唯一無二の世界最速のマシン。アートとサイエンスの融合により生み出されたフォルム。Speedtailはマクラーレン史上初のHyper-GTです。マクラーレン史上最もエアロダイナミクス効率に優れたマシンです。マクラーレン史上最速のこのマシンの心臓部には、1050PSという圧倒的出力を発揮するハイブリッド・パワートレインが搭載されています。自動車デザインの新たな基準を打ち立てるため、前例のない水準のイノベーションとエレガンスが融合されています。さらに、かつてないほど細かいレベルでのカスタマイズに対応いたします。ドライバーをキャビンの中央に配置する独自の3シーターレイアウトが採用された見る者を魅了する長いボディは、現代の技術が成せる最高傑作です。これが、アルティメットシリーズに新たに加わるマクラーレンの最新モデル、Speedtailです。サイエンスとしてのアートと、アートとしてのサイエンスの融合です。
─ McLaren Speedtailのキャッチコピー (公式)(原文ママ)
概要
マクラーレン・オートモーティブのロードカー部門で最上位となる「アルティメットシリーズ(Ultimate Series)」の最新モデル(当時)として2016年11月に発表。マクラーレンが行う投資計画「Track25」の一環として開発された18台の新型車及び派生車の一つである。上記のキャッチコピーに書かれていた通り、スピードテールはハイブリッドカーである。
開発コードネームはBP23。
2018年11月、マクラーレンはスピードテールを106台限定で生産すると発表。しかし、発表時には既に完売していた。価格は税別175万ポンド(約2億5000万円)以上。
約3分の1がアメリカ合衆国からのオーダーであったが、ドアミラーの代わりにカメラを使用し、サイドマウントエアバッグを使用していないこともあり、アメリカでは公道走行が許可されていない。マクラーレンはアメリカにおけるスピードテールの購入・登録・輸入を行わない旨を発表しているが、同社の広報担当によれば「NHTSA(アメリカの運輸省)の承認を待って、「展示の為の輸入なら合法の可能性がある」としている。なお、NHTSAの安全基準では「歴史的または技術的に重要な車」を除いて、所有者は12ヶ月間に2500マイル(約4023km)を超える距離を走行しない事を義務付けている。
2019年12月に高速度テストを終了し、イギリスでの生産を開始。本国では2020年2月よりデリバリーが開始されている。
スペック
エンジンは90°に開いた4L V型8気筒DOHCエンジン(型式: M840TQ)に、ツインスクロールターボをデュアルで取り付けている。
モーターにはフォーミュラE(俗称「電気自動車のF1」)の技術が組み込まれており、パラレルハイブリッド方式で組み合わせられる。
結果、最高出力はP1 GTR(P1のページを参照)を優に超える、1070ps/7500rpm、最大トルクは1150Nm/2000rpmという驚異の数値を叩き出している。最高速度は403km/h。
トランスミッションは7速ツインプレートクラッチ。最近のスーパーカー・ハイパーカーらしく、パドルシフトでのシフト操作が可能。
乾燥重量1430kg。
インテリア
同社がリリースした往年の名車「F1」さならが、3シーターレイアウトを採用した点が最大の特徴。運転席が中央に配置され、運転席の後方両側に助手席が2つ配置されている。F1では視認性を確保する為にこのレイアウトを採用していたが、スピードテールでは乗員がシートに滑り込みやすくすると同時に、ドライビングポジションの保持を目的として採用している。
ワイヤレス式の充電パッドを搭載し、走行中のバッテリー充電は勿論、停車時などの非走行時にもトリクル充電(微弱な電流を流し続ける充電)が行われる。
ウィンドウには内部にLEDが仕込まれたエレクトロミックガラスを採用し、ワンタッチで暗くなるサンバイザーのような役目を持つ。
エクステリア
モノコックはカーボンファイバー製。ドアはマクラーレン伝統のディヘドラルドア(バタフライドア)を引き続き採用するが、マクラーレンでは史上初の電動開閉式となった。
前輪には空気抵抗を減らす為に、カーボン製のスタティックカバーが取り付けられている。車体後部には油圧で作動するアクティブウィングが装着されている。
ドアミラーは装備していないが、イグニッションオンで車体からせり出し、走行モードがアクティブになると収納されるHDカメラを搭載している。
スピードテールのあちこちに使われているカーボンファイバーだが、そもそも従来のカーボンファイバーに着色する方法は、その構造の完全性と色合いの透明感が損なわれるというデメリットがあった。このデメリットを克服した方法というのが、極めて薄いチタンの層を活用するというもの。カーボンファイバーに直接チタン層を蒸着する事で、チタン層をカーボンファイバー構造の一部にするという技術を開発した。これによりカーボン本来の圧倒的強度と軽さを損なうことなく、圧巻の仕上げ、すなわちビスポーク仕様のカラーでアルマイト仕上げが施された光を反射してキラキラと光る美しいカーボンファイバーを実現する可能性をもたらした。
スピードテールには、1本の糸が3000本の繊維の束で構成される従来のカーボンファイバーではなく、1本の糸が1000本の繊維の束で構成される、より細いカーボンファイバーが使用されている。この特別なカーボンファイバーの「デジタル織機」製造工程には、複雑なパターンを実現する為、最先端の技術と伝統的なテキスタイルの技術が取り入れられている。そしてこの複雑なパターンの魅力を引き出すことが出来る唯一の手法、マクラーレン独自の薄層技術(TPT)による圧延仕上げにより、カーボンの層状の構造が見事に剥き出しにされる。これらの努力が実り、公道においてこれまで見た事がない様なカーボンファイバーが誕生した。
関連イラスト
関連タグ
セナ→同じくアルティメットシリーズの1台。セナ GTRもここで解説。
エルバ→同じくアルティメットシリーズの1つ。