概要
別名「スネイルフィッシュ」。海溝(海底の谷底)に生息し、魚としてはもっとも深い5000~8400メートル辺りのエリアで見られる。
大きさ20センチくらい。
ちなみに水深6000メートルを越えるエリアは「超深海」と呼ばれ、地上の700~800倍というすさまじい水圧が襲いかかってくる(あと水温は1~2度。これは南極の湖に匹敵する)。
だが彼はその圧に耐えるためにぶよぶよボディになり、体には油を貯めて浮力を確保しているらしい。またあばら骨がないのも特徴で、魚というよりも真っ白なおたまじゃくしのような体格をしている。
当然素早くはないながらもそこそこ動けるようで、深海を調査するついでにサバを置いて餌付けしてみようという実験の際にはわんさか集まってきたという。動けるデブ……?
なおアゴの奥には「咽頭顎(いんとうがく)」という器官があり、エサを飲み込む助けにしている。
クサウオ
寒冷な浅い海に生息する魚で、大きさ50センチくらい。漢字で書くと「草魚」。
臭くはないが値打ちもないので、つまらない魚という意味で「草魚」だとか(しかし食用にはなる)。なおソウギョも「草魚」と書くが、こっちは鯉の仲間である。
こぼれ話
8400メートルを越える辺りになると猛烈な水圧でタンパク質が変質してしまうという異常事態によって魚は完全に脱落する。
だがそれより深いエリアでも生物がいないわけではなく、微生物の他、ナマコの仲間やカイコウオオソコエビ(ヨコエビの仲間。ダンゴムシやダイオウグソクムシ等に近縁)といった無脊椎動物が元気に暮らしている。彼らはなんとマリアナ海溝の底=1万メートル越えのエリアで確認されたというから、生物のたくましさを感じさせる。