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概要編集

C. Auguste Dupin.

 エドガー・アラン・ポーの創作した名探偵。世界初の推理小説である『モルグ街の殺人』と、続く『マリー・ロージェの謎』『盗まれた手紙』に登場する。

 語り手「私」がパリ滞在中に知りあって意気投合し、サン・ジェルマン郊外で同居した人物。名家の出だが、「不幸な出来事」のために財産を失い、僅かに残った遺産によって書物を唯一の贅沢とする生活を送っている。想像力と分析力に富み、『モルグ街』で「私」の考えていることを言い当てたり、『マリー・ロージェ』で新聞記事のみを基に事件を解決した(安楽椅子探偵)。「夜ゆえに夜を好む」とまで表現される程の夜型人間であり、昼には全ての鎧戸を閉めきるなど、奇癖も多い。

 デュパンと「私」のコンビは、ホームズワトソンを始めとする「風変わりな天才的名探偵と普通の(少し鈍い)相棒兼記述者」の原型でもある。


登場作品編集

"The Murders in the Rue Morgue"編集

青空文庫リンク:モルグ街の殺人事件(佐々木直次郎訳)、病院横町の殺人犯(森鴎外抄訳)

 モルグ街で親子が惨殺された密室殺人事件。証言が奇妙に食い違う中、デュパンの推理は意外な犯人を明らかにする。(密室に関しては、推理小説の作法が確立された現在ではアンフェアとされるような解決になっている)


"The Mystery of Marie Rogêt"編集

青空文庫リンク:マリー・ロジェエの怪事件(佐々木直次郎訳)

 香水店の看板娘であったマリー・ロージェが失踪し死体で発見された事件を、新聞記事を基に解決する。現実の事件をモデルとした作品であり、ポー本人は作中の推理について後に関係者から裏づけ証言を得たとしている。


"The Purloined Letter"編集

青空文庫リンク:盗まれた手紙(佐々木直次郎訳)

 パリ警察の緻密極まりない捜索でも見つからなかった「盗まれた手紙」の隠し場所とは。ポー本人が「私の『理性の物語』の中で最良」と述べた小説であり、ミステリーの枠を超えて論じられることの多い作品でもある。

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