概要
複数の意味を含むが、「「ドラキュラ」との関わりがある女性」を意味する。
作品タイトル
1936年のユニバーサル映画『Dracula's Daughter』の邦題。
ブラム・ストーカーの短編『ドラキュラの客(Dracula's Guest)』が原作となっているが、取得していた映像化権を行使しただけで内容はほとんど無関係。
2023年5月現在、日本語翻訳版を正規の手段で視聴することは困難となっている。
物語としては『魔人ドラキュラ』(1931年)の続編になる。ただし前作から引き継ぎ登場する人物はヴァン・ヘルシング教授のみ。演者は前作と同じくエドワード・ヴァン・スローン(Edward Van Sloan)。
ドラキュラ伯爵を「殺害」した容疑で逮捕されたヘルシング教授は、無実を証明するために精神科医のジェフリー・ガース博士(Dr. Jeffrey Garth)に助けを求める。
一方、ザレスカ伯爵マリヤ(Countess Marya Zaleska)と名乗る謎の女性が、ドラキュラ伯爵の亡骸を収めた棺を持ち去っていき…
マリヤ・ザレスカは本作独自のキャラクターでその後の映画作品に再登場することは無かった。
これは演者であるグロリア・ホールデン(Gloria Holden)が、女吸血鬼のイメージが女優としての活動に影響を及ぼすことを警戒したためとも言われている。
余談として、『BLACKLAGOON』作中でホテル・モスクワが使用している船舶として「マリア・ザレスカ号」というものが登場している。
類型
創作上のキャラクターの類型の一つ。およびそれを中心とした創作。ほとんどが女吸血鬼だが、以下のように大別される。
ドラキュラ伯爵の女性化・女体化キャラクター
genderbend、Rule63を「既存のキャラクターとしてのドラキュラ伯爵」に適用した存在。
ドラキュラ伯爵が何らかの理由で女性化したパターンと、ドラキュラ伯爵が初めから女性だったとする「IF」の存在というパターンに分かれる。
ドラキュラ伯爵家に所縁のある女性
「Dracula」という名前は実在の人物に由来するが、「ドラキュラ伯爵家」の概念は『吸血鬼ドラキュラ』以降の創作によってつくられた。
当主であるドラキュラ伯爵の正式な夫人、内縁の妻・妾、およびドラキュラの娘などが女ドラキュラと呼称されうる。
原典の『吸血鬼ドラキュラ』にも、城内に囲われている三人の女吸血鬼が登場する。
また「ドラキュラの娘」は上記の映画『Dracula's Daughter』に登場するマリヤ・ザレスカをはじめ、『ドン・ドラキュラ』のチョコラ、『Hotel Transylvania』とその関連作品の Mavis Dracula など多数の該当例がある。
「女吸血鬼」と同義
ドラキュラ伯爵は「西洋の貴族的な吸血鬼」の存在を強烈に印象付け、その後の吸血鬼像のアーキタイプとも言うべき役割を果たしたことから、「ドラキュラ」の名は「吸血鬼の代名詞」を超えて「吸血鬼全般を意味する普通名詞」として用いられている部分もある(もちろん誤用だが)。
そのため、「ドラキュラ伯爵家」と設定上の関わりが無くとも、身なりや振る舞いに貴族的な要素がある吸血鬼は男女の別なく「ドラキュラ」と称されることがある。