ドラキュラ紀元とは、キム・ニューマンの人気シリーズ。あのブラム・ストーカーの小説吸血鬼ドラキュラにおいて、ヘルシング教授がドラキュラに負けてしまい、ドラキュラが大英帝国を支配してしまったという、IF展開を描いた作品。
日本語翻訳は梶本靖子(現在は鍛冶靖子名義)
作品解説
舞台はドラキュラが支配する霧のロンドン。見かけ少女のちょっぴりロリババアヴァンパイアと、過去を背負ったおっさん諜報員が、闇に巣くう切り裂きジャックの謎にせまる物語。
知る人ぞ知る作品でコアなファンがいる作品。
史実とフィクションと
実在した人物と映画や小説などの既成フィクションからの人物が登場。だいたい300人中95%をしめている。
が、誰一人知らなくても問題なく物語を読み進めることができる。
パロディシーンも大変多いが、知らなきゃ知らないでいいのだ。
吸血鬼作品によくある専門用語
人間をどう呼ぶか
人間を吸血鬼に生まれ変わらせる儀式をなんと呼ぶか
小説にせよゲームにせよTRPGにせよ(特に後者二つは顕著に、さらに言うなら分けて表現する必要もない気がするが)吸血鬼をメインとする作品の世界観の装飾品として専門用語がホイホイでてくるが、本作品は分かりやすい表現やどこかで聞いた気がしなくもない表現が多く、翻訳も飾りすぎずざっくりしすぎずで本書を楽しむ一因となっている。
邦訳のない四部以降の作品
四部以降はがらりと雰囲気が変わる。主人公ジュヌヴィエーヴは来日。日本「ヨウカイタウン」に赴き、ろくろ首のおよつとであう。
日本の妖怪は「日本における吸血鬼」となっている。例えば河童は家畜の肛門から血を吸い、農夫の肝臓を食べ、その妻をレイプするなど、風評被害も甚だしい設定になってる。
発売前の6部の概要は「(仮)Daikaiju:Anno Dracula 1999」。
吸血鬼居留地を舞台にサイバーパンク、怪獣、そしてヤクザの物語がはじまるという、ニンジャスレイヤーみたいな世界観を匂わせていた。
だがあまりにアレだったのか「Anno Dracula: One Thousand Monsters」というタイトルで発売され、概要も変更された
「日本に吸血鬼はいない。それが天皇の見解だ。だが天皇は間違っている」
登場人物の一部
主人公
チャールズ・ボウルガード
インドの山奥から帰ってきた銀剣仕込み杖の英国紳士のおっさん。
ジュヌヴィエーヴ・デュドネ
15世紀のフランスで生まれ16歳でヴァンパイアになった金髪少女。
吸血鬼ドラキュラからの登場人物
アーサー・ホルムウッド
ドクター・セワード
その他フィクションからの登場人物
ジキル博士
ルスヴン卿
実在した人物
フローレンス・ストーカー
オスカー・ワイルド:芸術の熱意が冷めて、男の血を嬉々として吸いまくっているという設定。
出版
・創元推理文庫(第三部まで)
・アトリエサード(2018年からの完訳版。これまでなかった四部以降も出版予定)