概要
トゲウオ目に含まれる科の1つ。トミヨ、ハリヨ、イトヨ、ウミトゲウオなどが含まれる。
日本では寒冷地を中心に、北海道、本州、九州に生息する。九州にはニホンイトヨのみ生息するが、近年は確認例がない。
トゲウオという名前は、背鰭の前半に膜がなく、棘が並んでいることに由来する。
体長は平均10cm未満だが、カナダには20cmに成長する個体群も存在する。
食性は基本的に肉食で、プランクトンや甲殻類、水生昆虫などを捕食するが、藻類を食べることもある。
湧水域や低水温の河川に生息する陸封型の種、海と河川を行き来する遡河回遊性の種、汽水域に生息する種、浅い海に生息する種などが存在し、多様な生態をもつ。
主に寒冷地に生息する為、高水温には弱く、日本列島の本州に生息する種は、ニホンイトヨ以外の全てが湧水に依存している。亜寒帯の北海道では、湧水域ではなくても生息する。
5属8種とされることが多いが、DNA的に異なる部分があるグループがいくつか確認されており、倍以上の種がある可能性が高い。
繁殖期にはオスに婚姻色が現れ、水草や苔、海藻で鳥の巣状の巣を作り、そこにメスを呼びこむ。卵は孵化までオスが保護する。
複雑なダンスを含む求愛の儀式で知られ、生物の行動を考える際によく利用される。
主な種類
イトヨ属
- 太平洋系降海型イトヨ (海と河川を行き来する。)
- 太平洋系陸封型イトヨ (陸封型)
- ニホンイトヨ (海と河川を行き来する遡河回遊性)
- ハリヨ (陸封型)
トミヨ属
- エゾトミヨ (陸封型 最も淡水に適応している)
- ミナミトミヨ(近畿地方の個体群は絶滅)
- トミヨ属雄物型 (陸封型 雄物川水系に生息する)
- カクレトミヨ (陸封型)
- ムサシトミヨ (陸封型 現在は埼玉県のみに生息)
- トミヨ属淡水型 (陸封型)
- トミヨ属汽水型 (河川の汽水域や汽水湖に生息する)
クレア属
- カワトゲウオ (北アメリカの河川や湖に生息する)
スピナキア属
- ウミトゲウオ (北欧の大西洋岸に生息する)