概要
ほぼ同義の言葉として「アサーティブネス」がある。
「意見の主張」という意味の「assertion」に由来し「自他を尊重した自己主張」のような形で訳されることが多い。
「自他を尊重した自己主張」とはかなり曖昧な概念であるが、自己主張すること・相手を尊重し適切な態度をとることの二つの次元でコミュニケーションを構築するという考え方であり、「相手のことを傷つけないよう思いやりながら、自分の言いたいことをきちんと伝える」という対話におけるバランス感覚のことを指す。
もともとは精神治療・行動療法の中で使われていた用語である。
「アサーティブネス/アサーション」の考え方の中では、対人コミュニケーションのスタイルによってそれぞれアグレッシブ・ノン・アサーティブ・アサーティブの3種類に分けられており、自己啓発やビジネス向けのセミナー、職業訓練、カウンセリング等では自分のスタイルを把握したうえで「アサーティブ」を目指すというトレーニングが行われている。
アグレッシブ
相手の意見を無視し、自分の主張だけを通すコミュニケーション。
とにかく自分が一番であり、我を通すためなら悪意を持って相手を蹴落とすこともいとわない。主張が強いため立場も強くなることが多いが、精神的に幼く、一元的な勝ち負けに固執するため敵を作りやすい。
(例)
上司「おい、今から飲みに行くぞ!」
部下「今日は用事があるので他の日にしたいです」
上司「つべこべ言わずに俺に付き合え!」
部下「はい…(嫌だなぁ、行きたくないなぁ)」
この場合、上司が「アグレッシブ」タイプ。
ノン・アサーティブ
自分の意見を全く言わず、相手の主張だけを聞くコミュニケーション。
物静かで自分から何か言い出すことは少ないが、曖昧な言葉や言い訳でその場をかわそうとする傾向が強く、結果として言いたいことを理解してもらえず一人でストレスを溜めたり、周りがはっきりしない態度にヤキモキしてしまったりする。
『ドラえもん』だとのび太タイプ。
(例)
上司「今日夜空いてる?もしよかったら飲みに行かないか?」
部下「(今日は用事があるから帰りたいけど断ったら嫌われるかな…?)いいですけど…」
上司「(あんまり乗り気じゃないな、本当は嫌なのかな?)やめておこうか?」
部下「いや、行きたくないってわけじゃないですけど…どうしてもっていうなら…」
この場合は部下が「ノン・アサーティブ」タイプ。
アサ-ティブ
相手の主張を否定せず聞きつつ、自分の主張も明確に示すという最も友好的かつ理想的とされるコミュニケーション。
自分も相手も尊重した考え方であり、アクティブ/ノン・アサーティブの中間で、バランスの取れた対話ができる。
『ドラえもん』だとしずかちゃんタイプ。
(例)
上司「今日の夜、もしよかったら飲みに行かないか?」
部下「すみません、今日は用事があるので無理ですが、今度はぜひ一緒に行きたいです」
上司「用事があるなら仕方ないな。じゃあまた都合のつく日に声をかけてくれ」
部下「わかりました。誘っていただきありがとうございます」
この場合上司・部下両方が「アサーティブ」タイプ。