概要
『バスケットケース(Basket Case)』は、1982年に公開されたアメリカのB級ホラー映画。
続編として『バスケットケース2』(1990年)と『バスケットケース3:The Progeny』(1991年)がある。
監督は三作ともフランク・ヘネンロッター(Frank Henenlotter)。
ネタバレになるが、
現実にもそれなりの頻度で生ずる『結合双生児』を(B級映画的な意味での)怪物として扱い、『2』からはさらに大勢のフリークスを登場させるなど、現代においては不適切すぎる内容のシリーズである。
が、ドウェイン・ブラッドリーが籐籠のケースに入れて持ち運んでいる異形の怪物・ベリアル(違法な手術で切り離された双子の兄)の強烈なインパクトは、多くの分野に影響を及ぼしている。
物語(ネタバレあり)
ある日、とある医師が殺害された。
殺害の直前には、大きめのバスケットケースを持った青年の姿が。
犯人は、そのバスケットケースに入った、ベリアルによるものだった。かつては弟のドゥエインと結合双生児だった彼だが、その姿を忌み嫌った父親により、幼少期に無理やり分離手術が行われ、二人は分離。ベリアルのみゴミ箱に捨てられた。
しかしベリアルは死なずに生き延びており、回収された。二人を嫌わずにいた伯母の庇護の元、二人は成長。そして伯母の死後。分離させられた復讐のために、当時に関わった医師たちの元へドゥエインはベリアルをバスケットケースに入れて運び、殺害していたのだった。
途中で貴重品が入っているものと勘違いし、バスケットケースを盗む者もいたが、それもベリアルにより殺害。最後の一人も殺害し、復讐は終わった。
……が、ドゥエインに彼女が出来た。自分よりも恋人を選ぶ弟にベリアルは嫉妬し、彼女も殺害。
ドゥエインはベリアルとともに、ビルから落ち、二人は転落死。
……したものと思われた。
(バスケットケース)
二人は転落死したと思われていたが、死んではいなかった。
この事がニュースになり、世間的にも有名になってしまう二人。
そして、辛うじて生きていた二人を、フリークスの人権活動家の女性・ルースによりかくまわれ、彼女の館に迎え入れられる。
そこは、フリークスの館。様々な姿のフリークスが生活するコミュニティが形成されており、平和に生活していた。
ベリアルはそこで、彼自身と同じような姿のフリークス・イブと出会い恋に落ちる。ドゥエインもまた、ルースの孫娘と恋仲に。
しかし、そんな二人の平穏を、好奇心で追いかけ回すマスコミの記者やカメラマンたちが破る。彼等はルースの屋敷を探し出し、そこに入り込んできたのだ。
色々あって、マスコミの邪魔者も殺害し排除するベリアル。しかし、ドゥエインは孫娘と肌を重ねようとしたが、彼女もまたフリークスである事が発覚。
乱心したドゥエインは彼女を殺し、ベリアルも殴りつけ気絶させ、
自分の身体に、以前のようにベリアルを縫い付けるのだった。
(バスケットケース2)
前回の事があってから、しばらく経過。
ドゥエインはベリアルと再び分離され、館に監禁されていた。
そして、イブが妊娠。ルースは叔父の医師・ハルのもとへ、ベリアルとイブを連れていく。
ドゥエインも同行。途中で脱出しようとするも、失敗に終わるが、その時に父親が保安官の少女と出会う。
一行はハル叔父宅へ到着。そこにはルースの息子……腕が11本の巨大フリークが、ハルの養子になっていた。
彼、リトル・ハルとハル医師がイブの出産を手伝う。途中、医者嫌いのベリアルがパニックになりハルを流血させる騒ぎも起こったが、イブは12人のベビーベリアルを出産する。
しかし、出産のどさくさで逃げたドウェインは、先刻に会った少女と再会。助けを求めるが、逆に彼女の父親に捕まり、留置所に入れられてしまった。
更に父親の保安官、および助手たちは、TVに取り上げられたベリアルとドゥエイン兄弟である事を知り、高額の懸賞金目当てでベリアルの捕獲に向かう。
ルースの館に押し入った保安官助手たちは、銃でイブを殺害。ベビーベリアルたちを捕獲し保安官事務所持ち込む。そこに、子供を取り戻そうと現れるベリアル。
保安官の娘は銃の暴発で死亡。ベビーベリアルもその拍子に一人潰されてしまった。
ベリアルとドウェインは事務所から逃れる。
そして、保安官と子供をかけ決闘。ベリアルはリトル・ハルが作ったパワーローダーに乗り保安官と対決する。
子供を取り返し、数日後。
ルースはTVの情報番組に、多数のフリークスたちを引き連れ乱入。自分達はもう逃げ隠れしないと、世間へ宣戦布告するのだった。
(バスケットケース3)
登場人物
- ドゥエイン・ブラッドリー
1、2の主人公。しかし3では影が薄くなる。
ブラッドリー家に、ベリアルと結合双生児として生まれた。
兄のベリアルとはテレパシーで意思疎通が可能で、兄をバスケットケースに入れて移動。1では切除手術をした医師たちの元に向かい、兄に惨殺させていた。
兄弟仲は悪くはないが、自身に彼女が出来た事から兄弟仲が破綻。1のラストで飛び降り転落死したと思われたが、2でかろうじて生きていた事が判明。ルースに保護される。
2でルースの孫娘と恋仲になるが、彼女も実はフリークスだったために混乱し彼女を殺害。兄を再び自分に縫い付ける。
3ではルースの元から逃げようとするが、それが遠因でベリアルの子供がさらわれイブが殺されてしまった。
- ベリアル・ブラッドリー
全編にわたり登場するフリークスで、ドゥエインの兄。ドゥエインと結合双生児として生まれた。
ドゥエインの脇腹から生えるような形で接合しており、ベリアルが切除されるまでドウェインは外出できなかった。
その姿は、人間の頭部から両腕が生えているだけというもので、言葉は喋れないがドゥエインとテレパシーで意思疎通ができる。しかし足がなく、飛び跳ねる事は出来るが歩行・移動ができない。そのためドゥエインにバスケットケースに入れてもらい、運んでもらっている。
しかし、3ではリトル・ハル製作のパワーローダーに乗り、歩行が可能に。
好物はハンバーガー(しかし肉のみしか食べない)、唯一の娯楽はTV。
性格は凶暴。ではあるが弟ドゥエインに対しては親愛の情を抱いている。
敵とみなした相手に対しては容赦がなく、自分を切除した医者に対し復讐のため惨殺していた。切除手術を受けた事から、医者に対しトラウマがある。そのため、3では自身の妻の出産を担当するハル医師に対しても襲い掛かり、流血させてしまった。
頭部と両腕のみの身体なので、性器は付いておらず、当然性交もできない。本人はそれにコンプレックスを抱き、弟にできた彼女を殺害後、死体にその身体を打ち付けて性交まがいの事をしていた。
……ではあるが、2では自分と同じ体の恋人・イブと知り合い、なぜか性交が可能に。彼女との間に、12人もの子供をもうけている。
- ルース
2から出た老女で、フリークスの人権活動家。ベリアルとドゥエインも保護した。
自身の屋敷には、孫娘と、様々な姿のフリークスが同居しており、生活を保護している。
フリークスの人権保護に熱心だが、自分の活動に対して盲信しており、そのためには殺人すらも肯定し厭わない。3のラストでは、生放送中のTVの情報番組に乱入。世間に対し宣戦布告する。
孫娘は一見すると健常者だが、実はフリークス。数年間の間妊娠しており、胎児は数日ごとに呼吸するために腹を破ってその姿を見せる。
- リトル・ハル
3に登場する、ルースの叔父・ハル医師の義理の息子。元はルースの元にいたフリークスの少年で、巨体に11本の腕を持つ。成長した後に医師となり、イブの出産を手伝った。
- イブ
2に登場する、ルースの館に居たフリークスの女性。ベリアルと同じような、頭部と腕のみの身体をしている。
ベリアルと知り合い、性交し、12人の子供をもうける。しかし3で、保安官事務所の保安官たちにより、撃ち殺されてしまった。