暮らす(居候)ことになった。
汗っかき。本人は嫌っているが、その口調や姿からオジさんと呼ばれる。忘れっぽいところがあり、サヌキに勝負を挑んでも気を逸らされていつもそのまま帰っている。
由来はおそらく天そば。
- ナガシ
ソーメン島のソーメン人。語尾に「ソーメーン」がつく。配達人であり、うどん王国からの配達物をサヌキの元まで届けに来た。
由来は流しそうめん。
- ワンタン
ラーメン帝国の帝王。赤髪で中華風の服装。猫耳。
乱暴な口調で話す俺様タイプで、非常にナルシストで自惚れ屋。悪知恵が働き、他人を陥れたり騙したりすることが多々あるが、毎回詰めが甘く考えが浅はか(いわゆるバカ)のため、たいていは報復されたり酷い目にあっている。方向音痴。「全世界を支配する力と才能を持った悪の帝王」を自称しているが、基本的に放っておいてもあまり害はない憎めない悪役。
というのも、彼は帝王になりたての頃どの国よりも立派な国を作ろうと励む努力家だった。しかしどんなに努力しても勝てなかったのが"うどん王国"であり、彼は自分を超える王がどのような人物なのか知るため単身うどん王国に渡る。しかしそこで目にしたのは、自分の城で迷子になった挙句、玉座の周りでうどんを貪り食うバカ王・サヌキの姿であった。そのサヌキが「王様になったばかりだけど、人に役に立つ立派な王様になるんだ」と発言したことから一瞬シンパシーを感じるが、「サヌキと目標が一緒=バカと一緒⇒嫌だ!!オレ様はバカじゃない!!」という思考に陥り、人に迷惑をかける悪の帝王になると誓った。どうして……。
キムチの兄だが、当のキムチからはバカアニキ呼ばわりされているうえ武力では敵わない。キムチがうどん人(サヌキ)と結婚しようとしているのを反対している。「必殺帝王ファイヤー」という、手のひらにマッチの灯りよりショボい火を灯す技を使えるが、一日一回しかできない。
由来はワンタン麺。
- モモリ
ソバ村から来たソバ人。ウサギっぽい女の子。
自分が世界一可愛いと信じて疑わない性格のため、自分以外に「カワイー(カワイイ)」という言葉をかけられると反応し、「どかーん!」という掛け声と共に対象に異常な破壊力の体当たりをかます。テンザエモンの故郷であるソバ城でも『体当たりで人を倒して歩く厄介な女の子』としてウワサになったもよう。
語尾に「~の」と付けるのが口癖。バケツの中で溺れていたところをタベチに助けてもらい、以降パートナーとなる。
由来はおそらく、盛り蕎麦。
- ツキミ
サヌキの兄で天才発明家。王国よりも珍しい物を優先する変わり者。明るく陽気で飄々としている掴みどころのない性格だが、弟をあの手この手でからかって遊び、時には平気で見捨てることもある。サングラスをかけており、素顔はものすごく恐い。
由来は月見うどん。
新キャラクター募集企画
- アゲダマ
2006年9月号にて行った『アキラのうどんはサヌキもり!!新キャラクター募集企画』にてグランプリを受賞したキャラクター。2007年2月号にて実際に漫画に登場した。
ヤキソバ帝国に住むクールなスナイパー。普段は優しいが仕事のことになると冷酷になる。意外と笑いやすい性格。愛銃「アオノリ」で打ち出す弾は百発百中であり、この弾に当たると焼きそばが食べたくてたまらなくなる。
漫画内ではワンタンに頼まれてスナイパーの仕事を引き受けていたが、終盤ウソの情報で騙されていたことを知りワンタンに報復する。
由来は揚げ玉。
この企画で賞を取ったキャラクターは全て漫画の登場キャラクターとして本誌掲載がされた為、優秀賞以下のキャラクターも記載しておく。
- 『優秀賞』ホウトー国のヒラベ
- 『優秀賞』スパゲッティー王国のカルボナーラ
- 『優秀賞』ソーメン島のヒヤシ
- 『サヌキ賞』ヤキソバ共和国のジューベー
- 『キムチ賞』トコロテン王国のテンコ
- 『アキラ賞』パスタシティのバジル
- 『ヒカル賞』沖縄ソバ国のオキ
- 『津島っくす賞』うどん王国のバクバク
余談だが、企画の結果発表がされた際には上記のアゲダマしか漫画に登場しない、といった内容だったのだが、なんと2月号で受賞作全てが4コマ漫画にて正式に漫画化された。(賞を受賞した方にはポストカードが贈られたが、キャラクター原案をした子供たちからすればこのサプライズが一番の賞品だろう…。)
用語
- うどん王国
うどん人が住む王国。サヌキの持つ王冠をカップうどんの中に放り込むと王国への道が開き、人間でも行けるようになる。国民は全員うどんがすごく好きなため、うどんのことになると我を忘れる。アキラいわく「バカしかいない」。
国王はサヌキ。ここまで読んだ方の中には、サヌキには兄がいるのに何故ツキミではなくサヌキが王様なのか?という疑問が生まれるだろう。実はうどん王国は世襲ではなくジャンケンで王様を決めるという衝撃の選び方をしており、サヌキがこれを制したため、兄弟云々は関係なくサヌキが国王となっている。
- ラーメン帝国
ワンタンが治める国。ラーメン人が住んでいる。国の内情などは書かれていないが、国ランクではうどん王国に次いで2位なのでそれなりに豊かと思われる。
- ソバ城
- ソバ村
- ソーメン島
津島っくす氏について
「アキラのうどんはサヌキもり!!」の休載以降、著者である津島っくす氏の安否は確認されておらず、漫画家を続けているのかすら不明。また、雑誌で書かれた休載理由も氏の体調不良であったため、当時の読者からは一部、津島っくす氏のその後を心配する声が上がっている。
上述の『アキラのうどんはサヌキもり!!新キャラクター募集企画』でもそうだが、サービス精神旺盛な人物のようで、当初は5枚の予定だった色紙プレゼント企画を10枚に増やしたり、ファンレターの返信なども行っていたようすである。