「辞書を引くんだな。人に聞いてばかりでは勉強にならんよ」
概要
原作小説『銀河英雄伝説』に登場する自由惑星同盟の軍人キャラクターの1人。宇宙歴640年の人であり、本編視点から見るとすでに過去の人となっている。生存中に元帥まで昇進。自由惑星同盟軍史上、初めて帝国軍と対峙し、そして初めてダゴン会戦で完勝に導いた英雄の1人として語り継がれている。座乗艦は『サンタイサベル』
OVA版では過去の映像資料として1カットのみ映っており彼自身の音声は無い。そのOVAでの容貌は当初のVHS版では鋭い目つきの黒髪の青年といった風貌であったが、DVD版では修正が入りパーマがかった黒髪にやや太めの黒い眉毛、やや角ばった顎、ガッシリした体躯の持ち主で、表情はどちらかというと軽い人間という印象を持たれる。
同盟軍における国難時の英雄として奉られてこそいるが、40代という若さで巨大すぎる武勲を立ててしまった結果、周囲は敬意をもって遠ざけるという態度に終始したため、同盟軍内での居場所を喪失。ただの名誉職しか授かれない日々を送ったと言われ、その晩年は幸せとは言い難いものであったとされる。
人物
軍人としては天才的と言われ、その証拠として30代にして中将の地位を有していた(ただし帝国軍との遭遇前であることから、宇宙海賊等を相手に活躍したと考えるのが自然ではある)。ただし人格者としては問題が多すぎ、さらには毒舌家であることから信頼する人間は少数であったと思われる。
事実、動員された艦隊司令官のウォード、オレウィンスキー、アンドラーシュ、エルステッド、ムンガイは能力と一定の良識を備えていたとされている人物達だが、リン・パオとトパロウルに対する服従度が問題視される程だった。
提督達の自制心にとって、これは小さからざる試練であった。リン・パオとトパロウルが総指揮官であると知った途端に「ウォードはうなり声をあげる」、「オレウィンスキーは低く舌打ちをする」、「アンドラーシュは肩をすくめる」、「エルステッドは天を仰ぐ」、「ムンガイはため息をつく」と全員が不満の態度を露わにしていることからも人格面における信頼性が決定的に低いことが分かるだろう。実際に相当問題視されていた模様で、最高評議会議長、国防委員長、統合作戦本部長といった政府・軍部の高官達が連日提督達を宥め続けないと、継戦意欲を喪失したかもしれないとまで言われている。
大食漢であり、昼食を取るとデザートにパイとクリームティーを追加注文して平らげることもあれば、朝食からトースト6枚(1枚1枚が薄いらしいが)を平らげており、対帝国軍の指揮を執った参謀長ユースフ・トパロウル中将から「奴の胃袋は牛みたいに4つもあるのか!」と呆れられていた。
また女性関係も食用同様に旺盛であり、4桁に上る数の女性と肉体関係を持ったと言われるほどの強者である。とある通信基地でも所属中の女性兵士の14名の内、12名と関係を持っている。しかも、内3名は既婚者だったという点からも、当時のコーネル・ヤングブラッド国防委員長からも忌避を買っている。トパロウルにも仕事中に妙な物を舐めているリン・パオに何かと尋ねた際には「性病治療の舌下錠」と答えて殺人未遂現行犯のような目付きで「品がない」と大激怒される一幕もあった。
手腕
実際のダゴン会戦では、特筆する程に華麗な艦隊指揮をしている訳ではない。用兵は天才的とされるが、初めて遭遇し相手をする帝国軍に(しかも5万隻を超えるなら尚更)慎重な姿勢を取らざるえを得ず、終盤の帝国軍司令官が素人であることを理解するまでの間は、非常に受け身の姿勢に従事していた。
とはいえ相手の指揮官が戦闘経験皆無の者であると知った後は、思考と戦術を切り替えて爆発的攻勢を加えるなど、咄嗟の判断の良さがうかがえる。