概要
『スチームボーイ』の重要なキーパーソンともなる発明品が、このスチームボールである。アイスランドにある洞窟内部で発見された特殊な鉱水をアメリカに持ち帰り、工場で蒸気にすると同時に、ジェームス・ロイド・スチムとジェームス・エドワード・スチムの1人が開発したスチームボールに、通常の蒸気に比べて比較にならないほどの超高圧の蒸気を封じ込める事に成功した。
開発
しかし、スチームボールの開発は決して順調に行ったわけではない。スチームボールその物は破裂する事もなく、超高密度の蒸気を封じ込める事に成功したものの、蒸気を送り込むための設備や装置が超高圧の蒸気に耐えられずに破損してしまった。
この時、息子のエドワード(エディ)が、設備の暴発を防ぐ為にバルブの閉鎖作業をしていたが、運悪く彼の頭上にあったパイプが破裂。多量の蒸気が一気に降り注ぎ、彼を直撃してしまい大火傷を負う。これを機に、設備の大半が次々と暴発、破損していき、開発の継続を不可能にしてしまった。
スチームボールは息子の身体と設備を引き換えにして、第1号品が完成したのである。その後も2個がつくられているが、こちらは順調に開発できたのかは不明である。
威力
大きさはサッカーボール程の球体で、半球同士を組み合わせてボルトで固く固定している。先端には蒸気を噴出する噴出孔と、調整バルブがある。蒸気エネルギーが如何なるものかは、詳しく説明されていない。しかし、スチームボール2個で(本当は3個必要だが、ロイドが目を盗んで持ち出した)、スチーム城の全ての動力を賄うことが出来る。
そのためボイラーが無く、スチームボールの超高密度の蒸気圧によってのみ、城の内部にある大小様々なピストンや歯車を動かしてしまう。1個のみでも考えもつかない威力で、スチム家の工房に有った蒸気計測器には、要請で駆けつけてきたライバル発明家ロバート・スチーブンスンやデイビットでさえ、聞いたこともない単位が記される程の圧力が込められていることが想像できる。
また、超高密度で封印されていたために、一気に空気中に蒸気を放出すると、元に戻ろうとして周囲の熱を一気に奪ってしまい、一瞬で氷漬けにしてしまう程の超低温を生み出す副作用がある。これだけでも相当な脅威であり、英国軍を忽ちに氷漬けにしてしまった。