Adonis Wyndham
ミッドランド王国の王弟ユリウスの息子で国王の甥。第3王位継承者。気弱で華奢な美少年。
母を早くに亡くし父ユリウス・ウィンダムからは、まっすぐな愛情を受けずに育ち、ガッツは彼に幼き日の自分と養父ガンビーノの関係を重ね見ていた。
将来は父の後を継いでミッドランド最精鋭部隊である白龍騎士団団長となる筈であり、王女で従姉妹にあたるシャルロットとの婚姻により王位を継承する可能性もあった。
それもあってユリウスは殊更にアドニスに対し厳しく接しており、その過剰なスパルタ教育ぶりは執事のハッサンが諫める程であった。
壱傭兵団団長から貴族にまで成り上がってきたグリフィスを嫌ったユリウスは、その暗殺を目論むも失敗に終わる。暗殺未遂事件をユリウスの仕業と見抜いたグリフィスはその報復として、ガッツを刺客として差し向け、ユリウスは斬殺される。
アドニスはその現場を見てしまったことが不運となり、反射的に反応したガッツに口封じで斬殺され、その幸薄く短い生涯を終えることになった。その死に対しハッサンは慟哭していた。
咄嗟だったとはいえ、年端もいかぬアドニスを斬ってしまったことはガッツのトラウマとして残ることになり、命からがら脱出に成功してグリフィスのもとへ行こうとした際に聞いたグリフィスの言葉も相まって、自身の在り方を問い直す切っ掛けとなった。
アドニスの登場期間は極めて短いが、その死は互いに不変と信じていたガッツとグリフィスの関係を動かす切っ掛けとなるものであり、物語の分岐点となる出来事であったと言える。