universalmonsters
ゆにばーさるもんすたーず
1920年代から1950年代にかけて、ユニバーサル・ピクチャーズ社が制作・公開したホラー・SF・スリラー映画作品の総称。
もしくはこれらの作品群で登場した怪物キャラクター、およびそれを演じたスター俳優たちを指す。
これらに含まれるキャラクター単独の場合、単数形の "universalmonster" と表記される。
これらは後代の映画や漫画作品等に多大な影響を及ぼしている。
"monster" は日本語では「怪物」「魔物」「妖怪」などと訳されるが、昭和の時代にはすでにカタカナ語としての「モンスター」が普及しており、ビデオゲームのキャラクターとしての意味が一般化するまでは「映画の怪物」、特に「ユニバーサル・モンスター」に含まれるものを指すことが多かった。
例えば『怪物くん』に登場する怪物、特に怪物ランドに所縁がある者の多くはユニバーサル系のモンスター。
他にも漫画作品やアニメ作品のモブキャラに(ユニバーサル系の)モンスターが紛れ込んでいるのは、特に説明もツッコミもなく自然に流されるレベルで多用された演出である。
ゲームキャラとしてのモンスターも、ユニバーサル系に由来するものは多い。
以下のリストは怪物系のキャラクター(容姿のみの場合も含む)に限定しているが、これ以外にも生身の人間(マッドサイエンティストや殺人鬼)を中心にすえた傑作が数多く存在する。
また怪物キャラクターが客演するコメディなど、セルフパロディ的な作品も多い。
作品タイトル(発表年) | モンスター(演者) |
---|---|
ノートルダムのせむし男(1923年) | カジモド(ロン・チェイニー) |
オペラの怪人(1925年) | エリック(ロン・チェイニー) |
魔人ドラキュラ(1931年) | ドラキュラ伯爵(ベラ・ルゴシ) |
フランケンシュタイン(1931年) | フランケンシュタインの怪物(ボリス・カーロフ) |
ミイラ再生(1932年) | イムホテップ(ボリス・カーロフ) |
透明人間(1933年) | ジャック・グリフィン博士(クロード・レインズ) |
フランケンシュタインの花嫁(1935年) | 花嫁(エルザ・ランチェスター) |
倫敦の人狼(1935年) | グレンドン博士(ヘンリー・ハル) |
女ドラキュラ(1936年) | マリヤ・ザレスカ(グローリア・ホールデン) |
フランケンシュタインの復活(1939年) | イゴール(ベラ・ルゴシ) |
透明人間の逆襲(1940年) | ジェフリー・ラドクリフ(ヴィンセント・プライス) |
ミイラの復活(1940年) | カーリス(トム・タイラー) |
透明女(1940年) | キティ・キャロル(バージニア・ブルース) |
電気人間(1941年) | ダイナモ・ダン(ロン・チェイニー・ジュニア) |
狼男(1941年) | ローレンス・タルボット(ロン・チェイニー・ジュニア) |
フランケンシュタインの幽霊(1942年) | フランケンシュタインの怪物(ロン・チェイニー・ジュニア) |
透明スパイ(1942年) | フランク・レイモンド(ジョン・ホール) |
ミイラの墓場(1942年) | カーリス(ロン・チェイニー・ジュニア) |
フランケンシュタインと狼男(1943年) | |
Captive Wild Woman(1943年) | Cheela(レイ・コリガン) |
オペラの怪人(1943年) | エリック・クロウデン(クロード・レインズ) |
夜の悪魔(1943年) | アルカード伯爵(ロン・チェイニー・ジュニア) |
The Invisible Man's Revenge(1944年) | ロバート・グリフィン(ジョン・ホール) |
執念のミイラ(1944年) | カーリス(ロン・チェイニー・ジュニア) |
フランケンシュタインの館(1944年) | |
ミイラの呪い(1944年) | カーリス(ロン・チェイニー・ジュニア) |
ドラキュラとせむし女(1945年) | |
The Brute Man(1946年) | the Creeper(ロンド・ハットン) |
それは外宇宙からやって来た(1953年) | 宇宙人 |
大アマゾンの半魚人(1954年) | ギルマン |
半魚人の逆襲(1955年) | ギルマン |
Cult of the Cobra(1955年) | the Lamians |
宇宙水爆戦(1955年) | メタルナミュータント |
世紀の怪物 タランチュラの襲撃(1955年) | 巨大タランチュラ |
半魚人我らの中を往く(1956年) | ギルマン |
Curucu, Beast of the Amazon(1956年) | Curucu |
モグラ人間の叛乱 モール・ピープル(1956年) | モール・ピープル |
縮みゆく人間(1957年) | スコット・ケアリー(グラント・ウィリアムズ) |
極地からの怪物 大カマキリの脅威(1957年) | 大カマキリ |
The Land Unknown(1957年) | 恐竜 |
モノリスの怪物 宇宙からの脅威(1957年) | モノリス・モンスター |
The Thing That Couldn't Die(1958年) | Gideon Drew(ロビン・ヒューズ) |
Monster on the Campus(1958年) | Dr. Donald Blake(アーサー・フランツ) |
Curse of the Undead(1959年) | Drake Robey(マイケル・ペイト) |
The Leech Woman(1960年) | Malla(キム・ハミルトン) |
共演
『狼男(The Wolf Man)』(1941年)の続編であり、かつフランケンシュタインシリーズ第四作『フランケンシュタインの幽霊(The Ghost of Frankenstein)』(1942年)からの続編でもある『フランケンシュタインと狼男(Frankenstein Meets the Wolf Man)』(1943年)で、二大怪物がスクリーンで対決する展開となった。
フランケンシュタインシリーズは第三作から映画オリジナルの物語となっており、狼男は民間伝承に基づいてはいるが明確な原作に相当する小説等は無い。フランケンシュタインの怪物と狼男の共演・対決の展開も必然的に映画オリジナルのものである。
さらなる続編『フランケンシュタインの館(The House of Frankenstein)』(1944年)には、『女ドラキュラ(Dracula's Daughter)』(1936年)『夜の悪魔(Son of Dracula)』(1943年)では登場しなかったドラキュラ伯爵が大胆にイメチェン(演者交代)しての登場。日本でもなじみの深い三大怪物スターの共演で話題となった。
次作『ドラキュラとせむし女(House of Dracula)』(1945年)でも上記の三体が登場、さらに「マッドドクター」「せむし女」を加えた五大怪奇スターの共演となった(当時の予告編映像が動画サイトでも視聴可能)。ただしマッドドクターことエーデルマン博士の変節はドラキュラ伯爵の作為によるものであり、せむし女ことニーナに至っては何の悪事も働いていない完全な被害者で、双方とも怪物キャラクターとしての扱いには疑問が残るが。
これらの、一度死亡扱いで退場したキャラクターが「実は生きていた」というカタチで新作に登場するパターン、さらに原作設定を超えて共演することで映画シリーズ独自の世界観を醸成する手法は、後続の映画界に少なからぬ影響を及ぼしている。
1968年以降は「ゾンビ系」、1978年以降は「スラッシャー系」などがホラー映画の主流となり、「ユニバーサル・モンスター」とその影響下で生み出された怪物たちは懐古趣味の対象となっていったが、愛好家による支持も根強く、多くの映画会社がリメイク作品やパロディ作品等を発表している。
本家ユニバーサルからは、『ドラキュラ』(1979年)、『ハムナプトラ』シリーズ(1999年~2008年)、『ヴァン・ヘルシング』(2004年)、『ウルフマン』(2010年)、『ドラキュラZERO』(2014年)などが制作・公開されている。
ダーク・ユニバース
2014年7月、クラシックな怪物映画を一挙にリメイクし作品間の世界観共有をも意識した一大プロジェクト『ダーク・ユニバース』をスタート。
この段階ですでに撮影の大半を終えていた『ドラキュラZERO』はプロジェクトに含まず、1932年の『ミイラ再生』に対するリブート作『ザ・マミー/呪われた砂漠の王女』が第一作と位置付けられた。
延期の末に公開された『呪われた砂漠の王女』の興行成績が振るわなかったことから『ダーク・ユニバース』プロジェクトそのものも頓挫。
2020年に米豪合作の『透明人間』が公開された。これは1933年の同名作品に対するリブート作品であり、以降は世界観の共有を重視しない単発作品で『ダーク・ユニバース』プロジェクトが続行されると見られている。
2023年4月、『魔人ドラキュラ』のリブート作として『Renfield』が公開された。5月現在日本語未翻訳、邦題未定。