概要
ドイツはインゴルシュタットの人造人間技師・Dr.リヒターの創り上げた人造人間。
彼の息子であるアシュヒト=リヒターの幼馴染であるが、10年前にジョン=ドゥの起動時の暴走に巻き込まれ死亡。完全な死者蘇生という夢物語を本気で追い掛ける事を決意したアシュヒトのために、せめて最高の技術で人造人間にするとして、「皮膚機能特化型」の設計がされている。頭に付けている花の髪飾りは特化型の起動電極を隠すためのものでもある。
身体能力は少女相応だが、皮膚・爪・髪などの「表皮とそれに準ずる生成物」を自在に操作でき、これらの硬質化、衝撃吸収、再生、吸盤化による吸着などで大型の人造人間とも互角以上に渡り合う。また、服も彼女の皮膚組織で作られており、その気になればすぐに再生可能。
人造人間として蘇った者は「記憶の消失」か「人格の破綻」の最低でも片方が副作用として発現するが、彼女は両方が発現しており、良く言えば天真爛漫、悪く言えばおバカで、よく笑いよく眠るその性格は生前とはまるで別人で、その人格が幼馴染の体に収まっているという事実は人知れずアシュヒトを苦しめている。
作者曰く、デザインは武装錬金での没デザの流用。名前の元ネタは「信頼」を意味する楡の花と「背教者」。キャラコンセプトは「聖なる身代わり」との事だが……
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以下、終盤のネタバレ注意 |
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- 真実
実は作中の「エルム」はアシュヒトの精神崩壊を防ぐためにそれらしいパーツをツギハギして造ったニセモノであり、本物のエルムの亡骸は来るべき時により高度な人造人間として蘇生させるべく保存されていた。
よく眠るのは本来素体の厳選が必要なほど高度な特化型人造人間の技術を「ガワだけ似せた代用品」に押し込んだ反動で稼働時間が限られているためであり、生前とは似ても似つかぬ人格になったのも、元より人格の原型など無かったためである。
アシュヒトはインゴルシュタットの深奥で父からそれを知らされ、さらに「隣に立つエルム」が見た夢から「幼馴染のエルム」が今をどう思うかを悟り、過去は取り戻せないものだと理解したとき、慟哭しながら「幼馴染のエルム」の亡骸ごと研究施設を破壊して父の妄執を打ち砕き、「隣に立つエルム」を幼馴染の代用品ではなく、一人の存在として受け入れた。
全てが終わった後、エルムはすべてを受け入れたアシュヒトと共に彼女なりに幸せな余生を送っている。その歪な体はいずれ遠からぬ内に覚めない眠りに落ちるが、その時を描く必要はもはや無いのだ、と作者は語っている。