概要
物語第四部に登場するヴィシュヌの化身の一つ。東南アジアにあるインドシナの小国であるパルジェミア人民共和国で共和党政府と国内紛争をしていた国王復権派を率いる国王クシャスタリが戦力増加と威厳を高めるためにナバルパが属しているパドマー寺院の団体が発掘した「ヴィシュヌの聖櫃」を幻術士サルラーマに盗ませ、封印されているヴィシュヌを現世に蘇らせることで自身と合体させようと目論んでいた。
そのため獣魔の卵の件でサルラーマの元にやってきたことで罠に嵌ってしまったハーンや他の術士に聖櫃の封印を解かせるよう脅迫して急かしていたが、ハーンが秘密裏に八雲宛てにヴィシュヌ復活の報の絵葉書を送ったことで危機を知った八雲達が現地に駆けつけてきたことを知って苛立ちを覚え始め、聖櫃を物理的にこじ開けようとしたが、聖櫃を傷付けられたことに気付いた『中身』が発した霊気で封印が解かれその中身が復活することになるのだが……
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蘇った中身の正体(ネタバレ注意!!)
国王復権派も八雲達も聖櫃の中身がヴィシュヌそのものだと思っていたが、正確にはヴィシュヌの10番目の化身にして、作られた生体兵器「カルキ」だった。
復活したばかりの姿は人間に似た、首のない朽ちた上半身を大きくさせたかのようなものだったが、大地から精気を吸収したことで肉体を形成させ、上半身が人間に近いもので下半身が馬という合成獣のような姿になった。
一度復活すれば並の攻撃や結界に効き目はなく、ヴィシュヌとの合体を望んでいたクシャスタリをいとも簡単に消滅させるほどのエネルギー光線を放つなどの危険な力を持ち、吸収した精気が切れるのを待つしか対処方法がないという。
苦戦を強いられ多くの被害を出してしまうが、サルラーマが決死の覚悟で合体に必要な培養獣魔「憑蠱(ピンクウ)」を使うことでカルキと合体しその身を鎮めることで事態は収まった。
その後はナバルパ達に回収されるが、物語終盤の「サンハーラの戦い」で今度は八雲達の味方として登場し、サルラーマのコントロールが効いているのか鬼眼王の配下をことごとくなぎ払うという持ち前の破壊力を有効活用していたが、ベナレスの襲来により戦況を押されるようになってしまい、最終的には半人半龍状態になったベナレスによって討ち滅ぼされた。
余談
パルジェミアにはハーンの他にナバルパ達パドマー寺院の一派も来ていたが、それは彼らの一族が500年前に聖櫃の封印を解いてしまったことで何万人もの死者を出したという記述が寺院に残っていたのでその危険性を知っていたが故に二度目の惨劇が起こる前に聖櫃を取り戻そうとしていた。
また聖櫃には三只眼吽迦羅の一族が使う文字が彫られていたらしく、ナバルパが聖櫃を管理していたことからヴィシュヌは三人目の三只眼ではないかと思われていたが、カルキの出現で八雲と共に来ていた葉子は「ヴィシュヌには第三の眼がない」と否定していたが、「人化の法を受けた三只眼吽迦羅が人間界に来ていたなら、さぞかし素晴らしい奇跡を起こしていたでしょうね」というナバルパの言葉からヴィシュヌの正体は人化の法で人間になり、八雲達の世界に君臨した三只眼吽迦羅だった、という可能性が高い。
また3×3EYESの世界にあるインド神話で語られているヴィシュヌの化身に関しても変則的なものばかり多かったのは、それらがカルキと同じようにヴィシュヌによって作られた生体兵器とも考えられる。
(3×3EYESの世界に存在する神話の多くには何かしらの形で三只眼吽迦羅が関わっているらしい描写があるため)