概要
アンドレ・ヴィルジル・ポール・マリー・ベルティエによって開発されたボルトアクションライフル。1887年の新型カービン銃採用試験でプロトタイプが提出され、1890年に「カービン・デ・キャバルリー モデール1890(Carabine de Cavalerie Modèle 1890)」として採用された。
特徴としては騎兵や砲兵向けに開発された為、全長が極端に短い事と、エンブロッククリップ式であること、装弾数が3発しか無いことが上げられる、そのため軽量で取り回しが良い。
当時ではまだ戦場を制していた騎兵向けに、ドイツのGew88のカービンモデルに対抗して最新フォーマットで開発された。後に戦場が歩兵手動になり、それに適していたことからルベルを代替する形で配備されていった。
第一次世界大戦後はチェコスロバキア、ギリシャ、スペインなどで使用された。
第二次世界大戦には改良型がフランスとノルウェーで使用され、ドイツに接収された後もGewehr241(f)として東欧諸国でパルチザンと戦う警察が使用した。
戦後はフランス警察の装備として1960年代まで使用され、主力を降りた後もCRSなどが1980年代後半まで使用していた。
合計生産数200万丁、日本ではあまり知名度がないが、他の国の主力ボルトアクションライフルと肩を並べる来歴を持ったフランスを支えた偉大な小銃である。
主なバリエーション、派生型
ムスケトン(Mousqueton) Mle1892
砲兵隊向けに銃剣を装着できるように銃床を再設計したモデル。
フューシル(Fusil) Mle1902
ルベルより熱帯環境での運用に適していたために、インドシナ軍とセネガル軍に支給するために歩兵銃にスケールアップした改良型。
フューシル Mle1907
Mle1902の小改良型。シャテルロー銃器製造所により上記のMle1902と合わせ約5,000丁生産された。
フューシル Mle1907/15
Mle1907を元に後方部隊や外人部隊の他、同盟国や植民地などにも配備するために開発した改良型。しかし、第一次世界大戦の戦線膠着・拡大で武器が不足し正規軍にも配備された。
海外発注も行われレミントンが20万丁ほど発注を受けたが、銃身旋条と薬室寸法の基準が合わず半分生産した所で契約がキャンセルされた。そのためアメリカではこのモデルの知名度が高い。
フューシル Mle1907/15-M16
Mle1916とも呼ばれる。3発装填の欠点を自覚し、5発にしてついでに全体的な見直しをした歩兵銃仕様の改良モデル。評判は良かったが、製造が始まったのが1918年の夏で、一番欲しかった第一次世界大戦には間に合わなかった。
ムスケトン・ベルティエ Mle1892/M16
Mle1916のカービンモデル。製造しやすくなおかつほぼ新規設計だったMle1916より一部パーツが旧型から流用できた為、製造がフルモデルよりも早い1917年の5月に、シャテルロー兵器製造所より開始され、需要が高かった為に約80万丁が生産された。
Mle1934
情勢悪化に際し、備えとして7.5mmMAS弾を使用できるように設計変更した改良モデル。戦後は1960年代まで警察に使用されていた。
フューシル Mle1907/15-M34
Mle1934の仕様にMle1907/15を改造したモデル。
トルキッシュ・ファクトリー・カービン
1949年にトルコ森林局がコーカサス地方のクルミ林を違法伐採を取り締まるために発注した警備用の特殊モデル。第二次世界大戦後なのに3発装填の他、マンリッヒャー式銃床が取り付けられるように手が加えられている。
フィクションでの使用
Verdun - 第一次世界大戦を題材にしたFPS。アルパン猟兵の何人か兵種、ポイリュスのミトライヤー、セネガル人兵士のフランカーが使用可能。
タンネンベルク - 第一次世界大戦の東部戦線を題材にしたFPS。協商国側のルーマニアンズの砲手がMle1907/15を使用できる。
性能
全長 | 945mm |
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銃身長 | 455mm |
重量 | 3.1kg |
使用弾薬 | 8mmルベル弾(8×50mmR) |
装弾数 | 3 |
口径 | 32口径 |