概要
呪われた幽霊船「フライングダッチマン」の船長。18世紀半ばのオランダ商人とされ、「フライングダッチマン(さまよえるオランダ人)」という船名の由来でもある。
性格は粗暴で、船は手荒に扱うわ、船員は奴隷のようにこき使うわでかなり問題のある人物だったとされている。パワハラ上司なのは間違いなさそうだ。
デッケンの航海
1751年にオランダのアムステルダムから南アフリカのケープタウンに向けて出航。こんな奴でも航海は上手かった(もしくは運が良かった)のか、難所と知られるアフリカ近海を越え、目的地のケープタウン沖までたどり着いた。
ここまで来ればあとは入港するだけ……と思いきや、天候が急変して嵐に見舞われてしまう。
※アフリカ南部の近海はインド洋の暖流と大西洋の寒流が交差するエリアにあり、嵐が多発する。そのため航海の難所と知られていた。
嵐が去るまでやり過ごせば良いものを…というか普通はそうする他ないのだが、この男はまさかの強行突破を宣言。船員たちも迂闊に反論できないので、仕方なく嵐の中で船を漕ぎ出す羽目になったが、誰もが疲弊していたため落伍者や海に投げ出される者が続出。ついには岩に激突して沈没してしまったという。
神の怒りを買った男
デッケンが呪われた経緯はいくつかのバリエーションがあり、神様に八つ当たりしたとか、悪魔に契約を持ちかけたことで神様を怒らせたとか言われている。
しかしいずれにしても「世界の終末まで嵐が吹き荒れる海を彷徨い続ける呪いを受けた」という結末は同じ。
1.デッケンの暴挙を見かねて神様や精霊たちが現れ、これをたしなめるが、逆上して恨みと冒涜に満ちた返事をしたため怒りを買った。
2.悪魔に「俺の魂をやるからこの嵐を何とかしろ」と持ちかけた(=悪魔に魂を売ったために呪われた)
3.嵐に遭ったのは神様のせいだと八つ当たりした上、嵐を静めるために悪魔と契約したので二重に神様を怒らせた
さまよう幽霊船長
現場となった喜望峰沖では悪天候の日にその姿を見ることができるとされ、古い帆船に乗った船長らしき男が空に向かって怒号を飛ばしているとか、逆に苦しそうに呻きながらうずくまっているとか言われている。