概要
MF文庫Jより出版されている『全力回避フラグちゃん!』を原作としたライトノベル作品。全7巻。
著者は壱日千次。イラストはさとうぽて。また、原作者であるbiki氏も監修として製作に関わっている。
他作品のメディア展開(書籍化及び、雑誌連載)は原作に沿った内容だったが、本作はリメイク要素が強く、ストーリーや設定の問題点が徹底的に見直されているという特徴がある。
その為、原作では不満があった層やYouTube本編を見た事ない層にも好評な声が多く、重版がかかった報告が度々あったり、2022年の『次にくるライトノベル大賞』では5位を受賞した。
『コミックアルナ』にて2023年4月号より本作をベースとしたコミカライズ版が連載された。作画は原田靖生。残念ながらこちらは全2巻と短期連載であった。
原作との相違点
1巻
ストーリーは原作のストーリー編を中心に展開されているが、一部キャラクターの言動や展開が異なる部分がある。(例:ストーリー編6話→夏の特別ストーリー(前編・中編)→ストーリー編4話→夏の特別ストーリー(後編)の順に展開されている。)
モブ男視点だけではなくフラグちゃんや生存フラグがたびたび視点主になる。
2巻
ストーリー編7話〜13話同様、フラグ達が仮想世界に閉じ込められる内容だが、そこに至るまでの経緯や閉じ込められた原因、黒幕が異なっていたりするなどラノベ版オリジナル展開に変更されている。
こちらはある人物の悪だくみによって中世ヨーロッパさながらの異世界に閉じ込められ、脱出するために都市とダンジョンを行き来し、10階層まで攻略するという内容。ストーリーも原作の展開が改変されたものが窺えるがほぼ別物となっている。
前作とは異なりほぼモブ男視点となっている。失恋フラグも顔見世程度に登場した。
3巻
本巻より、失恋フラグとコンソメ丸、死神No.1が登場。
本巻は、主にYouTube版における失恋フラグに関連するエピソードをリメイクかつ、死神No.1に関するストーリーは原作(ストーリー編7〜13話)から大幅に変更された内容となっている。
また上記の事に加え、ラノベ版オリジナル要素としては、原作の方では掘り下げが少なかったフラグ達や神様の心理描写や放置されていた伏線回収などが追加され、その分モブ男視点では余り描かれない。
4巻
“監督”なる人物が神様を脅して言いなりにさせ、更にはフラグたちを映画館を模した空間に閉じ込めてしまう。そこで「自分の作る映画のオーディション」を受けさせられる。
“監督”の正体は原作を見ている人ならピンと来るだろう。
挿絵には恋愛フラグの下着姿(パジャマをモブ男に脱がされた)が描かれるなど、原作ではまず見られないシーンがある。
5巻
モブ男の消滅、死神No.1との対決が描かれる。モブ男を復活させるために仮想世界のゴミ捨て場に行くというのは変わらないが、フラグたちはモブ男の偽者からフラグを回収することで「モブ男のデータの断片」を回収するというストーリーになっている。
原作ではまだいなかった失恋フラグもメインキャラクターとして登場する。
原作では絶体絶命になったフラグたちをサブキャラクターたちが助けに来たが、本作では復活したモブ男がこの役割を担った。
エピローグでは顔見せ程度に破滅フラグが登場した。
6巻
原作とほぼ同じく破滅フラグを中心としたストーリー。ただしオチが少し変わっているところがある。
割と早い段階で黒幕の正体が判明するようになっている。こちらも独自設定が組み込まれている。
また大筋は変わらないが生存フラグとナナの過去に微妙な違いがある。
大罪シスターズは完全に脇役に置かれており、原作ほどの存在感はない(嫉妬の死神と恋愛フラグの因縁もまったく描写されていない)。
7巻(最終巻)
原作とは全く異なる完全オリジナルストーリー。原作では実質退場してしまうナナが最後までメインキャラクターとして登場する。それに伴いシリアスだった原作とは異なりほぼ全編に渡ってギャグ回である。
黒幕視点も何度か描かれ、ナナを闇落ちさせようとするが悉く失敗するというコミカルな内容になっている。
ラスボスは原作と同様だがモブ男が(悪)知恵を駆使して一騎討ちを制するというものになっている(天界の命運を賭けた戦いなのにそれでいいのかとツッコミを受けている)。
戦いの結末も全く異なる。
余談
原作に追いついてしまうためか7巻を以てノベライズ版は終了した。しかしあとがきによれば筆者曰く「原作はまだまだ続くので、その内またお会いする機会があるかもしれない」とのこと。
受賞
次にくるライトノベル大賞2022
- 文庫部門 5位
- 10代読者投票 3位
関連タグ
Plott制作の書籍作品(発表順に掲載)
・全力回避フラグちゃん(ライトノベル版)
・カレコレ
・全力回避フラグちゃん(コミカライズ版)
・私立パラの丸高校(コミカライズ版)