概要
道教の教えの中に登場する虫で、人が産まれた時から体内に宿っているといわれる。
三尸虫・三虫・三彭・伏尸・尸虫・尸鬼・尸彭とも呼ばれ、仙人になる為には体内から追い出す事が必須とされる。
晋の時代に書かれた『抱朴子』では一種のみだったが、名前に「三」が入ることから唐代や宋代には上尸・中尸・下尸の三種がいるといわれた。
上尸は頭におり、首から上の病気を引き起こす道士姿。
中尸は腹の中におり、臓器の病気を引き起こす唐獅子や狛犬のような獣姿。
下尸は足の中におり、腰から下の病気を引き起こす牛頭に一本足が生えた姿。
と描写される。
常に体内から宿主を監視しており、60日に一度の「庚申」の日に宿主が寝ている間に体内から抜け出して悪事を(過大に)天に報告して、寿命を縮めさせたり病気にして死に至らしめるといわれた。
これは宿主が死ぬと、鬼として自由になれるからだといわれている。
そのために庚申の日の夜には、三尸が抜けださない様に集まり寝ずに過ごす「庚申待」という行事が生まれ、「庚申講」と呼ばれる集いが各地で結成された。
日本では江戸時代にこの集いが流行し、青面金剛と呼ばれる三尸封じの日本独自の神仏が生まれた。
罪を見ざる聞かざる言わざるの三猿は、この神仏の使いと言われる。
抜け出さないようにする呪文にはしし虫・しゃうけら・しゃうきら・そうきゃうという語が見られ、妖怪しょうけらはこの伝承から生まれたといわれる。
また、五穀は三尸の栄養となる為、辟穀(まずは三穀を断ち、次に五穀を断つ)を行う事で三尸を弱らせることができると言う。
創作での扱い
水木しげる作品
「ゲゲゲの鬼太郎」では漫画および、3期鬼太郎の「㊙指令!!ねずみ男は死刑だ」で、三尸の恐ろしさを老人に説き詐欺を働いていたねずみ男の罪を閻魔大王に伝えた三つ目の虫「三虫」として登場した。
地獄先生ぬ~べ~
「告げ口妖怪・三尸の巻」に登場。中国風の服を着た三匹の妖怪で、クラスメイトの告げ口をする菊池静の寿命を縮めようとした。
孔雀王
裏高野の僧に寄生して操る寄生虫のような魔物として登場。
クーロンズゲート
腐ったオガクズから生じるという、心に闇を持つ者に憑りつくという邪気。街の邪気が払われると居場所を無くして人に憑りつき害をなす。捕まえるためには「邪気の鏡」と剥製屋から預かる「三尸(サンシー)のびん」が必要なのだが…