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インスマス面

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いんすますづら

インスマス面とは、ラヴクラフトの小説「インスマスの影」に登場する、寂れた漁村インスマスの住人に見られる特徴である。

概要

 港町インスマスで流行っている感染性の皮膚病だと思われているもの。

「インスマスの影」で、インスマスの住人は年を取るにつれ、眼球が飛び出し瞬きをしなくなり、首のあたりの皮膚がタブつく奇病を持つ者が多いと噂され、外部からは気味悪がられていると語られる。これがインスマス面である。

 pixivでは、魚人や目の離れたキャラクターにこのタグがつけられる。

 最近ではネタ的に使われることもあり、スマプリ大凶顔シリーズと併用されることが多い。

 より正確に言うならば、インスマスの住人に見られる奇妙な顔の特徴を外部の人間が嘲りを込めて呼ぶ差別的な蔑称である。ようするに民族特有の身体的特徴をさして「○○人面」と呼ぶような、(選民思想が当然とされた時代の作中ですら声を潜めて囁かれるほどの)酷い呼び方である。「うつされるかもしれないからあまり近づくな」という忠告が出てくるほどである。

 そのためインスマス出身者が自称することはないし、この呼称を使う外部の人間がその隠された真実を知るものではない。

隠された真実

 ダゴン秘密教団による文化的および武力的侵略と支配により、インスマスの住人は深きものとの混血が進み、すでに若者は全て深き者の混血児である。純粋な人間は恐怖から口を閉ざして生活する「深き者の混血児の親」となった壮年以上の人間だけである。

 インスマスの若者、つまり深きものの混血児は20~40歳頃からゆっくりと身体を衰弱させる変身を始める。人によってはこれより早かったり遅かったりすることも稀にある。この変異は決して土着の皮膚病などではなく、正しく親の姿になろうとしているのである。

 具体的には目が大きく膨らみ、皮膚は鱗状になって乖離し、鼻は平らになり、耳は異常に小さくなり、指には部分的に水かきができ、首の周りはたるんでくる。後期段階になると、頭蓋骨および骨盤の骨格が変化し、ゆっくりよろよろと歩くようになる。最も進んだ状態では、原始的なエラのように見えるものが成長しているのを見ることが出来る。

 そしてこれらの生理的な変異に伴って、海中にある国の不思議な夢を見るようになり、海洋への執着が増してゆく。この自身の変異の事実を知らぬまま成長した者は、変異自体や夢の内容の恐ろしさから自ら命を絶つこともある。

 この状態が何年も続いた後、おそらく自己保存本能が水への願望により覆され海への呼びかけに応じて身を投げる。

 時々、変異は初期段階までしか進展しないこともある。彼らは生涯その状態で留まるが正確な原因は不明である。また、海洋やある種の(例えば邪神クトゥルフに関係するような)アーティファクトに近づくことが、外見上健康な個人の変身の引き金となるらしい。

 「インスマス面」が人間と深きものの交合による結果だと理解しているものは僅かである。変身し終えた者は、海底にある深きものの偉大な都市にいる同胞に加わるために海へ泳ぎ出す。

よくある誤解

 「インスマス面」はモンスターをさす言葉ではない。飽くまで何も知らない一般人が、恐怖心から警戒と差別的意味を含めて使う言葉である。

 「インスマス面」と呼ばれるのは、変異が始まり奇怪な風貌になったインスマスの若者である。つまりは、それを見た人間が嘲笑できるだけのある種の余裕を持って「インスマス面」などと呼べる程度には人間に見えるものたちである。

 決して深きものの呼び名の一つではないし、その身体的特徴をさした言葉でもない。深きものの姿とインスマスとは全く関係がない。深きものの血が、インスマスの住人に影響を与えたのである

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