マーネ
0
まーね
マーネとは、日本の動物園に飼育されているマレーグマ。
もしかして→マネーラ
2015年8月27日に東山動物園で父の「マー君」と母の「マー子」の間に生まれたメスのマレーグマ。
幼少期から2歳ごろまで母のマー子とともに展示されていた時は母娘の行動が人気を呼んだ。
2018年3月より、熊本市動植物園にいるオスの「フジ」に嫁ぐため熊本に異動した。
フジとは同居にはいたっておらず檻越しに顔を合わせていたが、フジは彼女のことがお気に入りだったようで檻越しに食べ物を分け与えるほどであった。
繁殖も期待された矢先、2022年1月にフジが急病死ししばらく熊本で1頭の生活を続けた。
2023年11月、沖縄こどもの国で飼育されているオス「マーズ」との縁談がまとまったため、沖縄に移動した。
関連記事
親記事
兄弟記事
コメント
コメントが未記入です
pixivに投稿されたイラスト
すべて見るpixivに投稿された小説
すべて見るなくした記憶の回顧録3
長く厳しい冬の終わり、春の麗らかな陽光。私の住む街では野蛮な人間共が5年ごとに春の訪れを祝うパレードをする。黒い衣装を身に纏う人共が増え、凝った舟を作り、奇怪な化粧をして、音楽を鳴らしながら、紙吹雪を巻く。悲しげに、物々しげに、無関心に、そしてちょっぴり愉快そうに、街を練り歩くのだ。そうして時計台から猫を模したぬいぐるみを空へと投げる。どうもそれをうまくキャッチすると幸せになるのだとか。それは弔いと哀悼を忘れない催しと言うけれど、私は知っている。宙でもみくちゃにされた憐れな綿袋を。人間の手からこぼれ落ち地面に転がる命なき猫達を。彼らは一様に、禁止された娯楽の代わりに、新たな催しを楽しむべくその行いをするのである。 ━━ 私がまだ人間の女性と暮らしを共にしていた頃、初めての出産を経験してからそれ程時を待たずして、私はこの世の地獄を見た。それは突然の事だった。恐ろしい男たちが家に推し入り、まだ身の丈も下草に隠れる程の子供達を、無造作につかみ上げ袋に詰め込み出したのだ。驚き怖いと叫ぶ声を聴いて駆けつけようとした私を、同居の女性が抱き止め金庫に押しやった。出てはダメ、と泣きながらそうするのも束の間、男達は女性を乱暴に引き摺り倒し、髪を引っ張り足が床に擦れるのもお構いなしにズルズルと野外まで連れ出してしまった。扉の隙間から覗く光景は、およそ日常とはかけ離れ、私は必死に外に出ようと藻掻いた。金庫の扉は重かった。箱自体はただの鉄の塊だったが、扉の前に重しが置いてあったのだ。私が閉じ込められないようにそうしたのだろう。急いで外に出た頃には何もかもが手遅れだった。夏の一番長い夕闇の時、女性は鉄の十字に括られて火炙りに。子供たちは袋に詰められたまま火に焚べられていた。痛いと泣き叫ぶ子供達を、助けてと叫ぶ女性を、町の人間は酒を酌み交わし嬉嬉と笑いながら眺めたのだ。後から知った事だが、それは毎年行われる行事であり、この街の人間の娯楽であるらしかった。その日、私はどうすることも出来ずにただ恐ろしい光景に身を竦ませるしか出来なかったのだ。 ━━ 何もやる気も起きず、木の上で呆然とする。お腹が減って、木の葉を喰みながらただそれだけの日々を何日も過ごしていた。ふと子供たちの匂いが懐かしくなって数日ぶりに家へと帰る。だけどそこには何もなかった。突き当りの大きなドレッサーも、窓に掛けられていたおしゃれなカーテンも、同居の女性が繕ってくれた子供達のベットも。食料は小麦一粒すら残さず、すべて持ち去られた後だった。いろんな人間の混じった悪臭と砂埃にあの日の光景が蘇る。胸糞が悪くえづいても胃液と木の葉の脈しか戻らない。広場には女性の骨に残った僅かな肉を鴉が啄んで野ざらしにされていた。子供たちは灰さえ残っていない。私は、宛もなく夜の街を彷徨った。 ━━ 上等な食事もなく、蝉の柔らかい腹を食べ、飢えを凌ぐ。酷くお腹が空いていた。転がった浮浪児や痩せぼそった犬が美味しそうに見え、気が付いたのは牙を突き刺した後だ。その事実に狼狽する。もうとっくに矜持も理性も失って、私は物怪に成り果てていたのだろう。齧り付いた肉を無心で食べ、人間に見つかり蹴飛ばされて、私は惨めに、転がるように逃げ去る毎日だ。 ━━ この街は醜悪だ。見つかると火を着けられるのでまるでネズミのように隠れ潜む。ゴミを漁り屍を喰らい。だけど終には野蛮な人間どもの手によって、捕まってしまった。 「見てください騎士様!この不気味な黒い毛を!悪魔の化身に違いない!」男ががなり立て、肉厚の手が私の頭を痛いくらいに鷲掴む。 「なんだ、ただの腹を空かせた野良猫じゃないか」 聞こえた若い声にふと顔を上げる。幼さの残る顔立ちはまだ年若く、しかし厳しい表情で威圧感があった。綺麗な身なりに艶のある黒髪。この辺の小汚い人間共とは明らかに雰囲気が異なる。 「騎士様!こいつは人を喰う悪魔です!俺は見ました、死体に齧り付いたのを!」 「なにも人を喰うのは悪魔だけじゃない。野犬も喰えば、飢餓に陥ればお前達だって人の肉くらい喰うさ」 鼻で笑う彼に人を食う訳がないと男達が色めき立った。 「耐え難いほど腹を空かせたことがないから言えるんだな。結構なことだ。極限状態になれば人骨だろうが人肉だろうがなんだって人は喰う。それは歴史が証明している」と素気なくあしらい彼はさっさと出て行ってしまう。 「チッ!騎士か何だか知らねぇがガキが偉そうに」「権威をかさにきて高飛車な態度だ!鼻につく」 どうやら私を処刑しなかったから悪評を買ったようだ。 ━━ その夕暮れ時、私は鉄の檻籠に閉じ込められ鉄柱に掛けられた。この街の悪習、猫焼きだ。身体を竦ませ小さくなってじっとしていると面白くないと籠に石をぶつけられる。ガンと大きな音がして、籠が激しく揺さぶられぐるりと引っ繰り返る。それで飽き足らず、種悪な人間共は先の尖った槍棒で籠の隙間から私を突付き始めた。激痛がして、子供たちもこんなに痛かったのかと思うと心まで痛くて、何よりも悲しくて、私は啜り泣くように鳴き声をあげた。 「ぁぉ゛───ん─」 やがて日が完全に沈むと敷き詰められた枯草から煙が立ち昇る。私はこの後起こることを是迄幾度と見てきた。熱い痛いと叫ぶ者達をじわじわと甚振るように焼き殺していく様を幾度となく目の当たりにしてきたのだ。熱せられた籠は直に熱くなる。 「 あーぉ゛〜ん あーぉ゛〜ん 」 私が泣き叫ぶ程に人間たちが愉快だ愉快だと喜び歓声をあげる。檻に触れた足の裏は刺された場所と比べ物にならないくらい痛かった。 ブゥンッと、強い風が吹いた。地面を抉るような切り付けに火種が捲れ人間共に飛び火する。出来た足場と鉄柱を軽々駆け上がり明るい闇に冬の暗闇のような漆黒が散らばり一番星のような眼光が鋭く光った。 「猫焼きは二百年も前に廃止になったはずだが」 次の瞬間には私は騎士様の腕の中に居た。 「こいつらのほうが余程悪魔じみている」 とても懐かしい、私を優しく抱く手で、汚れた毛並みにも関わらず労るように私の目元を拭った。 ━━ 騎士様は私の焼け爛れた足を冷し、薬を塗ってグローブの指先を落とし私に履かせてくれた。 「怪我が治るまでは面倒見てやる」 その言葉に私は長い悪夢から漸く安堵の眠りに就いたのだ。 ・ 「なんだオメェ、そんな畜生助けるために俺様の規律破ったのか、後で懲罰な」 「はい」 「チッ、つまんねぇガキだ。んで?住人はキッチリ殺したのか?」 「いいえ」 「なァんだよ!歯向かうヤツは殺せ!気に入らねェ奴も殺せ!まさか日和ったんじゃねェよなァ!?」 「まさか。殺すわけありません。前科も豊富そうですし、帰ってから律法書調べます。正攻法で必ず同じ目にあわせてやる……殺してくれと懇願するまで楽に死なせてやらない………」 「くっくっ、ガハハ!ぃぃねェ!だからオメェは好きだぜ!だけどその理屈でいうと、テメェもいつか火炙りだなァ オィ」 「そのようです」 「よォしッ!喜べクソガキ!今日は気分がいいから特別に折檻マシマシだ!」 「隊長もいつか拷問死するのでは?」 「俺は死なねぇ!俺の理屈じゃ世の中弱肉強食だッ、神はきっと娯楽に飢えてんだよ。あの住人共とおんなじさ」 「……そうかもしれませんね」30,701文字pixiv小説作品