概要
スリーベースヒットとも言われ、本塁打より希少な存在である。
ノーバウンドで柵を越えさえすれば無条件で本塁打となるのと違い、外野手の頭上を越えるくらいの当たりで、打者の足が速く、かつ守備が良くなかったり、弱肩だったりしないと達成が難しいとされる(かつ三塁まで到達してもエラーが絡むと、三塁打にならない場合もある)。要は「パワーとスピードが同時に求められる」という条件がかなり厳しいヒットである。どのくらい希少かと言えば、日本プロ野球最多通算本塁打は868本なのに、最多通算三塁打は福本豊の記録した115本と単純に見ても1/8であり、シーズン記録も本塁打60、安打216、二塁打52に対し、18本でしかも唯一1950年代に記録されたものである(残りはいずれも21世紀以降の記録)。なお大リーグも事情は似たようなもので、シーズン記録などはベスト10の半数以上が19世紀の記録で、残りは日本プロ野球が始まる前の記録となる。
日本プロ野球初期は本塁打より多い時期もあったが、年々長打力が増していき、守備力向上や人工芝導入で打球がバウンドで方向が突然変わるような事が減少した事などもあり、昭和20年代の1試合あたりの三塁打率0.8本に比べると半分以下になっているほか、シーズンに14本を超える三塁打を打った選手が1953年から2018年まで実に66シーズンにわたり出ていなかった(三塁打13本の選手は時折出ていた)。
ゆえに、三塁打は年間数試合の観戦程度では、お目にかかれないほどの少ない記録となる。サイクル安打のうち達成するのが困難なのがこれであり、本塁打、二塁打、安打を打ったけれども、三塁打だけ打てずに達成出来なかったという例も数多い。
本塁打を打った打者走者がホームベースを踏み忘れた場合、相手側から本塁空過のアピールがありそれが認められれば、ホームランが取り消されて打者はアウトとなり、記録は三塁打となる。
また、フェアの打球に対して守備側がグロ-ブを投げつける行為をして、投げつけたグローブが打球に当たってしまった場合には、野球規則の規定により三塁打となる。
また意外に難しいのが、三塁打によるサヨナラ勝ちで、サヨナラの走者が一塁にいるときのみ達成できる。柵越え本塁打の場合を除いて打者走者はサヨナラの走者が得点するために必要な進塁数を超える進塁が認められないためである(例えばサヨナラ走者が二塁にいる場合は、打者は二塁打止まりとなる)。サヨナラとなる走者が先にホームインしても、相手の失策又は野手選択による進塁が無く打者走者が三塁まで到達したと記録員が判断すれば、サヨナラ三塁打となる。