一家仁、一國興仁、一家譲、一國興譲、一人貪戻、一國作亂。……
一家仁(じん)なれば、一国仁に興(おこ)り、一家譲(じょう)なれば、一国譲に興り、一人貪戻(たんれい)なれば、一国乱を作(な)す。……
在上の統治者として、たとえば、仁を以て自らの一家を行き届いておさめ、家族のすべてを感化して各自の明徳を明らかならしむるようにすることができる以上、一国を挙げて、仁に向かって感奮させ興起させることが必ずできるはずであるし、またもし謙譲の徳を以てわが一家を行き届いておさめられるならば、一国を挙げて、その徳に向かって感奮させ興起させることが必ずや期待できよう。反対に、ただ一人の統治者(国君)が利を貪って道理にもとる言動に陥るならば、一国を挙げて動乱の巷と化すであろう。……