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サイクル安打

さいくるあんだまたはさいくるひっと

野球の記録の1つ。1試合で1人の打者が単打、二塁打、三塁打、本塁打の全てを打つこと。

概要編集

サイクル安打、またはサイクルヒットとは、1人の打者が1試合で単打(一塁打)、二塁打三塁打本塁打の全てを打つことである。


意味を書いてみると一見簡単そうに見えるが、実はかなり達成が難しいとされる記録で、達成人数的に言えばノーヒットノーランに匹敵する難しさで、1試合で3本塁打した選手の方が遙かに多い位である。

単純に言っても、1試合4安打しなければならず、プロ野球などでは1試合で3安打すれば「猛打賞」として記録されるくらいなので、1試合で4安打する事だけでも大したものである。このうち三塁打は安打の中でも達成が困難と言われる記録で、「三塁打だけ打てずに未達成に終わる」というパターンは数多い。また残りは単打や二塁打というパターンで、最終打席でホームランや三塁打を打ってフイにした例も数多い(記録がかかっているからといって進塁できる状況でわざと進塁しないと、「敗退行為」にあたるとして処分される可能性がある)。


仮に3安打してあと1打席で達成できそうな状況でも、打順にもよるが味方が貧打で9回までに打順が回ってこない、というケースもあり得る。極端な場合、自身の本塁打で1-0となり、そのまま試合には勝ったけれど、あまりの貧打に第4打席が回ってこないまま試合終了という事態も可能性としてはある。


1試合4本塁打して、そのうち3本塁打でそれぞれ、本塁、三塁、二塁でベース踏み忘れをすれば、記録上はサイクル安打達成になる。ここまで極端でなくても、二塁打を打てば達成の状況で本塁打を打って、味方選手から「三塁踏み忘れれば達成ですよ」と言われた選手もいる(無論この選手は踏み忘れはしてないし、ジョークではあったが)。


ちなみに、「単打⇒二塁打⇒三塁打⇒本塁打」の順で達成するものを「ナチュラルサイクルヒット」、その逆の順で達成するものを「リバースサイクルヒット(または逆ナチュラルサイクルヒット)」と呼ぶが、あまり認知されていない。

また本塁打も「ソロ・2ラン・3ラン・満塁」の4本を1試合で放てば「サイクルホームラン(サイクル本塁打)」と呼ばれるようだが、そもそも1試合4本塁打などアマチュア野球ですら難しく、事実上幻の概念になっている。


日本プロ野球で初めて達成したのは1948年の大阪タイガース(現・阪神)の藤村富美男だが、実は日本では長い間記録として知られる事がなく、それから17年後の1965年に阪急ブレーブスのダリル・スペンサーがNPBで24度目の達成した際に、試合後に報道陣がサイクル安打の記録達成について誰も言わなかったので、自ら説明し、日本で広く知られるようになった。

野球用語の多くが日本語に直されている中でこの語が英語のまま定着したのはそういう背景もある。


関連タグ編集

野球 単打 二塁打 三塁打 本塁打

サイクルヒット:表記揺れ


藤村富美男:NPBで史上初の達成、ただし当時は記録として知られていなかった。

ダリル・スペンサー:NPB24度目の達成選手で、日本でサイクル安打の概念を広めた選手。

アレックス・オチョア:NPBとMLBの双方で達成した唯一の選手。

ロバート・ローズ:NPBで最多の3回達成。

古田敦也近本光司:オールスター戦で達成した選手。

大谷翔平:日本人で初めてMLBで達成した選手。なおNPBでは未達成。

牧秀悟:公式戦において、初の新人での達成。(ただし、オールスター戦では当時新人の近本光司が達成している)

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