概要
インフルエンザの感染に伴い急激に発症し、神経細胞など脳に障害をもたらし、時には全身の諸臓器も障害を受ける(多臓器不全)。
ウイルス感染によって産生されたサイトカインなどによって、脳障害や多臓器不全が起きると考えられている。なお、インフルエンザの感染は引き金にはなるものの、脳の中でウイルスは増えるわけではないため、脳炎ではない。
症状
インフルエンザの発熱に伴い、数時間から1日以内に、痙攣(けいれん)、意味不明な言動、意識障害などの症状が現れる。
進行すると脳神経だけでなく、肝臓や腎臓など、体内のあらゆる臓器に障害をもたらす(多臓器不全)。
ひどい場合は死亡することもある。また、治っても後遺症が残ることがある。
意味不明な言動
以下のような症状が現れたら、すぐに病院へ連れていくこと。
- 両親がわからない。いない人がいるという。(人を正しく認識できない)
- 自分の手を噛むなど、食べ物と食べ物でないものとを区別できない。
- アニメのキャラクター・象・ライオンなど、幻覚が見える。
- 意味不明な言葉を発する。ろれつがまわらない。
- おびえ、恐怖、恐怖感の訴え
- 表情 : 急に怒り出す、泣き出す、大声で歌い出す
意識障害
起きているのか、寝ているのかわからないような状態である。
以下の症状がみられるなら、大至急、病院へ。
- 呼びかけに応じない。呼んでも返事をしない。
- 視線が合わない
- 1+1などの簡単な質問に答えられない
多臓器不全
進行すると脳だけでなくあらゆる臓器がやられるので、様々な症状が現れる。
治療、予後
脳症と診断されたらすぐに入院し、点滴などで全身状態を改善していく治療を行う(対症療法)。
残念ながら根本的な治療法がないため、致死率は10%、後遺症が残る可能性は25%と非常に高い。
異常行動
インフルエンザ治療薬の「タミフル」が原因で、10代の子供が異常行動を起こすと一時期話題になったが、現在ではタミフルと異常行動の因果関係は否定されており、異常行動が見られた場合は、インフルエンザ脳症の疑いがある為、早急に医療機関を受診する事。