概要
表記揺れ:シルヴァリオ・サーガ
別名にシルヴァリオサーガシリーズ、新西暦サーガ、シルヴァリオシリーズなど。
第五次世界大戦とその最中に起きた「大破壊(カタストロフ)」により、文明が崩壊。その後謎の粒子「星辰体(アストラル)」に地球全土が覆われた「新西暦」を舞台としたシリーズ作品。
「正しさという概念が持つ光と闇」をコンセプトとした作品群。
敵側のキャラクターは、本来主人公が持つような側面を極端に突き詰めた結果として生まれる歪みや暗黒面が存在し、各作品のラスボスは毛色は異なれど完全無欠の王道を持つ光属性の権化であり、主人公はそれらと相対する者であることが共通。
タイトルや能力名・詠唱にある「シルヴァリオ《銀の運命》」とは、ボスキャラ達の完全無欠の正道や王道に相対して初めて現れ、しかし、太陽のようなあの煌めきにも負けない輝き。尊く、美しく感じられる運命という祈りを籠めて考えた結果とのこと(参考元:「高濱亮のシルヴァリオ・サーガ一問一答?!」より)。
一覧
シルヴァリオ ヴェンデッタ
第一作。
舞台は軍事帝国アドラー。過去から背を向けた一人の男が再び星を取り戻すべく足掻き抗う、敗者の逆襲劇。
シルヴァリオ トリニティ
第二作。
舞台は古都プラーガ。運命に選ばれた一人の少年の英雄譚。
シルヴァリオ ラグナロク
第三作。
舞台はカンタベリー聖教皇国。宿命を背負った少年と少女が、地獄の先にも、花は咲くことを証明するべく戦う、神殺しの物語。
登場人物
詳細は「シルヴァリオサーガシリーズの登場人物一覧」を参照。
用語
星辰体(アストラル)
本作の根幹をなす要素。高位次元に存在する未知の素粒子。
これを引き出す技術研究をめぐり第五次世界大戦が勃発。戦いの果てに発生した「大破壊(カタストロフ)」によって地球中に充満し、地球上の物理法則に大きな変化が起きた結果、総合的な技術水準は第一次世界大戦レベルにまで低下してしまっている。
星辰奏者(エスペラント)
正式名称は「星辰体感応奏者」。
星辰体と感応することができる能力者。星辰奏者となるには資質と身体改造が必要。
純粋な身体機能だけでなく、五感や生理機能まで強化されるため、技術水準が低下している本作世界では最強の兵科。
無論、内臓機能も強化されているため基本的に酒豪になるが、体質の問題か下戸もいる。
星辰光(アステリズム)
星辰奏者の真骨頂といえる異能。
特殊合金アダマンタイトで製造された武器を媒介に、星辰体と感応することで己を独自の星に見立て、その異星環境の法則を地球上に適応し、超能力という形で発現する。能力の性質は星辰奏者の精神性に影響されるため、血の繋がっている親族であろうとまったく同じ異能にはならず、さらに似たような能力でも下記のステータスにより差異が生まれるため、千差万別。
基本的には戦闘用だが、使い手の資質次第では研究といった非戦闘分野にも応用可能。
以下の8つの評価項目があり、ステータスとして表現・ランク付けされている。
出力に関する評価項目
基準値(アベレージ) | 常態としての出力を意味する項目。基本的にランクが高いほど身体性能の高さにも繋がる。 |
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発動値(ドライブ) | 最大出力を意味する項目。ランクが高いほど星辰光の出力が強力になるが、基準値と差があるほど、解除後の反動が激しいものとなる。二段階程度の差なら問題はないが、三段となればまともな神経だとのたうち回るレベル。 |
性質に関する評価項目
収束性 | 星辰光の密度を意味する項目。同じ出力でぶつかり合えば、収束性が高い方が基本的に有利となる。強い意志力を持つ「光狂い」はこの数値に優れていることが多い。 |
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拡散性 | 星辰光の効果をどこまで広げられるかといった項目。射程距離というよりは影響範囲を意味する。干渉性とかみ合った場合、オールレンジ攻撃じみた戦法を可能とする。 |
操縦性 | 星辰光をどれだけ緻密に制御できるかといった項目。低いと星辰光の制御が大雑把にしかできないが、高ければ高いほど緻密な制御が可能になる。 |
付属性 | 星辰光を肉体や武器に付与させることができるかどうか。いわば「星辰光の影響を与える対象を限定できる素養」であり、例えば炎に関する星辰光の場合、付属性が低いと自分の炎で火傷をしてしまうが、高ければ全身に炎を纏っても火傷はおろか服も焦げ付かなくなる。 |
維持性 | 星辰光をどれだけ持続して発動できるか。高ければ高いほど長時間に渡り星辰光を発動し続けられる。 |
干渉性 | 星辰光が自然界の存在にどれほど干渉できるかを示す項目。例えば高い干渉性を持つ「振動操作」の星辰光であれば「離れた相手の耳元に他者の声を聴かせる」ことが可能。逆に高い干渉性を持っていても、自然界にあまり存在しないモノに作用する星辰光は恩恵を受けづらい。 |
極晃星(スフィア)
本シリーズの最重要要素。星辰光を超えた星辰光。
極晃星に至った者を「極晃奏者」と呼ぶ。
その本質はあらゆる願いを叶える魔法のランプに例えられ、条件が整えれば世界法則すら塗り替えることも可能。通常の星辰奏者はおろか後述の人造惑星と比較しても次元が文字通り違う存在。そのため極晃奏者と相対するには、同じ極晃奏者でなければまともな戦いにすらならない。
到達条件は以下の3つ。
- 「七性質のいずれかが限界を突破すること※1」
- 「高位次元干渉用の触媒を持つこと※2」
- 「同じ思いを共有する他者がいること」
※1:七性質とは出力・収束性・拡散性・操縦性・付属性・維持性・干渉性の7つ。また、複数の性質が限界を突破する場合もある。
※2:神星鉄(オリハルコン)、翠星晶鋼(アキシオン)等。
人造惑星(プラネテス)
星辰奏者の完全上位互換といえる星辰体運用兵器。別名は「魔星」、「眷星神」。
作品ごとに3つの世代が存在するが、どの世代であっても理論的に星辰奏者を超える星辰光を振るうことが可能。
第一世代
極晃星が誕生する以前に開発された人造惑星。
コンセプトは強力な星辰体運用兵器。
星辰奏者が強化兵士ならば第一世代の魔星は文字通り兵器であり、超一流の実力者やよほどの相性差でもない限り、星辰奏者では戦いの土俵にも上がれない。
第二世代
始めて極晃星が誕生した後に極晃星の研究の過程で開発された世代。
コンセプトは極晃星に到達することを目的とした極晃奏者の雛形。
第三世代
極晃星の研究が進み獲得した多くの情報を元に開発された最新世代。
コンセプトは極晃星と繋がる眷属。
光狂い
「ガチ勢」「トンチキ」などとも呼称される、ある種の精神的属性。
意志の力で限界を超越し、一度決めたら何があっても目的を成し遂げるまで止まることができない者達。いわゆる主人公補正をデフォルトのスキルとして持つ存在。
困難や強敵、許すべきでない存在に対して気合と根性で「覚醒」し、その場で成長することで敵を凌駕する。この「覚醒」は、相手に勝つまで何度も繰り返すことが可能。無論、数十回も覚醒を繰り返せば肉体が耐え切れず崩壊し始めるが、真性の光狂い(ウルトラトンチキ)であれば、肉体の限界すらも乗り越えてしまう可能性が高いとされる。
潜在的資質や度合いにおいては程度の差があるものの、モブを含めて理屈に乗っ取らない強さを持つ理不尽の権化。また当人の資質の度合いにもよるが、強い光に魅せられて後天的に「光狂い」に覚醒することがあり、本作の舞台となる世界では大量覚醒がきっかけとなって第三次世界大戦が起きた。
光狂いと戦った者達曰く「致命傷を十や二十重ねてようやく足止めになる」レベル。
本シリーズにおいては、基本的には主人公たちの敵対者が該当することが多い。
作品ごとに「光の奴隷」、「光の亡者」、「光の殉教者」の3種類が登場する。
アマツ
新西暦における、日系人の総称。
ミドルネームに漢字を一文字入れており、基本的に愛が地雷レベルに重い。後述する第二太陽の影響で、新西暦においては総じて優秀な才覚を持っていることが多く、世界各国で貴種としての地位を確立。星辰奏者となった場合も、総じて飛び抜けて優秀な星辰光を持つことが多い。
その愛の重さ故か、多くのアマツ達の星辰光の詠唱は、想い人に向ける愛情を謳い上げるラブレターのようなものになっている。
分家にあたる「キリガクレ」も存在し、こちらはアマツの側近的立ち位置にいることが多い。そして本家に負けず劣らず愛が重い。
神祖
極晃星の亜種といえる存在。その正体は、「大破壊」を生き延びた第五次世界大戦及び第二太陽や新西暦の誕生の原因ともいえる星辰体研究の第一人者たる四人の科学者。
本来は第二太陽の一部になるはずだった彼らは爆心地に近い位置にいたため、地上に肉体が残留し、魂と呼べるものが高次元に存在している。肉体が大きく欠損・老化した瞬間に高次元に登録された記録を元に、肉体を「大破壊」当時のモノへ再生させる。その不死性を利用し千年間ただひたすらに研鑽を積み重ねた結果、文字通りの意味で全方位万能な人間の完全上位互換となった。膨大な経験値故に達観しすぎており、あらゆる状況に慣れすぎたため、光狂いとは別種の破綻者と化してしまっている。
光狂いに対しては、千年間に幾度となく自分達の前に立ち塞がってきた存在であり、不死性と膨大な経験値によって最終的には何とか打倒し、千年の研鑽を経て光狂いへの戦術を確立させているものの、戦うその都度に一泡吹かされるため、忌み嫌っている。
その不死性故に、神祖の星辰光は維持性EXを保有する準極晃星といえる代物。また、結晶化した星辰体「翠星晶鋼(アキシオン)」を精製して対象の心臓に打ち込む「洗礼」を行うことで「使徒」という神祖と同じ不死性を備えた上位の星辰奏者を生み出すことができる。
神祖を殺害するには、極晃星、もしくは神祖の不死性を無効化する特殊な性質の星辰光でなければ不可能。神祖を殺害するなら嵌め殺しが大前提であるが、合理性の怪物たる神祖は逃走という手段を臆面もなく取ることができ、そもそも隔絶した人心掌握の力量を持つため、政治的・精神的に戦闘という土俵に持ち込ませない立ち回りを可能としている。
軍事帝国アドラー
旧時代の軍事技術を色濃く受け継いだことから軍事国家として成立した旧・西ヨーロッパ地方を領土とする国家。
星辰奏者技術の本家本元でもあり、軍事的な総合力では三作続けて最先端。
星辰光のモチーフは「ギリシャ神話」に由来する。
アンタルヤ商業連合国
旧東ヨーロッパ地方を主な領土とする連合国家。
外敵に対しては一致団結しつつも日々血みどろの権力抗争を繰り広げている国であり、登場人物には他国から逃げ込んできた者や犯罪組織出身の物など、訳ありな人物も数多い。
星辰光のモチーフは「北欧神話」に由来することが多いが、二名ほど「ギリシャ神話」に由来する。主に龍といった怪物がモチーフ。
カンタベリー聖教皇国
旧イングランドを主な領土とし、旧日本国の文化などを礼賛する極東黄金教という教義を広める宗教国家。
その実態は「神祖」達の実験場。神祖達が目的を達成するために都合のいい国家の在り方を千年間模索した結果であり、国家としての安定度はずば抜けているが、ある意味において畜産に近い性質を持っている。
星辰光のモチーフは「北欧神話」に由来する。具体的には、神祖は北欧の神々及びそれに関係する事柄、騎士や使徒は英雄や神々の武器・道具をモチーフとしている。ただし、一名のみ「ケルト神話」がモチーフとなっている。
第二太陽(アマテラス)
大破壊によって生まれた宇宙空間に存在する星。
地球上を覆う星辰体の発生源。
三次元上に空いた孔であり、特異点。ブラックホールとはまた異なる事象の地平線。
その実態は「大破壊(カタストロフ)」の爆心地となった第五次世界大戦時の日本にいた日本国民全員が極晃星に至った原初の極晃星というべき存在。新西暦の物理法則は、第二太陽を構成する人間全てが思い描いたそれぞれが理想する世界、一億以上の善悪賢愚が望む願いが無差別に叶えられようとし、それらが互いに相殺しあった結果、成立したもの。
上記にあるよう本シリーズは、国ごとに星辰光のモチーフとなる神話が決められているが、第二太陽と関係がある星辰体運用兵器や、神祖とその関係者の星辰光は「日本神話」がモチーフ、あるいは所属する国家のモチーフとする神話と「日本神話」の複合モチーフとなっている。