概要
ベルゼニア帝国コンチータ領の六代目領主でバニカの父親。メイリスとヴェノマニアの子孫であり、ベルゼニア皇族の血を引いていた縁もあって五公の一人として数えられている公爵でもある。
血筋にあぐらをかくことはなく、民思いで人望の厚い領主であり、食道楽として有名でもあった。
コンチータ家の悲劇
妻・メグルと待望していた娘のバニカが生まれた祝いとして誕生会を開くことになるが、送られてきた贈答品の中に知らぬ間に紛れ込んでいた幻のタサン豚「バエム」を発見し、それを「神からの贈り物だ」と感動し、そのバエムの中からワイングラスを見つけても気にせずに料理長にバエムを調理するよう命じ、出来上がった料理を妻だけでなく、せっかくのめでたい日だからと屋敷の者達全員に食すことを許した。
しかしその翌日から屋敷の者達が一人ずつ人間の食べ物にしてはありない物を口にして亡くなる事件が起き、原因が分からずにいたところに屋敷を訪れた魔道師AB-CIRから悪食の悪魔の器を宿した「バエム」を食べたことで「グーラ病」を発症してしまったことを知らされ、生き残るには10年間胃袋を満たし続けなければならないと宣告される。(バエムは伝説の豚であると同時に災いをもたらす悪魔の使いともされ、レヴィン教で食すのを禁じられていたがムズーリはレヴィン教信者でなかったためそのことを知らなかった)
グーラ病を治すためとはいえ税を重く課し、領民から食べ物を奪うような形で使用人を含む自身達の食事を何とか維持してきたが、そのことを拒否し食べなかった者や、無理な食事で身体が耐え切れなくなった者は次々と死亡していく。
この地獄が終わるまであと二ヶ月といったところで領地に大飢饉が発生し、追い詰められてしまう。
愛する妻が空腹に耐えきれず屋敷の死体を食そうとしたのを許せなかったため、「自分達はこうまでしてまで生き残るべきではなかった」と悟りながらバニカの目の前でメグルを刺殺した。
侍従長のロン=グラップルと元々バエムを食べていなかったバニカと共に生き残るも、長年の重税による領地の乱れから帝国から領地を剥奪されるだけでなく長年の心労から衰弱しきってしまう。
爵位だけは皇帝の憂いからか剥奪されなかった。
その後
バニカが年頃の娘に成長していく一方、寝たきりの生活を送っており自分がバエムを食べさせたのでメグルや使用人達を苦しめたことを心の底から詫び続けていた。
バニカが帝国の食文化改善に貢献し、領民の支持を得てコンチータ家に領地を返還されたことを知り、大いに喜ぶとロンにバニカのことを頼み、看取られながら静かに息を引き取っていった。
余談
我が子に名付けをする際、「ムララムジャポスタポポ」という名前にしようとしたが、メグルがそれを止めるため名前を「バニカ」にすることを提案し収まった。
なお後に登場するアルテとポロのペット屍豚にはこの名前の一部から取った「ムララ」が名付けられている。