概要
シルヴァリオサーガ第二弾『シルヴァリオ トリニティ』の主人公。
愛称はアッシュ。同作において親しい人物からは基本的にそう呼ばれる。
物語は彼がクリストファー・ヴァルゼライドに救われた過去の憧憬から始まる。
人物
第六東部征圧部隊・血染処女(バルゴ)に新しく配属された新米星辰奏者(エスペラント)。
まじめで実直、加えて努力家。 健全な精神と倫理観を兼ね備えた好青年。
堅物ということもなく、互いの意見を聞いて双方が納得する答えを出す柔軟性も持つ。
ただ突発的な事態や女性関係には滅法弱く、特にラッキースケベな展開に遭遇すると極端に狼狽して醜態をさらしてしまう。トリニティも上述のモノローグという夢から覚めた直後のアッシュがアヤにラッキースケベをかますのだが、パニックになって切腹詫びを敢行し、それをグレイに阻止されるところから本格的に始まる。
アスクレピオスの大虐殺で逃げていたところ、マルスとウラヌスに出会い殺されそうになったところをヴァルゼライドに救われ、その勇士に焦がれたことと幼馴染を守れなかった無力感から「英雄」になることを志す。
また「始まりが何であろうと目指し足掻いた道は嘘じゃない」という価値観を持ち、そのため「英雄を目指したものはその時点で英雄失格」という考え方を「めちゃくちゃじゃないか」として嫌っている。彼自身の方向性も「最初から限られた人間しか頂点に届かない言葉を壊したい」といったもの。
ただし戦闘時、こと窮地に陥った場合その性格が一変。
ヴァルゼライドに焦がれる者から似た雰囲気を感じ取るといわせるものになり、また戦闘中においても普段の人柄からは想像もできないほど苛烈な手段も取るようになる。またそんな自分を「塵屑」と唾棄する自己嫌悪など、まるでヴァルゼライドが乗り移ったかのような考え方になる。
本作における裏側に属するだろう者たちからは蝋翼(イカロス)とも呼称されている。また前作主人公であるゼファーを思わせるキーパーソンのケルベロスからは哀れみすら持たれ「狂い啼け、お前の末路は英雄だ」とまで宣言される。加えてヒロインたちからはアシュレイ含めた四人がかつての知古だったように描かれ、また今の彼に対して含むところを持つかのように見みえるが———
星辰光
煌翼たれ、蒼穹を舞う天駆翔・紅焔之型(マークブレイズ・ハイペリオン)
基準値 | 発動値 | 集束性 | 拡散性 | 操縦性 | 付属性 | 維持性 | 干渉性 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
C | A | C | D | C | AA | B | C |
アッシュが保有する星辰光(アステリズム)。
極めて高い付属性により、武器や全身に炎を纏うという、攻防共に隙の無い星辰光。
遠距離戦こそ苦手としているが、人格がヴァルゼライドのようになった際にはあり得ないレベルで出力上昇を遂げ、まるでヴァルゼライドのように意志の力で限界を超えていく。
明らかに各性質を超えた出力を発揮することや、そんな普通に考えて首をかしげるべき上昇を発動中は一切気にしないこと、さらにこのルビのブレイズは炎(Blaze)ではなく蝋(Braze)を意味するなど、不吉な詠唱込みで謎の多い星辰光。
……余談だが、シルヴァリオサーガにおける星辰光の詠唱は使用者の精神性などを神話伝承のモチーフになぞらえる形で描かれることが多く、この星辰光のモチーフは「ギリシャ神話」に登場する蝋の翼で空を飛ぶも太陽に近づきすぎたことで墜落した少年「イカロス」。
ただしこの星辰光は事情を知るファンからは「中の人によるギルベルトに対する酷評とアッシュに対する声援」「アッシュには全く似合わない」という評価がよく見られる。
詠唱
創生せよ、天に描いた星辰を───我らは煌めく流れ星
愚かなり、無知蒙昧たる玉座の主よ。
絶海の牢獄と、無限に続く迷宮で、我が心より希望と明日を略奪できると何故(なにゆえ)貴様は信じたのだ
この両眼を見るがいい。視線に宿る猛き不滅の焔(ほむら)を知れ。
荘厳な太陽(ほのお)を目指し、高みへ羽ばたく翼は既に天空の遥か彼方を駆けている
融け墜ちていく飛翔さえ、恐れることは何もない
罪業を滅却すべく闇を斬り裂き、飛べ蝋翼(イカロス)───怒り、砕き、焼き尽くせ
勝利の光に焦がされながら、遍く不浄へ裁きを下さん
我が墜落の暁に創世の火は訪れる
ゆえに邪悪なるもの、一切よ。ただ安らかに息絶えろ
超新星(Metalnova)───煌翼たれ、蒼穹を舞う天駆翔・紅焔之型(Mk・braze Hyperion)
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真実
前作をプレイしている者ならだれもが不安を覚える前情報と序盤の展開だったが、個別ルートの突入に伴い明かされた真相はその予想すら超える酷いものだった。
そもそも彼は帝国民ではなくアンタルヤの商人の息子。それもヴァルゼライドが主導権を握った帝国により家族を殺された少年である。
事の発端は憧憬の根幹ともいえる激戦を制し、ヴァルゼライドたち改革派が帝国の主導権を握った後の話。敵対していた血統派のアマツである奏家は、粛清が巻き起こるアドラーから逃亡することを決意。対立国であるカンタベリーにおいてアドラーで死刑になった連続殺人鬼を輩してしまった落ち目の貴族であるバレンタイン家を受け皿に、そしてアッシュの両親であるアンタルヤの商人を仲介役として、国家機密の星辰奏者技術を手土産に亡命を画策する。その一環として奏家に両者の一族が招かれており、アシュレイも当然そこに連れてこられている。その際大人の姦計とは無縁の場所で、三家及び従者の子供四人は親交を交わすこととなった。
だがカンタベリー貴族の少女が不安視するほどずさんだったそれは、ヴァルゼライド達に当然のように知られてしまう。軍事機密を手土産に対立派閥が亡命するなどどんな国でも論外であり、血の粛清が横行するアドラーでは当然のように粛清対象となる。
ある偶然が絡んで凶手から見逃された彼は、幼いながらも復讐を誓い、アンタルヤで傭兵団に入団する。だが対アドラーに対する観点から選んだ強欲竜団の実態とは、ヴァルゼライドと本気で殺しあうことを目的とし、そのためなら手段を選ばない男の道具。そんな組織の元で、誰よりも優しい少年が戦い続けることは、ただただ精神を摩耗するだけだった。
そもそも幼子を一人見逃すだけでも御の字の事情が裏にあったのだと悟りながらも、アッシュは無意識に目を背ける。星辰奏者という技術が流出すればあるいは……と自分をごまかして、戦士として非才の身でありながら戦ってきた彼は、しかし「もしも化けるようなら見切りのつけた自分の目が節穴だと認める(のちに実践してほめたたえる)」とみなした団長によってわざと生贄に差し出され、ほかならぬヴァルゼライドの狂信者に内心を言い当てられしまい無力化。完全に心が折れて弱音を吐いた次の瞬間、その男に激励を受けながら人体実験の被験者として捕らわれる。
ヴァルゼライドに魅了されて死地に飛び込み死んでしまった男をよみがえらせるために外道に落ちた女によって、生きたまま体を切り裂かれ実験体として激痛に苦しめられる彼は、その過程でヴァルゼライドを含めた聖戦の関係者の記憶を流し込まれる。
大切な少女たちとの記憶まで塗り替えられ、懇願しても「それは君の思いがその程度」と一蹴される。そして砕け散った三人の少女たちの記憶は一つの少女として統合され、強制的に組み込まれた記憶や己の無力感と共に、一つの形に集約される。
それこそが「今度こそ君を守り抜くため」に「誰もが英雄になれる道を求める」、ヴァルゼライドの信奉者。その高い付属性の性質と、一人の少女による前例から生まれた、極楽浄土を齎すための極晃星の雛型たる本命。
比翼連理の天駆翔。煌翼と並び立ち覚醒し続けあうことを望まれる、しかしいつか必ず無理が来て燃え尽きる蝋の翼。
光に狂った亡者たちに踏みにじられる生贄、それこそがアシュレイ・ホライゾンの真実であった。
真の概要
以上のように「地獄のような人生の重要点をたどると、必ずヴァルゼライドがポップする」人生をたどっている悲惨な来歴の持ち主。本編開始時点ではすでに煌翼なしでは長く生きられない状態であり、当人の精神性が光の奴隷に向いてないため、まっとうに進めば「煌翼に人格が塗りつぶされて精神が薪として燃え尽きる」か、「煌翼を失うことでさほど間をおかず死に至る」の二択を強制されている。(厳密に言うとギルベルトは「人類全員ヴァルゼライドのように生きられる」が大前提なので、煌翼と蝋翼が仲良く覚醒し続けて並び立つことを望んでいる)
また本人は精神的・肉体的に戦闘に向いておらず、どちらかと言えば「その優しさで戦士を奮起させる」方が向いている。劇中でアシュレイを評価する者達の多くがそういった面にこそ価値を見出しており、総じて彼を理由に奮起できる。
必然的に蝋翼としての彼の在り方は真逆であり、本質的に「向いていない」といっても過言ではない。そのため蝋翼としての彼を評価する手合いに対する彼を認める者達の反応は総じて憤怒の類であり、シルヴァリオ全体でも屈指の真人間率を誇るトリニティにおいて、登場人物からの評価は総じて高い人柄。ラグナロクにおけるラスボスにすら「覚者の如き精神性」とほめたたえられており、ヴァルゼライドですらアドラーに害をなさない場合は助力することをいとわない好人物。
総じてよほどの外道か自覚のない行き過ぎた光でもない限りは好感を持つ人物であり、また皮肉にも地獄のような半生を送ったことである種の清濁併せ呑む精神性を獲得。獲得した力よりも、上述した人柄を武器にした交渉を主体とすることを良しとしており、トリニティ最終決戦では前作屈指のろくでなし相手にも協力を取り付けた屈指の人たらし。
それら地獄のような来歴をたどりながらも、己の勝利の形を見出したこともあって強すぎる光に対してすらある種の敬意を持てる器の広さを獲得。当人ですら「景気づけに殺される」ことを想定するほどの元凶相手にすら「おかげで取り戻せたものもある」ことから、恨み節ではなく感謝の言葉を投げかけることをえらび、思わず苦笑させるほど。
過酷すぎる半生とそこから得た勝利の形、そして器の大きさやまっとうな人間性もあり、エロゲでありながらキャラ人気投票で一位を獲得。愛しき銀の女神や比翼連理の相棒でトップ3を独占するという快挙を成している。
また女性関係においては各ヒロインからも「襲う側ではなく襲われる側」「相手の一番聞きたい言葉を言うのが悪い癖」といわれるほどで、「意図せず押し倒してしまって切腹未遂」な現状とは真逆。最終的に正史であるグランドルート後はヒロイン全員と結ばれたことが示唆されており、それ以外のルートではほぼ確実に死ぬ(メインヒロインルートのみワンチャン有)こともあって、ファンからはそうであってほしい……もとい、もっと幸せになれと強く望まれている。また三人の異性に好意を抱かれているが、ハーレムに否定的なファンからも「お前はハーレムを許されるよ、四人で幸せになれ」と望まれている。