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カーミラ

かーみら

「カーミラ」とは、レ・ファニュの吸血鬼譚、およびそれに登場する女吸血鬼の名。また、それをモチーフとした様々な作品のキャラクター。
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概要編集

アイルランド人作家のジョゼフ・シェリダン・レ・ファニュが1872年に著した怪奇幻想文学、およびその作中に登場する吸血鬼の名前。


日本では1948年に『死妖姫 — カーミルラ』(野町二訳、新月社英米名著叢書)としてはじめて出版される。1970年以降複数の翻訳者に邦訳され、児童向けにアレンジされたものも含めその版は非常に多種多様。


あらすじ編集

物語はヘッセリウス博士がある情報提供者から受けとった手記のなかで語られる。


主人公のローラは幼いころに母を亡くし、退役軍人の父とともにオーストリア、自然豊かなスティリアの所領で暮らしていた。親子のほか、森に囲まれた城に住むのは数人の使用人とその家族のみで、ローラはときおりの来客や遠出をのぞけばさびしく暮らしていた。


6歳のある夜、ローラはナーサリールームでひとり目覚める。子守に放っておかれたことに気づいた彼女はしずかに泣きだし、そしてベッドの足下に見知らぬ美しい女性がいることに気づく。

ローラは女性にやさしく抱きしめられ、そのまま安心して眠りにおちるが、胸を錐でさされたような痛みでとびおきる。この不快な体験は彼女にふかく刻み込まれる。


19歳になったローラは、父の友人スピエルドルフ将軍とその養女ベルタの来訪が、ベルタの急死によってなくなったことを非常に哀しんでいる。ローラがスピエルドルフの錯乱した手紙について考えながら夜の城外を歩いていると、猛スピードで走る四頭立ての馬車に行き会う。馬車はローラの眼の前で木に激突、横転し、中から気を失った少女が運びだされる。同じ馬車に乗っていた貴婦人は少女の母を名乗り、急を要する用事のために娘をちかくの村に預けていきたいと言う。ローラの父は自分の城で彼女を世話することを提案し、貴婦人の娘は3ヶ月のあいだ城に滞在することになる。


少女の名はカーミラ。旧く高貴な生まれの彼女は、輝くように豊かな色の小さく整った顔立ち、大きな黒い瞳と金がまざる豊かなブルネットをもつ優雅な細身の美しい女性である。しかしどことなく気だるげで、午後にならなければ起きてこない。食事はわずかにしか摂らず、また賛美歌を嫌う。

魅力的なカーミラに心惹かれるローラだが、次第に彼女の振る舞いや言動に不審を覚えていく。やがてローラの身の回りには奇怪な出来事が起こるようになり……。

登場人物編集

  • ローラ

語り部。父の所有するスティリアの城に住む19歳の女性。金髪に大きな青い瞳の美人。母を幼いころに亡くし、人のこない城で育ったが、社交にはひじょうに熱心。カーミラとは出会ってすぐに親しい友人となったが、彼女の濃厚なスキンシップや奇妙な言動にはときどき困惑を表明する。


父は英国人で、かつてはオーストリア帝国に仕えていた退役軍人。母はスティリアの人で、かつてこの地を治めていたカルンシュタイン家と遠い血縁関係にあったらしい。

  • カーミラ

馬車の衝突で気絶し、先を急ぐ母親によってローラたちの城にあずけられた高貴で聡明な女性。ローラとおおむね同じ年頃に見える。肩にかかるほどの長さの濃い豊かなブルネット(金がところどころにまざっている)と、ぱっちりとした黒い瞳が印象的な美女。背が高い。

ローラが6歳のころ夢のなかで見た女性。出会ってすぐのローラに強い親愛をあらわし、ときおり荒い呼吸をしながら熱っぽい眼でローラを見つめる。



その正体はかつて絶えたカルンシュタイン家の女伯爵マーカラ。死後吸血鬼として蘇り、女性の血を吸って数々の変死事件を起こしていた。


可憐な令嬢を狙う美貌の女吸血鬼という妖しい設定は、ただ恐ろしい怪物だったそれまでの吸血鬼にはない魅力を持ち、後のブラム・ストーカーの怪奇小説「ドラキュラ」にも影響を与えた。

そのキャラクターには現代にも通じるものがあり、小説はもちろん、漫画、アニメ、ゲームと様々な媒体の作品で「カーミラ」やそれに類する名前の女吸血鬼が登場している。


ちなみにカーミラは作中でいくつかの名前を使い分けているが、全てCarmilla(生前の名前はMircalla)のアナグラムである。


関連タグ編集

吸血鬼 / 女吸血鬼 ドラキュラ


曖昧さ回避編集

キャラクター名・名称編集


カーミラをモチーフとしたもの編集


  • カーミラの肖像(ガラスの仮面)

亜弓さん

演劇を題材にした漫画「ガラスの仮面」では、作中で演じられる舞台の一つとして「カーミラの肖像」が登場する。


ヒロインの北島マヤを陥れ、その地位を奪った乙部のりえに激怒した姫川亜弓は、主人公ローラを演じるのりえに対し、カーミラの役を以って対決。

カーミラを「吸血鬼という望まない運命を背負わされた、孤独で悲しい少女」として演じ、完全に舞台を乗っ取ってしまう。

それまでマヤに対し、「紅天女」を争うライバルとしてひたすら敵愾心を燃やしてきた亜弓が、そのライバルのために痛快な活躍を見せるという名編であり、これで一気に彼女に魅せられてしまったファンも多い。またゴージャスな衣装に身を包んだ、カーミラ亜弓の美しさも必見の一遍となっている。


連載当時(1980年代)の日本において吸血鬼と言えば「血を吸うコウモリ怪人」のイメージが先行しており、亜弓が演じたカーミラの役作りは異端の部類であった。

そのため、亜弓は稽古中に取材にきた記者に対し『ヴェニスの商人』の悪役シャイロックを悲劇的に演じた19世紀のシェイクスピア俳優、エドマンド・キーンを例に挙げて解説している。


  • カーミラ(悪魔城ドラキュラ)

センシティブな作品

ゲーム『悪魔城ドラキュラ』シリーズのキャラクター。

「ドラキュラⅡ呪いの封印」から登場したボスキャラ。名の由来は上述のカーミラ。ただし名前は説明書では「女吸血鬼」、攻略本では「カミーラ」であった。以降のシリーズ作品でも「カーミラ」「カミーラ」両方の表記がある。

ドラキュラⅡでは巨大な仮面のような姿だったが、それ以降の作品では巨大な頭蓋骨に乗った裸の女性の姿で登場することが多い。

格闘技が得意なラウラという下僕を従えている。なお、ラウラの名前は元ネタの主人公「ローラ」の別読みとなっている。

人間姿で登場することもあり、「サークルオブザムーン」には貴婦人風のドレス姿で(戦闘時に上述の姿になり本性を現す)、「ジャッジメント」には大胆なボンデージ姿で、「ロードオブシャドウ」には胸の開いたセクシーなローブ姿で(戦闘時に魔物のような吸血鬼姿になる)登場している。

サークルオブザムーン」では彼女がドラキュラを復活させる敵側のメインキャラだった。

スマブラSPにてスピリッツとして登場した際にはドラキュラⅡの仮面姿で、ランクはNOVICEながら巨大化・透明化・もたつくと防御力上昇となかなか厄介。仮面と言う事でか、憑依ファイターはメタナイト

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