概要
オモダカ科オモダカ属の水生多年草のオモダカが栽培され、突然変異を起こしたものである。基本種のオモダカと同じく、葉が矢じり型をしている。
名称の由来は見た目が農作業の道具である鍬に似ていることから鍬芋(くわいも)の訛りだとも、河芋(かわいも)が訛ったものであるとも言われる。
原産地は中国とされ、日本に渡来した時期は不明だが、奈良時代や平安時代の書物にはすでに名前が見られ、江戸時代には盛んに栽培されていた。
根茎が青藍色の青クワイ、淡青色の白クワイ、小粒の吹田クワイの3種類があり、いずれも水田で栽培される。
現在最も多く栽培されているのは青クワイである。年末の市場に出回り、根茎から芽が出ているのを「芽(目)出度い」にかけてお正月のおせち料理に供される。茹でるとさつま芋や栗に似たホックリとした食感
また、塊茎から目が出ている様子を、江戸時代の医者が月代を剃らずに髷を結っているヘアースタイルになぞらえて「慈姑頭」と呼ぶことがあった。
近縁種
中華料理屋であんかけ焼きそばを頼むと、たまにシャリシャリとした食感の、イモのような食材が入っていることがある。これはオオクログワイという食材で、我が国では「中国クワイ」の名称で水煮にした塊茎の缶詰めが外国の食料品を扱っている店や大型百貨店などで販売されるが、クワイはオモダカ科、オオクログワイはカヤツリグサ科と属する科名が異なる。
カヤツリグサ科の中でもオオクログワイの属するクログワイ属は時として水田にはびこり、これが元で稲の収穫が減少する原因にもなっているが、その一方で日本にも自生するクログワイ(オオクログワイより根茎が小さく、見た目はオモダカ科のクワイに近い)などは救荒植物としての面も持ち合わせている。
余談だが、近年スーパーフードとして人気のタイガーナッツ(和名はショクヨウガヤツリ)もカヤツリグサ科の植物である。尤も、実際に食しているのはナッツ、つまり果実ではなく根茎であるが。