「すず、僕が守ってあげる」
CV:成田凌
概要
すず(内藤鈴)の幼馴染で、彼女と同じ高校に通う同級生の男子生徒。
バスケットボール部に所属しており、同部のエースとしての抜きん出た活躍ぶりと微笑すら浮かべないクールな面持ちによって、学内の女子たちから絶大な人気を集めている。
すずの幼いころを知る数少ないひとりであり、6歳のときには母親を亡くしてひとりで悲しんでいた彼女を気遣って「僕が守ってあげる」と元気づけている。すずとは小学校中学年のころに一度離れ離れになり、高校生になってからふたたび再会を果たすものの、しのぶは彼に対して引け目を覚えてしまう彼女から距離を置かれてしまい、孤独な彼女を遠くから見守るポジションのもとに過ごすことになる。
人物
性格
バスケットボール部のエースとして試合に真摯(しんし)に取り組む熱意と、周囲からちやほやされてなお微笑すら浮かべないクールさを兼ね備えた、静かなたたずまいのなかに自身の芯を秘めた男子生徒。
普段から静かな面持ちを崩さない彼だが、決して他者に対して淡白というわけではなく、カヌー部の男子生徒であるカミシン(千頭慎次郎)と気兼ねない軽口を叩きあったり、高校で再会した幼馴染のすずを心配してたびたび声をかけるなどといった人間味のある姿も垣間見せている。
評判
2年生にしてバスケットボール部のエースを張るほどの高い素質の持ち主であり、新規部員獲得のための同部のパフォーマンス(屋外バスケコートでの1ON1)では、立ちはだかる先輩部員を巧みなフェイントや強引な力押しで突破し、そのまま華麗にゴールを決めたりするなどしている。(小説版、24~25ページ)
それらの華々しい活躍ぶりと浮かれた様子を見せないクールさが相まって、彼は学内のさまざまな女子生徒たちからたくさんの人気を集めている。その注目ぶりは、彼が自身の幼馴染であるすずと手をつないだだけで、ほかの女子生徒たちが一斉に彼女に対して嫉妬の罵詈雑言を浴びせかけるほどのものであり、スクールカーストや派閥によって分けられた女子グループの水面下の駆け引きの対象として見られるようになっている。
主要キャラクターとの関係
内藤鈴
顔のそばかすが特徴的な内気な女子生徒。
忍はすずのことを「鈴」と呼んでおり、対するすずは「しのぶくん」と呼んでいる。
忍とは幼少のころからの幼馴染であり、あるときすずの母親が氾濫した川の中洲に取り残された子供を助けようと向かった際、忍は彼女の後を追いかけようとした幼いすずを引き止めている。その後の小学生時代にも、母親を亡くして以降ずっとひとりぼっちでいたすずを気遣い、「僕が守ってあげる」という言葉のもとに彼女を元気付けている。
彼女とは小学校中学年のころに市内への引っ越しのため一度疎遠になり、高校生になってからふたたび再会を果たした。忍は小学生時代と変わらずひとりぼっちでいるすずを心配し、彼女を見守る人間のひとりになろうという想いのもとにたびたび声をかけているものの(小説版、217ページ、286ページ、『細田守とスタジオ地図の10年』、59ページ)、忍と自身とを比べて吊り合わないと負い目を感じる彼女からその都度本心を隠され続けている。
余談だが、忍の声を担当した成田凌は、収録にあたってすずとのあいだにある絶妙な距離感や緊張感を味わっていたほか、すずを見守る忍のことを「彼女の背中を押すときもあれば、ただそばにいるだけのときもある、すごく素敵な人」と評している。(『細田守とスタジオ地図の10年』、59ページ)
千頭慎次郎
ひとりでカヌー部を立ち上げて奮闘している男子生徒。
忍は慎次郎のことを「カミシン」と呼んでおり、対する慎次郎は「しのぶ」と呼んでいる。
互いに親しい間柄であり、忍はしばしば慎次郎の素っ頓狂な言動に際して「早くそれ(カヌー)置いてこいよバーカ」などと呆れながら応じている。また、インターハイ出場のためにひたすらに練習に打ち込む彼の姿についても「あいつ、なかなかやるよな」と認めており、彼が練習に満足するまで黙って待っている様子が登場している。
関連タグ
参考文献
- 細田守『竜とそばかすの姫』 角川文庫 2021年6月25日初版発行 ISBN 978-4-04-111056-0
- パンフレット 映画『竜とそばかすの姫』 東宝 2021年7月16日発行
- キネマ旬報ムック『細田守とスタジオ地図の10年』 キネマ旬報社 2021年8月12日初版発行 ISBN 978-4-87376-869-4
ネタバレ注意
のちに『U』のトップシンガー・ベル(Belle)の正体がすずであることを看破し、彼女にそのことを面と向かって告げている。その後、廃小学校の教室で『U』の荒くれ者・竜のオリジンの少年がすず=ベルであることを信用させるための打開策としてオリジンの姿でライブを行うことを彼女に提案し、すずはこれを実行する。
そして彼女が竜のオリジンの少年を父親の虐待から救い出すと、すずが独力で苦難に立ち向かい乗り越えたことからもうすでに守る対象ではないと認識し、これからは過度に気遣いせず彼女と付き合っていけることに安堵し、すずにその心境を告げた。
なぜ彼がベルのオリジンがすずであることに感付いたかは明示されていないが、しのぶは彼女の幼馴染でありその家族とも付き合いがあることから、恐らくは上記のようにすずとその母の歌を把握しており、そしてその歌がベルの曲調と共通していたためと思われる。