CV:林原めぐみ
解説
ヒロイン・パールバティー四世の第3の眼が開いた時の人格。1巻で致命傷を負った藤井八雲を目の当たりにしたパイの嘆きに応える形で不老不死の法を使い、彼を三只眼吽迦羅の不死身の僕である「无(ウー)」にした。
普段第3の眼が閉じていてパイの人格が出ている方が多いがこちらが本来の人格である。
この人格を八雲を始めとする人間たちは「三只眼」と呼び、仲間の妖魔たちは「聖魔様」と呼び、敵妖魔は「パールバティー」と呼ぶ。
一人称は「儂」で古風の言葉使いで老人のように語尾に「~じゃ」「~であろう」をつける。
性格はプライドが高く傲慢で尊大。「下衆」「愚か者」という言葉を多用し相手を罵る。
特に「愚か者」は八雲を罵る言葉の代名詞だが、終盤八雲に愛情を抱くようになっても使っているので愛称に昇華したようだ。
序盤は八雲を顔色変えず「奴隷」と言い切り、八雲がどんなに頑張ろうと力及ばなければ容赦なく叱責した。
「三只眼」の状態の時は霊力が高く、強力な光術の他、様々な秘術を使いこなす。
八雲が全く歯が立たなかった数十メートルはある巨大な怪物を一撃で消し炭に変えたり、妖気を感じる者なら数キロ離れていてもその存在をはっきり認識できる程の強力な妖気を持っている。
何より迷いがなく敵と判断すれば躊躇なく殺す冷酷さや、圧倒的な力で敵を殲滅する残忍さを持つ。
序盤では最期の決着をつけるのは彼女の役目だったが、ベナレス復活後は戦いのメインが八雲に移行した為、彼女自身が戦うシーンは激減している。
また強大な力を持つため、眠っていることや、敵に眠らされたり封じられたりすることが多い。
幼い頃はシヴァに育てられたため、シヴァを慕う気持ちが強かった。また幼少期の性格はパイそのものだった。
精神世界の経験によりシヴァへの恋心に決着をつけ、精神的にも肉体的にも成長する八雲を深く信頼する様になっていく。
300年前の悲劇
人化の儀で起きた事故により誤って前の鬼眼王の力を吸収してしまったシヴァが本来の優しさを失い、新たな鬼眼王として君臨するようになってからはそのあまりにも酷な為政によって他の三只眼の不安を買い、対立を生むようになっていく様を目にするようになるが、それでも彼への恋慕と「シヴァと争いたくない」という気持ちから対立はしてもせめて刃を向けないようにしようと望んでいた。(第二部で綾小路ぱいが夢を通して300年前の過去の一つとして見ていた幼い「三只眼」と鬼眼王が聖なる力について議論していた光景がその時期)
しかしこのままでは一族の全滅だけでは済まないことが起きるだろうという危惧をしていた三只眼達がとうとう痺れを切らし鬼眼王に戦いを仕掛けたため、それを知った「三只眼」は同族の殺し合いを止めようと現場へ向かうが時既に遅く、全ての三只眼が鬼眼王によって惨殺され、その様子を見てしまった彼女は絶望してしまい、鬼眼王に殺されかけるすんでのところで鬼眼王の意思を抑えた本来のシヴァが現れ、自分が鬼眼王と共に昏睡状態に入っているうちに遠くへ逃げるように言われた。その言葉通りにシヴァは昏睡するも「三只眼」自身は命を失いかけた恐怖から鬼眼王を聖魔石に封印した。
しかし、「三只眼」は自分を助けようとしてくれたシヴァの言葉を信じられず彼を裏切ってしまったと深く後悔しており、辛いことが多すぎた聖地を離れ、また心の傷を癒すために自分の人格を分裂させた。パイが生まれたのはこのときである。
早すぎたツンデレ?
三只眼はよく「早すぎたツンデレ」と言われる。
ツンデレという言葉ができる以前のツンデレキャラで、いうなれば「ツンデレなき時代のツンデレ」といえる。
当時ツンデレという明確な概念がなかったため、それはど注目されることは無かったが、そのツンデレの破壊力は今日でも十分通用するだろう。
ツンデレを意識して作られた養殖物ツンデレと違い、意識しないで作られた天然物のツンデレであり、簡単にはデレてくれずツン期間がとても長いのが特徴である。
どれ位デレないかというと
物語最初では八雲を認めておらず、彼がどんなに頑張っても叱責をする酷い扱いから始まり。
物語序盤の終りに八雲を認め辛く当たることは無くなったが、その気丈な性格からデレる気配はなく。
物語中盤で八雲を信頼し気遣うようになるが、それでもやっぱりテレはあってもデレない。
物語終盤でようやく八雲を意識するようになり少しデレが入り始め。
最終決戦直前でやっと完全にデレるのである。
ちなみに戦闘力(ツンデレ落差)は「プライドが高くて気丈、全てが主人公を遥かに上回る超絶能力を持ち、下等な奴隷として扱ってくる」から「しおらしくなり、自らの弱さを晒して弱音を吐き、主人公に一夜の契りを求めてくる」レベルまで「進化」する。
序盤の嫌な奴が突如物語中盤の後半辺りからヒロインの階段を猛烈に駆け上がり、メインヒロインをも霞ませるスーパーヒロイン、ダークホース、スーパーサイヤ人3へと「進化」するのだ。どうだ凄いだろシャッチョサン。
その豹変具合は序盤と終盤の三只眼を切り取って店員に双方違うものとクレームをつければ返品できる程。
威厳とプライドに満ちた強気のロリババアが、その面影が消え失せて儚さを感じる程しおらしくなり全裸で後ろから抱き締めてきて「抱いてくれ」と言われたら、貴方ならどうしマスカ?
後日談
本編終了後のキャラ達の日常などを描いた後日談では、パイ共々八雲と夫婦関係になっている。
メインで登場した回では八雲との子供を欲しているものの、无の性質上子供が望めない(射精しても肉体再生の際に血液などと同様精子も全て八雲の体に戻ってしまうため受精ができない)ことを密かに思い悩んでいる。ちなみに憑魔一族の歴史では、一族の体質に伴う出産の危険性の高さ故に、三只眼吽迦羅がほぼ全滅した約300年前まで出産は无の力を持つ女性が担当する仕事だったとされているため、不妊症体質は男性の无特有のものである模様。
このため結婚したハズラット・ハーンと綾小路葉子の愛娘であるセツを溺愛しているほか、(自身が子供の養育費捻出に苦慮しているため)「いくら中出ししても子供ができる心配がなくて羨ましい」と軽く冗談で言った鈴鈴に対して本気の殺意を向けながらブチ切れた。
同話のラストでは完全にデレデレになって八雲に甘える様子が描かれている。かつては早すぎたツンデレと呼ばれ、長らくデレることがなかった彼女も、夫への愛にすっかり骨抜きにされてしまったようである。
しかし……
続編「鬼籍の闇の契約者」にてサンハーラの戦いで鬼眼王に取り込まれていた三只眼達(洗脳で無理矢理従わされた者達)の人格と霊力の三分の一を吸収したことでもう一人の鬼眼王になりかけている。
吸収した三只眼の中には争いを好む凶暴な者もいれば争いを好まない温厚な者もおり、自我を保つのも鬼眼王と同様困難になっている。
そのためカーリーのコピーを作り、人化の儀を行い自分ごと鬼眼王に吸収してもらおうと望んでいる。