概要
戦死して金鵄勲章を授与された息子が祀られている靖国神社を訪れるために、老いた母親が勲章を手にして一日がかりで上京してくる。
母親は子供を失った悲しみを堪えつつ、途中で道に迷いつつも立派な鳥居や社を見て息子が祀られていることの勿体なさを口にする…という歌詞である。
母親の心境を男性である塩まさるが歌ったことで当時の兵士たちの心に響いて大ヒットとなった。
レコードは1939年4月に発売。
作詞 | 石松秋二 |
作曲 | 能代八郎 |
歌唱 | 塩まさる |
発売 | テイチクレコード |
※歌詞、曲共にパブリックドメインとなっていますので曲の音源と歌詞を掲載します。
- 1
上野駅から九段まで 勝手知らない焦れったさ 杖を頼りに一日がかり 倅(せがれ)来たぞや逢いに来た
- 2
空を突くよな大鳥居 こんな立派なお社に 神と祀られ勿体なさよ 母は泣けます嬉しさに
- 3
両手合わせて跪き 拝む弾みのお念仏 はっと気付いて狼狽えました 倅許せよ田舎者
- 4
鳶が鷹の子生んだよで 今じゃ果報が身に余る 金鵄勲章が見せたいばかり 逢いに来たぞや九段坂
余談
「九段の母」があるのならば「九段の父」はあるのか?と思われた方もいらっしゃるかもしれない。 …あります。
戦死した戦友の父親を背負って靖国神社を訪れるという内容の歌詞で、同じく塩まさるの歌唱で1942年にレコードが発売されている。
曲と歌詞は大人の事情で掲載できないが…おっと、誰かが来たようだ。