概要
007ゴールドフィンガーの登場人物、ボンドガールである。
登場時の立ち位置はゴールドフィンガーの協力者
マイアミのホテルのプールサイドで007ことジェームズ・ボンドがガールフレンドのディンクと休暇を過ごしていると友人フィリックスから、カードゲームでイカサマしているとしか思えない勝ち方をしているゴールドフィンガー氏の手口からくりを探り、証拠を押さえて欲しいと依頼される。
ボンドはイカサマの証拠を押さえるべくホテルのゴールドフィンガーの部屋に侵入すると部屋は無人だったが、バルコニーから女性の声が聞こえてきた。
バルコニーには、ソファーに黒い下着姿でうつ伏せに寝転びながら望遠鏡を覗く金髪の女性の姿があった。傍らには無線機があり彼女はマイクにしゃべりかけていた。
女性はホテルのバルコニーから望遠鏡でカードゲームの相手の手札を盗み見て無線で伝えていたのだ。ボンドは忍び寄り無線機のスイッチを唐突にきった。
「誰?!」
「ボンド、ジェームズ・ボンドだ」
驚き振り向き、目を見開いて訊ねる女性にボンドは平然と名乗った。
「君は?」
「ジル…ジル・マスターソンよ」
「君はなぜこんなことを?」
「お金で雇われているからよ」
「君にはふさわしくない仕事だ」
無線でゴールドフィンガーを脅しつけるボンド。
当初警戒心を見せていたジルも彼女を悪事に関わらせるゴールドフィンガーから引きはがし連れ出そうとするボンドにあっけなくたなびく。
「貴方は魅力的ねジェームズ」
二人はボンドの部屋へと移り、一夜を共にするがゴールドフィンガーの仕返しを受けてしまう。
刺客に不意打ちで殴打され昏倒するボンド。
気絶させられたボンドが目を覚ますとジルを呼べども返事はなかった。
彼が部屋の明かりをつけると、ジル・マスターソンは部屋のベッドにいた。ただし裸で全身を金で塗り固められて。
うつ伏せに倒れ、黄金のマスクのようになった顔をこちらに向け、片腕は力なくベットから垂れ下がっていた。その金色の顔は瞼と唇を閉じ穏やかな眠るような表情であったが、全身金塗りにされた姿ではかえって異様さを際立たせてもいた。
主人公が彼女に近づき脈を確かめるが残念ながらそれはなかったようだ。
電話でフィリックスに連絡するボンド。
ちらりと倒れた彼女の脚部に視線をむけるとスクリーンに金粉塗りされた脚部が大写しとなる。数分前のイカサマの手伝いをしていたシーンでは退屈そうにゆらゆらと動かし、ラブシーンではベットでキスしながら足の指さきで相手の足を艶めかしく愛撫していたその見事な脚線美は今や指の間まで黄金の塗られ鈍い輝きを放ちながら投げ出されたかのようにもはや動かず、ただの置物のようにそこにあった。
「女性を殺された」
「ディンクか?」
「いやジルだ。ジル・マスターソン。全身をゴールドでペイントされている…」
容姿
淡い金髪を肩にふさふさとかかるぐらいに伸ばした、深みのある青い瞳と笑みの似合う口元のうら若き女性で身長は5フィート10インチ(約175cm強)ほどとすらりと高く、日焼けした肌に手足は水泳選手のように締り、胸はブラジャーの中でぐっと盛り上がっていたと描写される。
原作小説との相違
原作小説ではボンドが金粉で塗り固められたジルを直接目にすることは無く間接的に知るのみである。映画は見る娯楽であるとして直接描写される変更がなされた。
全身を金で塗られる
全身に金粉を塗られた姿で死亡しているシーンを銀幕で披露したことにより強烈なインパクトを残した。作中でも死因は全身を金で塗り塞がれたことによる皮膚呼吸不全であると説明されたことから、まことしやかに信じられる事となったが、人間がボディーペイントでの皮膚呼吸不全で死ぬことは無く、そのことは映画制作陣は承知のことであった。
それでも万一の場合を考えて画面に映らない腹部は塗らず、医師の立会いのもと撮影された。
ジル・マスターソン役を演じたシャーリー・イートン氏は撮影時のインタビューに「全身金粉塗りになるのはむしろ楽しい体験だった。ただ撮影後に塗料を落とすのが大変だった。洗い落とすのも大変だし、それでも細かな金粉が皮膚に残るのでサウナで発汗してようやく落としきった」と語った。