「あんたと組めとさ。あんたが司令官で、俺が参謀長。どうだ、ひどい話だろうが」
概要
『銀河英雄伝説』(外伝『ダゴン星域会戦』)に登場する、自由惑星同盟の軍人キャラクターの1人。30代前半で階級は中将で、生存中に元帥まで昇進している。宇宙歴640年の人物であることから、本編開始時点では既に故人となっている。
銀河帝国が初めて大遠征した際に、自由惑星同盟軍宇宙艦隊の参謀長として就任した。総司令官リン・パオの補佐としてダゴン星域の会戦に参加することとなる。その会戦に勝利したことで、リン・パオに並ぶ英雄として同盟の歴史上に名を刻まれている。
OVAでの映像化は1カットのみで、歴史上の人物として紹介されたにとどまる。容貌はブラウン系統の髪に鋭い視線と眉毛、神経質そうな細身の顔をしており、不機嫌さも表情から見て取れる。
人物
30代で同盟軍中将と言うからには、それ相応の実績を有しているのは間違いない。また帝国軍を撃破した英雄として讃えられてはいるが、人格的にはリン・パオとは別方向で問題児であった。
女性関係に問題が多々あるリン・パオに比べ、トパロウルは『ぼやきのユースフ』との異名を持つ。何事にも不平不満と毒舌を振りまくひねくれ者、という問題点を抱えていたことから信頼関係を持つような人間はいなかったとされる。国防委員長ヤングブラッドからもトラブルメーカーと烙印を押されているほどである。
ただし女性関係が1人もなかったわけではなく、ただ1人だけ存在していることが明らかにされている。とはいえ恋人関係とは言い難いようで、相互の通信文もラブレターとは程遠いもので、「風邪に気を付けるように」「自分は気がつかない人物がないから、要望があるならはっきり言ってほしい」などの実務的な内容ばかりで、「今週の努力目標」という観がある。
後世ではリン・パオとセットのように扱われているが、当人同士は嫌い合っており、「いいコンビ」と言われる度に本気で怒ったという。
手腕
彼の場合は参謀長として作戦の立案等を主軸にしていたと思われる。非凡な人物であったのだろうが、やはりリン・パオと同様にイゼルローン回廊から侵攻してきた帝国軍の目的が明らかにされていないと言う不安定要素から、守勢に応じる他ないと判断している。さらに帝国軍の意味不明な艦隊行動を分析しきれずに対応に苦慮する場面もあった。
しかし、リン・パオが「奴らはあほうだ」と結論づけたことからトパロウルも「同意」の一言で応じる。そこからは守勢から一転して帝国軍本隊を集中的に叩く戦法に出る。最終的に包囲殲滅戦に持ち込むことができ、同盟軍の完勝を呼び込むこととなる。
帝国ではこの歴史的大惨敗に「今度は同盟軍イゼルローン回廊から逆侵攻してくるのではないか」との恐怖が蔓延することになり、イゼルローン回廊に要塞を建設するきっかけとなった。
国民的な英雄と称えられる業績を上げたが、若くして位人臣を極めてしまったために、軍での居場所を失い、早々に退役に追いやられる。その後は政界に転ずることもなく、慈善団体の名誉職を務めるだけの余生を過ごした。