概要
火星騎士ブラドが搭乗するカタフラクト。
腕部の大きさに対して異様に細い脚部を有し、頭部に三本の角を備えたそのシルエットは白い甲冑を纏った騎士を思わせる。
ブラドの趣味と理念が大きく反映された機体であり、彼の意向によって遠距離用の射撃兵装を一切装備しない白兵戦に特化した構成を採用しているが、その性質上パイロットの技量に大きく依存する機体として完成した。
各部に搭載されたスラスターにより高い機動力を発揮し、敵の懐へ瞬時に飛び込みこれを両断する事をコンセプトとしており、細い脚部も機体バランスをわざと崩す事で機動性を向上させる為の措置である。
ニロケラスやヘラスのように特殊な防御兵装も有していない一方で、機体を覆う装甲は地球側カタフラクトのマシンガン程度では破壊する事が出来ない程の強度を発揮するなど、そのポテンシャルは高い。脚部はその性質上他の部位と比較して装甲が薄くなっているが、そこはブラドの技量によってカバーされている。
主武装は用部にマウントされている二振りのビームサーベルのみ。
このビームサーベルは常に膨大な熱を発しており、ビルを両断するだけの出力を発揮する。
また、銃火器類による銃撃に対しては、切り払う事でそれを無力化する(この際、HE弾はサーベルの熱量に反応して暴発し、AP弾はライデンフロスト現象(※)によって射線を逸らす)他、サーベルはマニュピレータから離れた状態でもビームを放出し続ける為、投擲武器として使用出来るなど、状況に応じた使い分けが可能となっている(ビームサーベルによる切り払いは機体に備わった機能ではなく、パイロットであるブラド本人の技量に由来する。また、機体装甲が充分な強度を持つにもかかわらずブラドが敵弾を切り払うのは、ブラドが装甲に傷が付く事を嫌う為である)。
ブラドの剣の技量もあって地球連合軍のカタフラクト部隊を一方的に追い詰めるが、界塚伊奈帆達の策によって頭部を損傷し撤退を余儀なくされる。その後、リベンジのために頭部を予備の物に換装して再び出撃するが、再び伊奈帆の策に翻弄されて海中に落下し、サーベルと海面が接触して発生した水蒸気爆発に巻き込まれ、パイロットごと爆散した。
(※)ライデンフロスト現象とは、液体をその沸点より遥かに高い温度を持った高温物質に滴らした際、蒸発気体の層が液体の下に生じて熱伝導を阻害し、液体の蒸発を妨げる現象を指し、主に熱したフライパンに水滴を落した際に発生する事で知られる。
金属で構成されたAP弾に対して自らの発する熱によってこれを起こすアルギュレのビームサーベルの出力が如何に高いかがうかがい知る事が出来る。