概要
女の生首の姿をしており、首から下には内臓を垂らして飛び回る。夜にはホタルのように光り輝くともいわれている。もともとは魔力を欲した助産婦だったが、「40日間肉を食べない」という悪魔との契約を破ったためにこのような姿にされてしまったのだという。
タイ王国ではピー・ガスー、ミャンマーではケフィン、カンボジアではアープ、ベトナムではマーライ、フィリピンではウンガウンガや上半身が飛ぶマナナンガルと呼ばれる類似した吸血鬼の伝承がある。
血は吸わないが中国妖怪の飛頭蛮、日本のろくろ首もその系譜であるとの説がある。
ペナンガルと呼ばれることもあり、これはマレー半島のセノイ族に伝わる蜂の巣を守る精霊の名でもある。
かつて佐藤有文著の『いちばんくわしい世界妖怪図鑑』ではブルガリアの妖怪胃ぶらりん(イブラリン)という名で紹介されていたが、その後の著書ではインドシナ半島の吸血鬼という紹介に変わっている。
近年ではインドネシアにおける伝承を元にした、ポンティアナという名も紹介されるようになっている。(厳密にはメメディ・ウススと呼ばれ、地域ごとにクヤン、パラカン、パラシックという伝承が伝わる)
なお内臓成分が多いイラストになりがちなので、pixiv内ではR-18Gの作品が多い。
創作での扱い
水木しげる作品
日本において水木しげるの妖怪図鑑で、毛の生えた胃袋のような妖怪として紹介され一般化していた。(後に伝承に忠実なバージョンも数パターン描かれている。)
さらにアニメ3期の87話「寄生妖怪ペナンガラン」では唐獅子を隠れ蓑に悪事を働く、牙の生えた口を持つ毛だらけの妖怪として登場した。
ある世代においては、ファミコンゲーム『ゲゲゲの鬼太郎 妖怪大魔境』の妖空魔境に出現したので覚えているものも多いだろう。
女神転生シリーズ
初出は『ソウルハッカーズ』で”妖精”ペナンガル名義で、セノイの伝承をモチーフに蜂の被り物をした頭部に腕が生えた姿で登場した。内蔵を垂らした「ポンティアナ」は、金子一馬氏の雑誌コラムでムエタイバージョンというネタで描かれたがゲームには登場していない。
妖魔夜行
グループSNEのメンバーによる、同名TRPGの世界を使ったシェアワールドノベル。
第1巻「真夜中の翼」の友野詳担当話で、上記の妖怪図鑑ネタの「イブラリン」名義で登場した。
エリア51(久正人)
世界中の異形が集められた、アメリカ51番目の州とよばれる街での事件を描いた久正人作の漫画。街の住人の一人として登場。
西川魯介作品
オカルト学園連作「御堂平ワールド」のひとつである『なつめヴルダラーク!』に登場させている。なお唐沢なをき氏がフィギュア王での連載で、情報提供を求めた際にすぐさま反応し教示した。
映像作品
東南アジアではポピュラーな存在であるので、映画やドラマ、CMなどに数多く登場している。
日本でも海外のB級映画が続々とソフト化されたビデオバブル時代に、インドネシア映画「MISTICS IN BALI」が『首だけ女の恐怖』という題名でソフト化されている。
2019年には『マッハ!!!!!!!!』や『トム・ヤム・クン!』などムエタイ映画で有名なプラッチャヤー・ピンゲーオ監督による、ピー・ガスーがテーマの『Sisters(邦題:ストレンジ シスターズ)』が第32回東京国際映画祭で上映された。
近年ではネット上に心霊現象として、目撃例や写真などが投稿されてもいるという。
また2020年代になり、Netflixにおいてテーマにした作品がいくつも公開されるようになっている。
関連タグ
ウンガウンガ マナナンガル ランスブィル ランスグイル レヤック
胃ぶらりん 首お化け クヤン/Kuyang パラシック/Palasik Parakang マーライ