イー・モバイル
いーもばいる
もともとはADSL事業者のイー・アクセス系列の通信事業者。本稿ではADSL事業についても記載する。
2005年にソフトバンク系のBBモバイルと森トラスト系列のアイピーモバイルとともに新規事業者として参入が認められたが、BBモバイルはボーダフォン日本法人の買収とソフトバンクモバイルへの変更により参入を取り下げ、アイピーモバイルは参入できず自己破産したため、唯一の新規参入事業者となった。
2014年に同じソフトバンク系のウィルコムと合併し「ワイモバイル」となり、現在はブランド名はそのままで会社自体はソフトバンク本体に吸収されている。
データ通信
2007年にデータ通信のみでサービスを開始。当時最速の下り3.6Mbps/上り384Kbpsのデータ通信を月額5000円程度で提供していた。
当時「PCやPDAに接続した、音声端末単体ではないデータ通信」といえば、「低速で料金はそれなりに高いがエリアがそれなりに広いPHS」か「高速で料金はそれなりに安いが使えるスポットが非常に限られている公衆無線LAN」のいずれかを利用するしかなかったが(※)、「PHSよりも圧倒的に高速かつ料金も安価で公衆無線LANよりも広いイー・モバイル」という選択肢が登場することで、「モバイルブロードバンドの幕開け」となる。
また「UMPCとのセット販売」「モバイルルータの導入」「さらなる通信速度の高速化とエリア拡大」で一定の市場を確保、既存事業者のうちNTTドコモとauも定額データ通信で追従することになる。
(※)他の携帯電話によるデータ通信はまだ従量課金制であり、何も考えずに音声端末をPCに接続してデータ通信を行った結果、数百万円単位の請求が来たということもあった。
当初は「モバイルルータの販売とiPhoneの通信品質確保のためのローミング」という名目で相互に提携したソフトバンクに2012年に買収されてしまう。その後イー・モバイルの設備は実質上ソフトバンクのiPhoneユーザーとデータ通信ユーザーのために使われるようになる。
端末ラインナップも、ソフトバンクが力を入れていないAndroid端末が中心になるが、ソフトバンク端末のお下がりだけでなくGoogleブランドの「Nexus」シリーズを販売するなど、「iPhoneに傾倒しているソフトバンクの補完」的立場となる。
2013年以降、MVNOによる「格安SIM」が市場で爆発的な普及を見せると、MVNOへの回線提供のないソフトバンクはイー・モバイルを対抗手段として使うようになるが、料金面でもサービス面でも対抗している状況とは言えず、比較対象にすら登ることはない。