概要
六丁の拳銃（内一丁は販売者のミスによりモデルガン）とそれに関わる人間達を描く群像劇。
名古屋近辺を舞台に、2012年6月1日から4日までの出来事をメインに描く。
主要な登場人物
黒田雪路(くろだゆきじ)
二十代前半。殺し屋を営む青年。
独立し、事務所を開業した際、拳銃を新調した。
緑川円子の殺害を依頼される。
甘いものが好きで話が寒い。人を殺せる以外はそこそこ見目の良い普通の青年。
岩谷カナ(いわやかな)
大学六年生（誤植ではない）の女性。学校に行っていないし働いていない。
近所の駐車場で拳銃を拾った。
見た目と言動が幼い。価値観は一般人の善人寄り。ギャッピー（丹羽）という友人を持つ。
『物好き』の吉上順一の援助で暮らしていたが……。
首藤祐貴(しゅとうゆうき)
高校三年生の平凡な少年。ユー↑キー↓。
幼馴染の少女・小泉明日香の身を守ることを夢想し、拳銃を購入した。
才能に秀でた者と出会う奇縁を持つ。それ故コンプレックスも根深い。
一巻で大きな事件を起こす。
時本美鈴(ときもとみすず)
小学六年生の美少女。
嫌いな人ランキングの六位から上を殺害するため、拳銃を購入した。
倫理観と危機感に欠けている。
歌手・二条オワリのファンで、彼女を前に年相応にはしゃぐ一面もある。
緑川円子(みどりかわえんじ)
二十代後半。陶芸家の女性。陶芸教室の講師も引き受けている。
新城雅貴という胡散臭い年齢不詳の男が押しかけ弟子として住み込んでいる。
愛想がなく、口べたで、「そう」が口癖。
淡々とした振る舞いだが、黒田に意地悪してみたり食べ物に釣られたりする一面もある。
花咲太郎(はなさきたろう)
閃かない探偵。
篠崎達郎の依頼で『モデルガン』を探している。
俗に言うロリコン。それを除けばまともな大人の範疇。篠崎の依頼がモデルガンではないことは最初から疑っている。
探偵・花咲太郎シリーズでは主人公も務めている。
その他登場人物
新城雅貴(しんじょうまさき)
年齢不詳の男。緑川の押しかけ弟子。
一年ほど前に押しかけ、住み着いた。無給で秘書のような仕事もこなすが陶芸は今一つ。
金髪に青いスーツで、背が高い。所謂イイオトコというやつ。全体的に胡散臭い。
木曽川(きそがわ)
魔女帽子の殺し屋。黒田と花咲とは友人関係。
商売道具は包丁・ナイフ。
いたずら好きでおどけた言動が多いが自律していて面倒見もいい。
新城雅(しんじょうみやび)
新城雅貴の妹。カナと同い年の凛々しい美女。兄と同じく金髪。
紹介されて黒田の秘書になった。社会の裏側の住人。
小泉明日香(こいずみあすか)
首藤の幼馴染。美少女。
かつては首藤を「ユーキー」と呼んでいて、親しかった。吉上俊吾という同級生と交際している。
二条オワリ(にじょうおわり)
まだ有名になっていない歌手。
何年か後にはメジャーな歌手になっている。
ギャッピー(ぎゃっぴー)
カナの友人であり元同級生。丹羽という名字の女性。
しっかり者の社会人（タカシマヤ勤務）で面倒見がよく、カナの世話を焼いている。
『六百六十円の事情』に出てくる丹羽静の姉で、『電波女と青春男』に出てくる丹羽真の親戚。
岩谷正太郎(いわやせいたろう)
財宝探しのために穴を掘る、妙な格好の好々爺。馴れ馴れしいと共に図々しい。
カナの祖父。
丸い犬
二条オワリの飼い犬。
人語を解する。ペンなどをくわえて字を書くこともできる。「である」口調。
『犬の道』という、『道の犬』と対の短編に出てきた犬。
痩せ犬
痩せた犬。丸い犬と行動を共にしていたところをカナに保護された。
『道の犬』という、『犬の道』と対の短編に出てきた犬。
拳銃の売人
黄土色の帽子を被った三十代前半の男。
全体的に煤けた印象。
篠崎達郎(しのざきたつろう)
花咲に『モデルガン』の捜索を依頼した中年男性。美鈴の担任教師。
姫路灯(ひめじともり)
カナの後輩。いつも和服を着た、緑川の陶芸教室の熱心な生徒。
『あかり』というルビも何箇所があるが多分『ともり』。
男女の仲をこじらせるわけでもないのに、参加したサークルがクラッシュされるジンクスを持つ。
姫路が初登場した『大学の三丁目あたりで -序章その1-』の続きが描かれるはずだった作品はボツになり、『クロクロクロック』シリーズも打ち切られている。
