旧型国電の1系列で、全く出自の異なる2種類の車両が存在した。
初代62系
国鉄の前身にあたる鉄道省が身延線の輸送改善用に木造車の車体を鋼鉄製に改造した17m級車体2ドアクロスシートの電車の総称。
後に30系からの編入車と50系からの編入車も登場し、編入車は飯田線へと投入され、身延線に投入されたグループも飯田線へと活躍の場を移している。1953年の改称後はクモハ14100番台とされた。
廃車後1両(クモハ14100)が西武鉄道に払い下げられ、当初はほぼそのままの姿で狭山線などの支線区で運用されたが、後に荷物電車に改造され1970年代後半まで運用された。
2代目62系
メインイラストの車両。72系の台枠・電気機器を流用し、1974年に鷹取・長野・郡山の3工場で製造された「アコモ改造車」と呼ばれる系列。先代同様身延線に投入されたが初期計画では房総各線にも投入される計画があったようだ。
車体は当時製造が進んでいた115系300番台に準じているが、2800mm幅の旧型国電用の台枠をほぼそのまま流用して2980mm幅の新性能近郊型の車体をのせたため、車体の裾絞りが台枠に近い部分で更に折り曲げられているのが特徴。窓廻りの寸法も若干異なるようだ。冷房や方向幕の準備もされていない。
モハ63出自の車両を改造した0番台と72系新造車出自の500番台が存在したが、制御器は戦後製のCS10に統一されている。塗装は横須賀線や房総各線で運用される113系と同じ前面下部の塗装が斜めに折れるスキームだが、これは身延線が乗り入れる甲府駅で、酷似した車体の115系と間違えないためのものと思われる。
4両固定編成を組み、クハ66-モハ62-モハ62-クハ66の順で組成される。サービス電源が直流から交流に変えられた関係上62系の中間に従来の旧型国電を挟み込む事はできなくなっている。(62系の前後に旧型国電を増結することは出来る。そのため、前面の幌枠は旧型国電の寸法となっている。活躍前期には旧型の荷物合造車2連と併結し6連を組成した記録も残っている。)
1984年に運用から退き、103系3000番台のように新性能・カルダン駆動改造されることはなく86年に廃車された。JR移行後すぐににほとんどが解体されたが、クハ66002の運転台部分のみ解体を免れ、佐久間レールパークで運転シミュレータ筐体として使用されていた。閉園後の動向は不明。