概要
RPG要素を盛り込んだボードゲーム『ドカポン』では、相手プレイヤーへの妨害手段や資産強奪のための手段が豊富に用意されている。友情破壊ゲームであることを公式に謳っただけのことはあり、ともすればにっちもさっちもいかない状況へ陥ることも考えられよう。
このキャラクターは、それに対する切り札と言える手段であり、主に最下位のプレイヤーが特定の条件を満たすことにより、資産や持ち物のほとんどを失う代わりに、ほぼ絶対的な力を一定期間行使できる、それがデビラーマンである。基本的には魔界との契約を交わして変身する(資産を失うのはこのため)。即座にデビラーマンになれる専用アイテム「けいやくしょ」が存在する。
IVおよび321では特定のマスに止まらなければならないが、「けいやくしょ」があれば即座にその場所へワープ可能。
PS版「怒りの鉄剣」では、契約相手の闇商会ウェーバーの話によると「悪の心をエネルギーとして強大な力を得た魔界のヒーロー」という設定があったりする。
具体的に何が出来るかというと、これが割と洒落にならないものばかり。
- 全てのパラメータが数倍に強化され、最強装備品が貸し与えられる。よほどの状況でない限り無双状態
- 一度に回せるルーレットの数が多いため、移動力が高い
- 他のプレイヤーとのバトルになった場合、降参できないルールになる。そうそう悪魔からは逃げられない
- 作品によっては殺し屋に相手プレイヤーの撃破を依頼できるイベントが発生することもあるが、デビラーマンを指定しても当然無駄で、殺し屋さえ恐れて近づかない(悪魔には勝てないと明言してしまう)
- 相手プレイヤーを撃破した場合、通常はもらえないはずの経験値を獲得できる。レベル差がある場合はすぐに追いつく。また装備品などをすべて捨てさせるということも可能。
- 他のプレイヤーが所有する土地を訪れただけで、中ボスに乗っ取らせて所有権を剝奪(+経験値を獲得)できる
- 敵モンスターと共存関係にあり、中ボスが支配する土地では回復してもらえる
- 毎ターン貯まってゆく暗黒闘気を使うことで、妨害魔法や資産強奪・消去などの攻撃を仕掛けられる。これまでの資産があっという間に消えていくさまは筆舌に尽くしがたいものがある
このような逆転の手段の塊みたいな形態に誰かが変身した瞬間、ゲームの流れは当然一気に変わる。無双を始めるデビラーマンに、怯える他の面々はどう過ごすのか。果たして無事に過ごすことが出来るのか。もちろん契約期間終了後は元の姿に戻るのだが、これが原因で復讐が復讐を生むことも珍しくないので、混沌とした展開へ発展することはまず避けられないだろう。
しかし、魔界との契約で魂を売る行為である負の側面も存在しており、ほとんど無敵の存在でありながら、決して万能な存在ではない。
- 店での買い物は出来ないし、宝箱などからアイテムを拾うことはできない
- 戦闘にならないマスなので、ここに逃げ込めばひとまず安全地帯と言える。ただし、それをも封じる手段がデビラーマン側には用意されている
- そもそもアイテムを持っていても原則的に使うことができない
- 敵モンスターと協力関係にあるため、敵モンスターを倒して経験値や資金を稼ぐことが出来ない
- 当然だが土地の所有もできない
このようにデビラーマンは本質的に、本ゲームの最も重要なテーマである「財産稼ぎ」が不可能という最大の欠点を持っている。どこまでいっても悪魔は悪魔でしかなく、いかに強大であっても所詮は他人の財産を奪う存在でしかない。そのため、奪った資産をいかにして契約終了後に自分の物にしてゆくか、プレイヤーの底力が問われる存在と言えよう。
アナザーデビラー
▲右上の黒いキャラクター。
『ドカポン・ザ・ワールド』にのみ登場する、さらなる強化形態。変身条件がデビラーマンより厳しいものになるが、パラメータの強化や各種特技は他のプレイヤーにとっては絶望的なレベルに達する。そのいでたちは、もはや悪魔という存在さえ通り越してしまい、人外であることはおろか生物であるかどうかさえ怪しい。
ワルサードッキング
『ドカポンDX』にのみ登場する、イレギュラーな形態。最終章から分岐する可能性がある「魔界の章」に登場。姿かたちや能力は通常のデビラーマンと一緒なのだが、最大の特徴はドカポン王国を滅ぼそうとするワルサーと手を組んだプレイヤーキャラクターとしての、いわば魔王となった姿であること。
つまり、変身日数に制限というものが無く、さらに倒した相手はルーレットで0を出さない限り蘇れないという、ゲームの基本ルールを覆す力を持つ。
他のプレイヤーからすればこのデビラーマンを倒す事が最終章の目的になるが、無双状態のデビラーマンが相手なので基本的に勝負にならない。
そしてデビラーマンが勝利した時、本当にドカポン王国は滅亡する。
順位発表でも天使が「ドカポン王国が滅んじゃったから1位になっても王様にはなれない」というコメントを残しており、シリーズでも異例の「金ではなく力で王位を奪うことに成功した例」である。
関連タグ
TVアニメ版・デビルマン:ネーミングの元ネタ。SFC版第1作ではデビル名義かつ、説明書ではまんまデビルマンの名で紹介され、巻末漫画でも「ビームとかカッターとかは何もない」というあからさまな元ネタである描写がされていた。権利関係に緩かった時代ならではのエピソードと言える。