ベリル・ガーデナント
べりるがーでなんと
片田舎のおっさん、剣聖になるの主人公。中年(40代?)の独身男性。
物語開始冒頭まで、レベリス王国の片田舎にある山村・ビデン村の道場で剣術師範をしていた。
(ベリル当人はヘンブリッツに言及されるまで一切自覚していなかったが)武芸者たちの間では「片田舎の剣聖」と噂される、作中屈指の実力者にして人格者である。多くの優秀な弟子を輩出しており、その弟子からも慕われているが自己評価が異常に低い。
アリューシアにレベリオ騎士団の指南役に推薦され、自己評価の低さ故に渋るも、アリューシアが(そのベリルの逃避を見越していたかのように)用意していた国王の御璽印章入り任命書を盾に押し切られる。さらに父モルデアに「せっかくだし首都に腰を据えて役目を果たして来い」「あとこの歳になるまで浮いた話もなかったんだし嫁探しもしろ、嫁っこ見つかるまで帰ってくるな」と道場を追い出され、首都バルトレーンに留まることになった。
性格は優しくお人好しで、人から頼られると無下に断ることができない。
敵対者であってもなるべく致命傷や不具になるような攻撃は避けるが、それが必要であれば冷酷な判断をも下せる覚悟を備えており、単に「甘い」わけではない。また守りたいものを傷つけられたり、弱いものを傷つける相手に対しては断固として立ち向かう。
一通りの武器は使えるが、ロングソードが最も得意な得物。
フィジカル面では自他ともに認める「おっさん」ゆえにピークを過ぎている為、アリューシアやクルニ、スレナら現在表舞台の最前線で活躍している若い高弟たちと比すると純粋な筋力、敏捷性、スタミナではやや見劣りする。
剣術師範として様々な刀剣類の扱い方を熟知し、弟子の一人一人にそれぞれに適した剣術を指導できる豊富で確かな知識と経験を持つと共に、「剣を扱うものとしての心」を重視するなど精神面の教育にも余念がなく、教育者として非常に優れている。
また一人の剣士としてもレベリス王国では最上位級の実力者(剣の冴え、身のこなし・体術の精妙さや駆け引きにおける老獪さもそうだが、特に相手のどんな挙動やその根にある意の現れも見逃さない鋭い「見」の力、そしてそれに裏打ちされた勝負勘や洞察力の鋭さは比類ないレベル)で、武器屋でも試し切りの巻き藁を断面から落とすことなく静謐に両断した(それもまだ研ぎも済んでないナマクラ剣で)ばかりか、「轟剣」の異名を持つ副騎士団長ヘンブリッツや、冒険者ギルドでも最上位「ブラックランク」に至ったスレナを相手にしても木剣での手合わせで封殺できるほど。
低い自己評価の原因としてはルーシー曰く「己が何も成せなかったことに囚われている」。若者時代に冒険者を目指したものの初歩の段階で失敗した苦い経験や、ベリル以上の実力者たるモルデアに勝てないまま引退された事などが原因と思われる。
書籍版(なろう版)ではベリルの一人称で物語が進む。内言は明るく、物事を若干茶化して捉えるため年齢よりも幾分若さを感じさせる。
漫画版では年齢相応の落ち着いた様子を見せ、特に剣を握っている間はまるで怪物のような強者の威風辺りをはらい、その強さがより際立った描写がなされている。