「悪いことがあっても、良いことに変えていけばいいの」
概要
演 - イザベル・ファーマン(日本語吹替 - 矢島晶子)
2009年公開のホラー映画『エスター』に登場する人物。
コールマン夫妻に引き取られた9歳の女の子。
ロシア出身の孤児で、アメリカに来て数年で英語を身に付けている。
大人びた振る舞いだが、アメリカの家族の養子となり、そこで全員を火事で亡くすという悲しい過去を持っていた。
コールマン家に迎え入れられると、義妹・マックスのために手話を覚え、ケイトにピアノを習ったりとすぐに打ち解けていく。
だが、次第に狂気的な一面を見せはじめ…。
外見
常に首と両手首にリボンを巻いた、上品な雰囲気の美少女。本人も服装にはこだわりがあるようで、学校にクラシカルなドレス姿で行こうとするほど。
映画の後半では、ある相手にアプローチするため、普段から想像できないセクシーな格好に。その結果は…。
性格
年齢にしては落ち着いた性格でしっかり者。すぐに英語や手話を覚える他、絵を描くことが得意など才能豊かな姿も見せる。古い聖書を持ち歩いており、中には前の里親の写真が入っているなど、今までの家族のことも大切にしているようだ。
だが、自分の服装を貶した同級生に危害を加えたり、子供ながらFワードを知っていたりと、問題のある言動も多い。首と両手首に巻いたリボンを外そうとすると大声で叫ぶ、歯医者を嫌うといった、どこか異様な一面がある。
「もし嘘だったらそのつるつるの■■■■ちょん切るから。本当の使い方を知る前にね」
可愛い顔してこんな脅し文句も言ってのけるのである。
関連人物
- ケイト・コールマン
演 - ヴェラ・ファーミガ(日本語吹替 - 八十川真由野)
エスターの養母。二人の子どもに恵まれたものの、物語序盤で第三子「ジェシカ」を流産してしまう。夫の提案で養子を迎えることを決め、聖マリアナ女子孤児院を訪れた。
最初は聡明で礼儀正しいエスターを気に入っていたが、徐々に違和感と疑問を持つようになる。
- ジョン・コールマン
演 - ピーター・サースガード(日本語吹替 - 佐久田修)
エスターの養父。設計士をしており、自宅にいることが多い。
ケイトのようにエスターを疑うことはなく、むしろ彼女を不審に思う妻に非協力的。
- ダニエル・コールマン
演 - ジミー・ベネット(日本語吹替 - 津々見沙月)
コールマン夫妻の息子。エスターの義兄。最初は(両親を取られるという焦りもあってか)エスターを快く思っていなかった。ある日、エスターの不気味な一面を垣間見てしまう。
- マックス・コールマン
演 - アリアーナ・エンジニア(日本語吹替 - なし)
コールマン夫妻の娘。エスターの義妹。生まれつき耳が聞こえないため、手話と読唇術でコミュニケーションを取る。兄と違ってエスターを実の姉のように慕い、彼女の頼みを喜んで聞くようになった。
- シスター・アビゲイル
演 - CCH・パウンダー(日本語吹替 - 磯辺万沙子)
聖マリアナ女子孤児院のシスター。エスターが引き取られた後の異変に気付き、彼女が孤児院に来る前の様子を調べ上げる。
彼女の秘密(ネタバレ注意)
物語の終盤、ケイトはエスターが持ち歩いていた聖書から、彼女の正体を突き止める。
「……以前、そちらの孤児院に居た子供について訊きたい事が有るんですが……」
「……あのぉ……お間違いではありませんか? ウチは精神病院ですよ?」
名前の「エスター」は偽名であり、本名は「リーナ・クラマー」。
かつてはエストニアの精神病院に入院し、拘束衣を着せても暴れるほどに凶暴な患者だった。その時の傷が今も残っているので、常に首や手首をリボンで隠していた(クラシカルな服装はそれを自然に見せるため)。
そこの医師の話では、精神病院から脱走した後はアメリカで養子になるが、父親の誘惑に失敗すると家族を皆殺しにして姿を消したという(※)。
さらに、ホルモン異常による下垂体性機能不全の影響で、見た目は子供だが実年齢は33歳の女性。その容姿を利用すると同時に、同年代のように恋愛などができないジレンマを抱えていたようだ。
※ 2020年に制作発表され、2022年に公開された前日譚「Orphan:First Kill」(邦題「エスター ファースト・キル」)では、このエピソードが深く掘り下げられる。引き続き、イザベル・ファーマンがエスターを演じる。
余談
ホラー映画に登場する幼い女の子であるため、二次創作ではロリコン夢魔と共演した作品も見られる。また、敵に回すと恐ろしい美少女という点からあの一家の長女と一緒だったり。
なお、前日譚である「エスター ファースト・キル」では、演者が20代になっていたが……何と「セットを大き目に作る」「共演者がシークレット・ブーツを履く」「遠近を利用して小柄に見せ掛ける」というアナログな方法で子供に見せ掛けた。
言わば、第一作が「子供に見えるが実は大人」というキャラを子供が演じる、第二作が子供に見えるキャラを大人が演じる、という同じ俳優が同じシリーズで逆のアプローチを行なった事になる。