概要
ズブライトール(Zburător/Sburător)とは、ルーマニアの伝承に登場する「夜に乙女と愛を交わす放浪の精霊」。
所謂、美しく若い男性の姿で女性を誘惑し、夢の世界の中で歓喜と絶望の両方を与える淫魔ともされる夢魔の一種である。
真夜中になると女性の、特に新婚の女性の元に現れて淫らな行為に誘うとされるが、その姿は他の者には見えないといわれている。
なおこの名はルーマニア語では「フライヤー:空を飛ぶ者」という意味で、本性は東欧で伝承される龍人ズメウに似ているが、変身能力を持っているため外見的には人間に近しい存在であるとされる。
創作での扱い
帝政ロシアの貴族・ディミトリエ・カンテミールが1714~1716年に記述したモルタヴィア公国(現ルーマニア)の伝承を紹介する文章で言及される。
19世紀になるとイオン・ヘリアデ・ラドゥレスクやミハイ・エミネスクなどのルーマニアの文学者による、後期ロマン主義文学の題材となっている。