概要
緩体類の下位分類であるタンガクウナギ科に属する魚類の一群であり、その和名の通り単顎、つまり上顎が存在しないという点で非常に特徴的。その学名であるMonognathusもギリシャ語で「単一の」を意味するmonosと「顎」を意味するgnathosの合成語である。
一見上顎に見える部分は前方に突出した頭蓋骨とそれに繋がる軟組織から構成されており、人間に例えれば唇〜鼻にあたる部分がごっそり無くなっていることになる。また、胸鰭は消失しており、背鰭と臀鰭を支える骨も存在しない。
上顎を持たない代わりに頭蓋骨はスパイク状に突出しており、毒腺らしき穴が開いているのが確認されている。どうやらこの"牙"を用いて獲物に毒液を注入し、捕食するらしいが詳細は不明。体長の3分の1程度のエビを飲み込んでいた事例が報告されている。
殆どの標本は水深2000m以深で採取されており、他の緩体類と同様に普段は中層域を漂っていると推測されるが、詳しい生態については殆ど分かっていない。