概要
岡山県岡山市の金山寺や愛知県名古屋市の真福寺などに伝わる『伝死病種事』という書物にある、伝屍病とも呼ばれ恐れられた病(結核などの肺病)を引き起こす伝死鬼/伝屍鬼/伝尸鬼という五種の鬼の一体。
図絵に描かれた姿は、頭部が鳥で両手には棒状のもの(実は「尊勝陀羅尼」というとても有難い経典だという)を持っている褌姿の鬼で、天魔羅醯室陀鬼・兜醯羅鬼・屍骸鬼・猫鬼と呼ばれる異形の4鬼たちと共に人に害を成す様子が見られる。
この鬼に取り憑かれた者は脈が速まり、骨がうずくように痛くなるといわれており、青面金剛を祀ることで退散させることができる。
その他、鎌倉時代末期の写本が残る『伝屍病肝心鈔』においては、雄鶏の頭部を持つ天魔羅醯室陀鬼と同一視された魔鶏室陀鬼という別名で紹介されている。