牛蒡とは、根菜類の一種である。
っていうか、武器に使うんじゃねぇって!
概説
キク科の多年草で、非常に長い根を持つ。
その長さは種類にもよるが、おおよそ1m前後以上は伸びる。
競走で後方から一気に対戦者を抜き去ることを「ごぼう抜き」と呼ぶのは、牛蒡の根の長さに由来する。
日本の在来種ではなかったが、縄文時代の遺跡からは植物遺存体(いわゆる発掘物)として見つかっており、遅くとも平安時代までには伝来したとされる。
食物繊維が大変に豊富で、特に水溶性食物繊維に富むため昔から便秘対策の味方として知られる。同時に繊維質が高く、生食では土臭さや灰汁も強いため、水で晒して(特に米の研ぎ汁がよい)臭みを抜いてから加熱することが多い。ただ昨今では、コーヒーにも含まれる抗菌作用のあるポリフェノール「クロロゲン酸」を多く含むもことも発見されたため、長時間、水に晒すのはあまり良くないと言われるようになった。
またオリゴ糖も豊富に含み、野菜及び天然の食品ではトップクラス。上記の食物繊維と合わさり、腸や善玉菌に対して極めて優れた食品といえる。
日本では煮物、きんぴら、汁物の具として定番。最近では牛蒡サラダ、さらに油とも相性が良く薄くスライスにしてあげた牛蒡チップスなど、意外に料理の幅は広い。
海外では以下のような料理がある。韓国ではキンパ(韓国式太巻き)やきんぴらやナムルの材料にしている。イタリア、ポルトガル、ブラジルなどでは揚げ物にしているようだがマイナーな様子。イギリスではタンポポとゴボウの根を発酵させた「dandelion and burdock」という飲料がある。中国ではお茶にして飲むほか、広東省の伝統料理に牛蒡排骨湯(ゴボウとスペアリブのスープ)、牛蒡淮山玉米汤(ごぼうと山芋ととうもろこしのスープ)などがある。
ただ西洋はおろか、昨今ではアジア圏でさえマイナーな野菜となっているらしく、海外からの移住者や旅行者からは「木の根っこ」と勘違いされ、好き嫌いが割れる傾向にある。
実際、日中戦争・太平洋戦争の占領下の地域で、牛蒡の育成を進めたところ、戦後の東京裁判などで「木の根を食べさせて虐待された」と誤解され、BC級戦犯として訴訟されたケースがある。……という伝説が有るが、その裁判の記録では当該被告にはそれ以外にも様々な捕虜虐待容疑が有り「元から色々と捕虜虐待が日常茶飯事だった捕虜収容所で、たまたま、ゴボウを食事に出したので、木の根を食わせようとしたと誤解された」というのが実状に近い。
余談
ネタとして葱ともども、「ごぼうソード」的に、チャンバラごっこの得物にされる。
食べずに最後まで育てるとアザミに良く似た花が咲く。
表記揺れ
関連タグ
ヨウシュヤマゴボウ:こちらはヤマゴボウ科であり、類縁関係はない。
バーダック:牛蒡の英名(burdock)から。
ごぼう抜き:牛蒡を収穫する様子から生まれた言葉。詳細は個別記事参照。